建設業界でも生成AIの活用が急速に広がっています。見積書作成や文章作成、情報収集など、多くの業務でAIを活用できる環境が整いつつあります。しかし、実際には一部の社員だけが利用しているケースも多く、会社全体の生産性向上につながっていない企業も少なくありません。
こうしたなか、株式会社LIFEFUNDが発表した社内AI推進の取り組みは、建設業界におけるAI活用の新たなモデルとして注目を集めています。本記事では、その事例をもとに、建設業の中小企業がAIを現場へ浸透させるためのポイントを解説します。
正社員55名中28名が参加した自主参加型AI推進組織とは
『株式会社LIFEFUND(本社:静岡県浜松市、代表取締役:白都卓磨)は、2026年1月に発足した社内のAI推進組織「AIアンバサダー研究会」について、発足からわずか4カ月で正社員55名のうち28名(過半数)が自主的に参加する組織へと成長したことを発表します。』

引用元:株式会社LIFEFUNDプレスリリース(PR TIMES掲載)
同社では、AI活用を推進するための社内組織として「AIアンバサダー研究会」を設立しました。特徴的なのは会社から参加を強制するのではなく、社員が自ら参加を希望する仕組みを採用している点です。
建設業界ではAI導入そのものが目的になってしまうケースもありますが、同社は社内で活用事例を共有しながらAI文化を広げることを重視しています。その結果、短期間で過半数の社員が参加する組織へと成長しました。
AI導入が進んでも全社活用が進まない理由
近年はChatGPTをはじめとする生成AIツールの認知度が高まり、多くの企業が何らかの形で導入を進めています。しかし、AIを使うのは一部の社員だけというケースが少なくありません。
建設業では現場監督、営業担当、設計担当、事務担当など業務内容が多岐にわたるため、全員が同じようにAIを活用することは簡単ではありません。また、「何から始めればよいかわからない」「どの業務に使えるのかわからない」という悩みも多く聞かれます。
そのため、ツールを契約しただけでは業務改善につながらず、結果として利用率が伸びない状況が生まれています。AI活用を成功させるためには、導入後の教育やサポート体制が欠かせません。

引用元:株式会社LIFEFUNDプレスリリース(PR TIMES掲載)
LIFEFUNDが実践する3つのAI定着施策
LIFEFUNDではAI活用を浸透させるために、主に3つの仕組みを導入しています。
まず一つ目は、経営トップ自らが講師を務める勉強会です。経営者が直接AI活用の方向性を示すことで、社員も会社として本気で取り組んでいることを理解しやすくなります。
二つ目は、有料AI環境への投資です。無料版だけでは機能面や利用回数に制限があるため、実務で十分に活用することが難しい場合があります。同社では研究会員に対して有料プラン利用を支援し、実践的な活用環境を整えています。
三つ目は、成果や社内共有活動に応じた評価制度です。AIを使って業務改善を実現した社員や、社内へ知識を広めた社員を評価することで、自発的な学習意欲を高めています。
中小建設業が取り入れたいAI推進の考え方
中小建設業がAI活用を進める際、最初から全社員に導入を義務付ける必要はありません。
まずは興味を持つ社員やデジタルツールに抵抗の少ない社員を中心に、小規模な勉強会や情報共有の場を設けることが有効です。実際に業務改善につながった事例が増えることで、周囲の社員も自然と関心を持つようになります。
また、AIは現場の書類作成、議事録作成、安全教育資料の作成、求人原稿の作成など、多くの業務で活用できます。小さな成功体験を積み重ねることが、全社的な定着への近道です。
経営者自身がAIに関心を持ち、学び続ける姿勢を示すことも重要です。トップが率先して活用する企業ほど、組織全体への浸透が進みやすい傾向があります。
まとめ
建設業界ではAI導入が進む一方で、全社的な活用まで実現している企業はまだ多くありません。今回紹介したLIFEFUNDの事例は、強制ではなく自主参加を軸にした社内教育と環境整備によってAI活用を広げている点が特徴です。
これからの建設業では、AIを導入すること自体ではなく、現場に定着させて成果につなげることが重要になります。自社に合った方法で少しずつ活用を広げ、生産性向上につなげていきましょう。
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