技能者のやる気を引き出す新制度|ポイント活用で安全と現場力を底上げ
鹿島は国内の全建築現場において、技能者を対象としたポイント制度の導入を開始した。入場時や安全講習会への参加、ヒヤリハット事例の報告など、現場の安全改善に貢献した技能者へ電子マネー等と交換可能なポイントを付与するものである。
取り組みの第一弾として、入場した全技能者に1日当たり100ポイントを一斉付与し、制度の浸透を図る。システム基盤にはリバスタの「ビルダーズポイント」を採用し、既存の施工管理サービス「Buildee」の顔認証システムと連携させた。これにより新たな登録作業を省き、元請けから技能者へ直接自動でポイントが付与される仕組みを実現した。
先行する試験運用では、安全意識やモチベーションの向上に加え、若手と熟練技能者間の交流促進など、現場のコミュニケーション活性化という効果も確認されている。今後、この取り組みは土木現場への展開も予定され、他企業との協力による建設業界全体の魅力向上も視野に入れている。

ポイント付与のフロー図
※画像は建設通信新聞さまからお借りしています。
なぜ今、現場でポイ活が必要なのか?
現在、建設業界が直面する最大の課題は、深刻な人材不足と高齢化である。若年層の入職促進と定着率の向上が急務となる中、従来の賃金だけでなく、日常の業務に対する細やかな評価や還元が求められている。
入場や安全活動が目に見える形で評価される仕組みは、技能者のモチベーション維持に大きな意味をもつ。小規模であっても確実なインセンティブを提供することは、技能者の帰属意識を高め、現場全体の活気を生み出すための有効な手段となる。
システム導入に伴う管理者の業務負担は増加しないのか?
現場では日々の安全書類作成や進捗管理など、既に膨大な事務作業が存在する。新たな制度が現場監督の負担増につながることは避けなければならない。この課題への答えは、既存システムとのシームレスな連携にある。
採用されたシステムでは、施工管理システムの顔認証機能を利用し、入退場記録とポイント付与を自動で連動させている。技能者はアプリを操作するだけでよく、元請け企業から直接ポイントが付与されるため、協力会社の事務担当者を煩わせることもない。IT技術を適切に活用すれば、負担を増やさずに画期的な制度を運用することが可能となる。
個人のポイント獲得競争になり、現場のチームワークに悪影響を及ぼさないか?
鹿島の試験運用では逆の現象が起きている。スマートフォン操作に不慣れな熟練技能者に対し、若手技能者がアプリの導入方法を教えるといった場面が自然に生まれたのだ。
また、ヒヤリハット報告や清掃活動といった、現場全体の安全に寄与する行動に対してポイントを付与する設計になっているため、チームの協調性がより強く求められる結果となった。技能者からは「所長からの感謝の思いが伝わった」という声も上がり、元請けと技能者の間にある心理的な距離を縮める効果も発揮している。

※画像はイメージです。
資金力のある大手ゼネコンだからできることであり、中小企業には無関係ではないか?
確かに全国規模のシステム構築には莫大なコストが必要である。しかし、この取り組みの核心は「技能者の行動を評価し、還元する仕組み」を作ることにある。中小企業であっても、この理念の応用は十分に可能である。
例えば、独自の社内表彰制度を見直し、少額のギフト券といった形で、安全活動に対する即時的なインセンティブを付与する仕組みが考えられる。建設業界全体が協力し、企業規模を問わず技能者を大切にする姿勢を示すことが、最終的な人材確保へとつながっていくのである。
まとめ
建設現場におけるポイント制度の導入は、単なる福利厚生の枠を超え、技能者のモチベーション向上と現場の安全性確保を同時に実現する画期的な施策である。
デジタル技術の活用による業務効率化と、コミュニケーションの活性化という多様な効果をもたらすこの取り組みは、人材不足に悩む建設業界にとって重要なヒントを提示している。現場で働く人々の貢献に報いる具体的な仕組みづくりが、業界全体の発展に不可欠となるだろう。
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