本明川ダム初公開―環境配慮型CSGダムが示す新時代の現場像
九州地方整備局本明川ダム工事事務所は、長崎県諫早市で進む本明川ダムの工事現場を報道関係者に初公開しました。1期工事は大成建設・熊谷組・西海建設JVが担い、進捗率は約10%となっています。本事業は九州整備局管内で初となる台形CSGダムであり、堤高約60メートル、総貯水容量620万トンという大規模なプロジェクトです。
注目すべきは、低騒音で排ガスを出さない電動重機の採用など、環境と作業員に配慮した施工体制です。同事務所の森康成所長は、工事の過程を通じて土木建設業の魅力を伝え、地域の活性化につなげる方針を示しました。一般向けの見学会を検討するなど、業界のイメージアップと新たな人材確保のモデルケースとして関心を集めています。
ここからは、本明川ダムの工事現場で注目されるポイントについて、よくある質問とその回答形式で詳しく解説します。

基礎掘削などが進む現場
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。
Q1. 本明川ダムの工事現場が人材確保の観点で注目される理由は何ですか?
A1. 最大の理由は、労働環境の劇的な改善と業界の魅力発信を両立している点です。土木建設業は慢性的な人手不足に直面していますが、本現場では最新の環境配慮型重機を導入し、クリーンで静かな職場環境を構築しています。
さらに、工事の全容をインフラツーリズムとして公開することで、次世代の担い手にスケールの大きなモノづくりの魅力を直接伝える機会を創出しています。これは中小企業が採用活動を行なううえでも、自社の労働環境改善や魅力発信の重要性を再認識する大きなヒントになります。
Q2. 環境に配慮した施工体制は、現場の作業員にどのようなメリットをもたらしますか?
A2. 作業員の健康負荷の軽減と、コミュニケーションの円滑化という大きなメリットがあります。本現場では、排ガスを出さず作業音も静かな電動バックホウを導入しています。従来のディーゼル駆動の重機と異なり、現場の騒音が大幅に抑えられるため、作業員同士の声掛けや指示出しが容易になり、安全性と生産性が飛躍的に向上します。
また、廃食用油から精製したバイオ燃料「HVO100」を採用し、二酸化炭素(CO2)排出量を100%削減しています。こうしたクリーンな現場づくりは、若手人材の離職を防ぎ、定着率向上にも直結する重要な要素です。
Q3. 工事の進捗状況と今後のスケジュールはどのようになっていますか?
A3. 現在は左岸側で基礎掘削や基礎処理工、右岸側を流れる河道の転流に向けた水路構築が着々と進行中です。基礎処理工では12台のボーリング用機械を稼働させ、セメントミルクを地盤に注入する作業が6~7月ごろに完了する見込みです。
2027年1~3月をめどに左岸側への転流が完了した後、右岸側の基礎掘削や地盤改良を進め、本体打設に入ります。その後、2030年度までに本体工事を終え、2031年度の試験湛水を経て、2032年度の完成を目指す長期プロジェクトとして計画されています。
Q4. 見学会やインフラツーリズムは、採用・教育面でどのように活用できますか?
A4. 現場を「見せる化」することは、最高の採用ツールであり教育現場に昇華されます。森所長が述べるように、一般向けの見学会をインフラツーリズムとして展開することは、地域住民の理解を得るだけでなく、地元の学生や求職者に業界の魅力を直感的に伝える強力な手段です。
中小企業においても、自社の現場を安全に公開し、若手社員が案内役を務めるなどの工夫を凝らすことで、社員自身のモチベーション向上やプレゼンテーション能力の育成につながります。現場の誇りを言語化するプロセスが、そのまま社員教育として機能するでしょう。

環境配慮型のバックホウ。電動式〈左〉とバイオ燃料型
※画像は日刊建設工業新聞さまからお借りしています。
Q5. この大規模プロジェクトの手法を、中小企業が若手育成や人材定着に活かすにはどうすればよいですか?
A5. 大規模な設備投資が難しくても、現場の安全性や環境改善への「姿勢」を示すことが若手育成と人材定着の鍵になります。例えば、業務効率化のツールを導入して残業を減らす、最新の安全装備を支給して働きやすさを追求するなどの小さな工夫が有効です。
また、本明川ダムのように「自分たちの仕事が地域にどう貢献しているか」を明確に言語化し、新人教育の場で伝えることが重要です。仕事の意義を理解させる教育方針は、若手社員の帰属意識を高め、早期離職を防ぐための強固な基盤を形成します。
まとめ
本明川ダムの工事現場は、単なるインフラ整備にとどまらず、土木建設業の魅力を再定義し、次世代の担い手を引き付けるための重要な試金石です。電動建機やバイオ燃料の導入によるクリーンな労働環境の構築は、作業員の定着率向上に大きく貢献します。また、インフラツーリズムを通じた積極的な情報発信は、業界全体のイメージを刷新し、新たな人材を呼び込む原動力になります。
建設業に従事する皆さまにとっても、本事例を参考に、自社の労働環境の見直しや魅力発信の手法をアップデートしていくことが、今後の人材確保において極めて重要ではないでしょうか。次世代に選ばれる建設業を目指し、魅力ある職場づくりと効果的な採用活動を推進していきませんか。
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