現場仕事が続くと、休日はとにかく体を休めたい。そんなとき、ソファに寝転びながら手軽に観られるドラマを探している人も多いのではないだろうか。今回は、休日の過ごし方として、アマゾンプライムで観られるNHKの朝ドラ『おちょやん』を強くおすすめしたい。そして、その最大の理由は、ミュージシャン・トータス松本の俳優としての仕事ぶりにある。
朝ドラ史上最低・最悪と称された父親「テルヲ」とは何者か
『おちょやん』は2020年11月から2021年5月にかけてNHKで放送されたドラマで、昭和の大阪を舞台に、女優・浪花千栄子の生涯をモデルとした主人公・竹井千代の波乱万丈な人生を描いた作品だ。ヒロインを演じた杉咲花の繊細かつ力強い演技も高い評価を得たが、放送当時から視聴者の間でひときわ話題になったのが、父親・竹井テルヲというキャラクターである。
テルヲは、幼い娘・千代を奉公に出し、その稼ぎで酒を飲み、新しい女をつくり、都合が悪くなれば姿を消す。親としての責任をことごとく放棄しながら、いざとなると娘に泣きついて金をせびる。放送当時、SNSや視聴者レビューでは「朝ドラ史上最低・最悪の父親」「テルヲに腹が立ちすぎて朝から血圧が上がる」といった声があふれた。それほどまでに視聴者の怒りと感情を揺さぶった人物だった。
※画像はイメージです
トータス松本だからこそ成立した"憎めない最低男"という矛盾
そのテルヲを演じたのが、ウルフルズのボーカルとして知られるトータス松本である。ミュージシャンとしての知名度が高く、俳優としてのキャリアも豊富な彼だが、テルヲ役はその代表作と呼べる仕事となった。筆者は「好きな俳優は誰か」と聞かれたら、間違いなく「トータス松本」と答える。
際立っていたのは、単純な「悪役」として描くのではなく、どこか憎みきれない温度感を絶妙に保ち続けた点だ。テルヲは確かにダメ男であり、娘を苦しめる存在だ。しかし、トータス松本が演じると、そこに人間的なおかしみと哀愁と可愛らしさが自然ににじみ出る。あの独特な関西弁のイントネーション、ずる賢いのにどこかぬけた表情、追い詰められたときの情けない顔――すべてが計算されているのか天性のものなのか、区別がつかないほど自然だった。
視聴者が怒りながらも画面を見続けてしまう。次の週もまたテルヲが出てきたらどうしようと思いながら、心のどこかで、出てくることを期待してしまう。そんな矛盾した感情を引き起こす演技は、誰にでもできるものではない。
感情を揺さぶる演技が、ドラマ全体の温度を上げた
朝ドラという枠において、ヒロインの魅力を引き立てるうえで、周囲のキャラクターの質は非常に重要だ。テルヲというキャラクターが強烈であればあるほど、千代が逆境を乗り越える姿が輝く。その意味で、トータス松本の存在はドラマ全体の完成度を引き上げる核となっていた。
ドラマ評論家やエンターテインメント系メディアからも、「テルヲ役のトータス松本は今作の隠れMVP」「悪役でありながらドラマのスパイスになっている」という評価が相次いだ。俳優としての代表作を聞かれたとき、今後も長くテルヲの名前が挙がり続けるだろうと思わせるすばらしい仕事だった。
現場仕事で疲れた体に、昭和大阪の人情ドラマが沁みる理由
なぜ今さら『おちょやん』をすすめるのかといえば、動画配信サービスアマゾンプライムを通じて、今でも視聴できる状態にあるからだ。体力を使う仕事が続いたあとの休日、難しいことを考えずにドラマの世界に没入できるのは、立派なリフレッシュ方法の一つだ。
『おちょやん』は、竹井千代の壮絶な人生を扱いながらも、随所に大阪らしいユーモアと人情が盛り込まれていて、重苦しくなりすぎない。昭和の芝居の世界、庶民の生活、人と人のぶつかり合い――画面の中に確かな生活の息づかいがある。そして何より、テルヲという存在が、笑いと怒りと哀愁をもって物語を彩り続ける。
仕事を終えた体で、ただソファに座ってお茶を飲みながら観るのにちょうどいいドラマだ。気がついたら続きが見たくなっている、そういう引力がある作品である。
まとめ
今回は少し趣向を変えて、休日のおすすめドラマとして『おちょやん』を紹介した。トータス松本演じるテルヲは、腹が立って仕方ないのになぜか目が離せない、稀有なキャラクターだ。ヒロイン・千代の健気な生き様と合わせて観れば、笑いあり、涙あり、怒りありの充実した時間が待っている。まだ観ていない方は、ぜひこの機会に。きっと「もう少しだけ」と次の話へ手が伸びるはずだ。
本サイトについて、ご質問・ご相談がある場合は、下記のお問い合わせフォームからお気軽にお寄せください。
あわせて、協力会社探しや人材確保など、日常的な情報収集の場として無料で利用できる建設業向けマッチングサービス『建設円陣』もぜひご登録ください(緑のバナーをクリック)。








