産学連携で挑む“脱炭素舗装”―次世代人材を育てる環境配慮型アスファルト開発
大林道路株式会社、ライスレジン、日本大学の三者は共同で、米由来のバイオプラスチックを配合した環境配慮型のアスファルト混合物を開発した。この技術は、米の生育過程で吸収される二酸化炭素を舗装内に固定し、ライフサイクル全体における二酸化炭素排出量を抑制する画期的な仕組みだ。
特筆すべきは、この最先端技術の開発が単なる資材研究にとどまらず、建設業界の人材育成や魅力発信に直結している点である。現在、土木研究所で長期供用性を検証中だが、実験段階から日本大学工学部の学生と協働し、講義のテーマとして活用することで、次代を担う若者に建設業のやりがいを直接伝えている。
本記事では、この産学連携プロジェクトがもたらす教育的意義や採用への効果について、現場目線を交えながら詳しく解説する。

ライスレジンの概要(報道発表資料から)
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。
Q1. なぜ最先端のアスファルト開発が若手人材の育成に繋がるのか?
A1. 学生を実験段階から直接プロジェクトに参画させることで、建設業の社会的意義を肌で感じさせることができるからだ。本プロジェクトでは、日本大学工学部の学生と協働し、実際の開発プロセスを講義のテーマとして活用している。
教室での座学だけではなく、環境課題を解決する最先端の技術開発に触れる機会を提供することで、建設業界がもつダイナミズムや、社会基盤を支える仕事の魅力を深く理解させることが可能になる。環境問題への関心が高い現代の学生に対し、脱炭素化に貢献する技術開発の現場を見せることは、業界に対する旧来のイメージを刷新し、強力な採用アピールとして機能する。
Q2. 環境配慮型素材「ライスレジン」の活用は、地域社会の雇用にどう影響するか?
A2. 地域の農業振興と新たな雇用創出に大きく貢献する。ライスレジンの原料には、食用に適さない破砕米だけでなく、休耕田や耕作放棄地を利用して栽培した資源米も利用されている。これにより、衰退が懸念される地方の農業分野に新たな需要を生み出すことが可能だ。
さらに、福島県浪江町にあるライスレジン工場での製造等を通じて、地域における働き口の増加にも直結する。地元に根ざした建設企業がこうした地域資源を活用した新技術を導入することは、地域活性化を牽引する企業としてのブランド力を高め、結果的に地元での人材確保を有利に進める要因となる。
Q3. 廃棄物の再利用は、企業の教育やコンプライアンス意識向上にどう役立つか?
A3. 資源循環の具体例を学ぶことで、現場の環境意識が劇的に変化する。ライスレジンの製造過程では、これまでサイズを要因とする規格外のペレットが発生し、焼却処分されていた。しかし、これを舗装材として有効活用すれば、米を循環利用できるだけでなく、製造過程で排出される二酸化炭素の抑制にも繋がる。
若手社員や現場の作業員に対して、廃棄されていたものを価値あるインフラ資材に変えるこのプロセスを教育することは、日々の業務における無駄の削減や、環境負荷低減に対する自発的な取り組みを促す。SDGsが重視される昨今、現場レベルでの意識改革は企業全体の評価向上に不可欠だ。

試験施工の様子(報道発表資料から)
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。
Q4. 品質や耐久性の向上は、現場の労働環境や働き方にどう影響するか?
A4. 舗装の長寿命化により、将来的な修繕工事の負担が軽減され、労働環境の改善に直結する。これまでの室内評価試験において、ライスレジンを添加したアスファルト混合物は、耐流動性や曲げ疲労抵抗性の指標値が従来の1.5倍以上に向上することが確認された。これは舗装の耐久性を飛躍的に高めることを意味する。
耐久性が上がれば、補修工事の頻度が減少し、将来の維持補修を含めた工事量を削減する効果が見込まれる。結果として、慢性的な人手不足に悩む建設業界において、限られた人員をより効率的に配置できるようになり、従業員の過重労働防止や働き方改革の推進に大きく寄与する。
まとめ
大林道路などが主導する米由来バイオプラスチックを用いたアスファルト開発は、環境負荷低減とインフラの高耐久化を同時に達成する技術だ。しかし、それ以上に注目すべきは、このプロジェクトが次世代の人材育成と業界の魅力発信という使命を帯びている点である。学生との協働を通じた実践的な教育は、若者の建設業に対する関心を喚起し、将来的な人材確保への布石となる。
また、耕作放棄地の活用や廃棄物の削減は、地域社会への貢献と企業ブランドの向上をもたらし、採用活動において強力な武器となるはずだ。中小の建設企業においても、こうした最新技術の動向を把握し、自社の採用活動や社員教育に環境配慮の視点を取り入れることが、激しい人材獲得競争を勝ち抜く鍵となるだろう。
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