🏗️ なぜ建設業を選んだのか? 原点にある想い
玉城氏が建設業に入ったのは、決して最初から描いていたキャリアではなかった。地方出身の玉城氏は、サラリーマンとして就職するために上京。しかし次第に「資金を貯えて地元へ戻ろう」という気持ちが芽生え、より稼げる仕事として建設現場へ飛び込んだ。
「とりあえず金を貯めて帰る予定だったから、深く考えずに飛び込んだ」と振り返る玉城氏。建設学校を出たわけでも、職人の家系に育ったわけでもない。しかしいざ現場に入ると、体を動かして形を作り上げていく仕事に手応えを感じ、気づけば20年以上この道を歩み続けていた。
31歳で独立し、現在51歳。法人化からは5期目を迎える。「当初は若かったから戻りたい気持ちもあったけど、こっちでやっていくうちに根が張っていった」という言葉が、20年の歳月を静かに物語っている。
建設業界には「きつい・怖い」というイメージがつきまとう。しかし玉城氏はそれを正面から受け止めた上で、「この仕事は頭を使わなければ務まらない。誇りを持ってやれる仕事だ」と語る。中小建設業にとって、経営者自らがその誇りを体現していることが、現場の空気をつくっていく。
🔧 うちにしかできないこと──現場が語る強みとは
株式会社玉城土建の仕事の中心は造成工事で、売上の約8割を占める。残りは取引先からの依頼による道路工事などが占め、いずれも長年培ってきた協力関係の中で案件が生まれている。
「安全はどんなことをしてでも守る。それがうちのやり方だ」と玉城氏は言う。現場での安全管理を何より優先するこの姿勢が、取引先からの信頼を積み重ねてきた土台にある。
チームは現在7名。日本人スタッフのほか、特定技能・技能実習の外国人スタッフも在籍し、多様な顔ぶれで現場を回している。「特定技能の人材がいるから助かっている。正直、日本人だけでは今の現場は回らなかったと思う」と率直に語る。
社内の雰囲気について聞くと、「みんな仲良くて、団結力はあると思っている」と玉城氏は自信をもって答えた。毎年、神奈川の大山へ全員で登山する恒例行事もあり、頂上でコーヒーとラーメンを食べて帰るのが楽しみだという。仕事の外での時間も含め、チームとして積み重ねてきたものが現場の連帯感に表れている。
スタッフそれぞれの事情や意思を尊重し、画一的な管理よりも個々の裁量を大切にする姿勢も、玉城氏の経営スタイルのひとつだ。チームの結束を重んじながらも、一人ひとりの働き方に柔軟に向き合う。そのバランス感覚が、長く一緒に働き続けるスタッフを生んでいる。
⚠️ 人手不足・外国人材・変わる現場──中小土木の今
「この業界、みんな辞めちゃってるから。やる人もいないし、仕事は今いくらでもあると思う」と玉城氏は語る。中小建設業にとってこれは複雑な現実だ。仕事量は確保できても、動かす人手がいなければ受注できない。
玉城土建でも、その解決策のひとつとして外国人材の受け入れを進めてきた。特定技能・技能実習のスタッフがチームに加わることで現場を支えているが、「コミュニケーションを工夫しながらうまくやっている」と玉城氏は言う。
採用における判断基準として、玉城氏はスキルよりも人間性や姿勢を重視している。「相手は生身の人間だからわからない」という言葉には、簡単に割り切れない採用の難しさが正直に滲む。入社後も3か月ほどかけてじっくり様子を見ながら、本人とも率直に対話を重ねていく。
また、社員寮を自社で確保しており、全国から人材を受け入れられる体制を整えている。「俺自身も地元民じゃないから、外から来た人を受け入れることに抵抗はない」という言葉が印象的だ。中小建設業が人材確保のために何ができるか、玉城氏の取り組みはひとつの実践例といえる。
🌱 10年後のビジョン──地域と業界への想いを語る
今後について玉城氏に問うと、「まずは人を増やすのみ」と明快に答えた。仕事の依頼は途切れない。だからこそ、それを受け切れる体制を整えることが最優先の課題だ。
スタッフへの向き合い方でも、玉城氏のスタンスは一貫している。「残業しないで帰っていいし、相談があれば乗る。その人がどう動くかを見て、やる気を判断していく」と語るように、無理に縛るのではなく、本人の姿勢を尊重しながら関係を築いていく。
達成感という点では、「仕事の目標を達成できたときの充実感はある」と玉城氏は言う。造成という地道な積み重ねの仕事だからこそ、完成したときの手応えは格別だ。それがスタッフにとっても、仕事を続ける動機になっていると感じている。
「何でもとりあえず相談して来い、という環境でいたい」という言葉に、玉城氏の経営姿勢が凝縮されている。規模は小さくとも、代表が現場に近く、スタッフが気軽に声をかけられる。そういう会社でい続けることが、玉城氏の静かな、しかし揺るぎないビジョンである。
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取材を通じて感じたのは、玉城社長の「人を縛らず、でも離さない」という独自のマネジメント感覚でした。飾らない言葉の中に、20年間現場と向き合ってきた経営者の確かな芯がありました。