14年連続上昇!設計労務単価2.5万円突破と経費率48%が変える採用戦略

公共工事設計労務単価が大幅改定―“人への投資”が本格化する時代へ

国土交通省は17日、公共工事の積算基準となる2026年度の「公共工事設計労務単価」を発表した。今回の改定では、全国・全職種の単純平均が前年度比4.5%の引き上げとなり、これで14年連続の上昇を記録している。

特筆すべきは、加重平均額が2万5834円となり、統計開始以来初めて2万5000円の大台を突破した点である。現場施工の要となる主要12職種(とび工、鉄筋工、型枠工など)においても、全国単純平均の伸び率は4.2%増、加重平均額は2万4095円となり、着実な改善がみられた。さらに、今回の発表で最も注目すべき変更点は、単価そのものに加え、「建設労働者の雇用に伴う必要経費」の乗率が2013年度以来初めて見直されたことだ。諸経費動向調査の結果を踏まえ、従来の41%から48%へと大幅に引き上げられた。

新単価は3月から前倒しで適用される。この変更は、単なるコスト増ではなく、企業が技能者を雇用し、育成し、定着させるための「原資」が国によって明確に拡充されたことを意味する。本記事では、これらの変更が建設業の「人・採用・教育」にどのようなインパクトを与えるのか、実務的な視点から解説する。


主要12職種の設計労務単価
※画像は建設通信新聞さまからお借りしています。

Q1. 単価上昇率が「4.5%」にとどまった背景と、採用市場への影響は?

今回の全職種単純平均4.5%という伸び率は、5%を上回る高い水準で推移していた2023年度から2025年度と比較すると、やや落ち着いた数値となっている。この背景には、設計労務単価が「調査で把握した最新の労働市場の実勢価格」をベースに設定されるという仕組みがある。つまり、直近3年間と比較して、実際の市場における技能者の賃金上昇ペースがやや鈍化した実態が反映された結果とみられる。

しかし、これをネガティブに捉えるべきではない。2012年度と比較すれば、全職種で94.1%増、主要12職種でも93.4%増という水準に達しており、長期的には倍増に近いペースで改善が進んでいる事実は揺るがない。採用市場においては、他産業との賃金格差を埋めるための原資が継続的に供給されていると解釈できる。重要なのは、この上昇分を確実に技能者の手取り額に反映させ、「建設業は給与が上がり続けている成長産業である」というメッセージを求職者に発信し続けることだ。


全国・全職種平均値の推移
※画像は建設通信新聞さまからお借りしています。

Q2. 「必要経費率」が41%から48%へ上がったことは、人材戦略にどう影響しますか?

今回の改定における最大のトピックは、設計労務単価とは別に示される「建設労働者の雇用に伴う必要経費」の乗率が、従来の41%から48%へ、実に7ポイントも引き上げられたことである。これは2013年度以来、初の大幅な見直しだ。

この数値は、企業が技能者を正規雇用する上で不可欠な法定福利費(社会保険料など)や、有給休暇の取得費用、教育訓練費などの目安を示すものである。乗率が上がったということは、国が「人を雇うためには、賃金本体以外にもこれだけの経費(福利厚生費や育成費)が絶対にかかる」という実態を認め、その分を見積もりに計上すべきだと宣言したに等しい。

求職者、特に若年層は、給与額面だけでなく「社会保険完備」「有給取得のしやすさ」「研修制度の有無」を厳しくチェックする。経営者はこの48%という数値を根拠に、元請や発注者に対して適正な法定福利費を含めた見積もりを提示し、確保した原資を福利厚生の充実に充てるべきである。それが、結果として採用力の強化と離職防止に直結する。

Q3. 教育やキャリアパスに関してはどのような動きがありますか?

人材育成の観点からは、建設キャリアアップシステム(CCUS)との連動が見逃せない。今回の新単価決定を受け、職種別に公表されている「労務費の基準値」「CCUSレベル別年収」についても、近く改定される予定である。

CCUSは、技能者の経験や資格を「見える化」し、能力に応じた処遇を実現するための仕組みだ。レベル別年収の目安が引き上げられれば、若手職人に対して「技術を磨けば、これだけ年収が上がる」という明確なキャリアパスを提示できるようになる。これは、新人教育のモチベーション向上や、中堅層の定着に極めて有効なツールとなる。単にお金を払うだけでなく、「成長の道筋」を示すことが、人材教育の核心である。

Q4. 賃上げ目標「6%」と現場の実態には乖離がありませんか?

2025年2月の車座対話において、当時の石破茂前首相立ち会いのもと、国交省と建設業主要4団体は「おおむね6%」とする技能者の賃上げ目標を申し合わせている。今回の設計労務単価の伸び率(4.5%)は、この目標値と比較するとやや低い水準にみえるかもしれない。

しかし、国交省はこの目標の達成状況について、各団体によるフォローアップ調査の結果を踏まえて検証を進める方針を示している。また、改正建設業法の全面施行により、適正な労務費のベースとして設計労務単価を位置付ける「標準労務費」の運用も開始された。制度面での外堀は埋まりつつある。重要なのは、公共・民間を問わず、新単価に基づく適正な労務費を確保し、それを技能者に分配するという「好循環」を現場レベルで止めないことだ。この循環を継続できる企業だけが、優秀な人材を選別・確保できる時代に突入している。

まとめ

2026年度の設計労務単価改定は、14年連続の上昇に加え、必要経費率の48%への引き上げという、人材対策における強力な追い風を含んでいる。単価上昇率の鈍化は市場の実勢を映した鏡であり、これ以上の賃上げを実現するには、我々企業側が実際に賃金を引き上げ、実績を作るほかない。

3月から適用される新単価と新経費率を即座に見積もりに反映させ、法定福利費や教育費の原資を確保すること。そして、CCUSを活用して明確なキャリアパスを提示すること。これらはすべて、人材確保という経営課題を解決するための具体的なアクションである。制度改定を単なる数字の変更と捉えず、自社の採用力と教育体制を強化するための絶好の機会として活用してみてはいかがだろうか。

 

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