🏗️ 第1章|ライン作業から「面白そう」の一言で飛び込んだ電気工事の世界
平田社長が最初に就いたのは、いすゞ自動車の下請け会社での組み立てラインの仕事だった。毎日同じ工程を繰り返す規則正しい日々。しかし次第に「このままでいいのだろうか」という思いが芽生えてきた。
「なんで電気工事に入ったんだろうって改めて聞かれると、正直そんなに深い理由はないんですよね。なんか面白そうだな、という感覚でした」
軽やかな言葉の裏に、変化を求める確かな意志があった。ライン作業を辞めた後、電気工事の現場へ飛び込んだ平田社長は、ビル電気工事や一般家庭の工事など幅広い現場を経験。30歳前後のころ、知人の紹介で鉄道関係の電気工事に携わるようになったことが、個人事業主としての独立へのきっかけになった。
「個人でしばらくやってから、有限会社湘涼電工として法人にしました。その頃はずっと鉄道関係の仕事をしていましたね」
その後、働き方改革の波が鉄道工事業界にも押し寄せ、元請け会社の夜間作業が縮小。鉄道工事に付帯していた機械設備・空調設備の電気工事が自然と主軸へと移っていった。特別な営業をかけたわけでも、意図的に方向転換したわけでもなく、現場で積み上げたスキルが新たな仕事量を呼び込んだ形だ。
🔧 第2章|空調電気工事という”ニッチな強み”と、断らない現場哲学
電気工事の世界でゼネコン案件やビル工事を主力にしている業者は多い。一方で、空調設備の電気工事に特化している業者はまだ多くない。平田社長はそこに湘涼電工の強みを見出している。
「いわゆるゼネコンさんや建築関係の仕事をしている電気工事業者と比べると、空調設備に入っている業者は少ないと思います。ライバルが少ない分、安定して仕事をいただける環境があります」
元請けは空調設備業者。工場・商業施設・オフィスビルなどに設置されるエアコンや空調システムに付随する電気配線・電源工事が中心となる。対応エリアは神奈川県を主軸に、東京都(神奈川寄り)まで。現場間の移動負担が少なく、無理のない働き方がしやすい環境だ。
安定受注の背景には、もう一つの姿勢がある。「断らない」という現場哲学だ。
「特別なこだわりとかではないんですけど、いただいた仕事は断らない。できるだけ前向きに応えていく、それだけですかね。依頼する側からすると、頼めばなんとかしてくれるという安心感があるんじゃないでしょうか」
この積み重ねが、長年にわたる安定した取引関係を生み出している。
⚠️ 第3章|毎日が応用問題——単純作業が合わなかった人ほど、向いている仕事
求職者が気になるのは、「実際どんな仕事なのか」というリアルだ。平田社長は一言でこう表現する。
「毎日が応用作業なんですよ。自動車のライン作業は毎日同じことの繰り返しでしょ。でも電気工事は現場が変わるたびに、環境も条件も違う。毎日違うことを考えながら動かないといけない。それが面白いんですよね」
自分自身がかつてライン作業員だったからこそ、その違いを誰よりもよく知っている。同じように「毎日同じことの繰り返しに物足りなさを感じている」という人にとって、この仕事は天職になりうると平田社長は言う。
未経験から入社した場合は、まず50代のベテラン従業員とマンツーマンで現場に入り、実際の作業を通じて技術を習得していく。資格取得(電気工事士)にかかる費用は会社が全額負担。合格祝い金の支給や勉強時間・教材の確保といった支援体制も整っている。
「電気工事士の資格を持つことで、働き方の選択肢が広がります。会社員としてキャリアを積んでいくのもよし、経験を積んで独立するのもよし。この仕事で積んだスキルは一生ものですから」
工期は1〜3ヶ月程度の案件が中心で、毎日同じ現場に通い続けるわけではない。複数案件を並行しながらポイントポイントで作業を進めるスタイルのため、自分のペースで仕事に慣れていきやすい環境でもある。
🌱 第4章|仕事はある、あとは人だけ——5人規模を目指して
現在、湘涼電工では新たな仲間の採用に力を入れている。平田社長が語る採用の理由はシンプルだ。
「今は外注さんに頼んでいる部分があって、そこを社内で担えるようになれば、自然と受注量も増やせる。まずは一人、二人と増やしていって、最終的には5人規模くらいを目指したいですね」
つまり、仕事量はすでに十分にある。人が増えれば、その分だけ受注を拡大できる状態だ。経験者であればすぐに即戦力として動ける環境が整っており、未経験者であっても資格取得から丁寧にサポートする体制がある。
「最初からめちゃくちゃ大きな目標があるわけではないけれど、来てくれた人が安心して働けて、技術を身につけて、自分の将来を描けるような環境にはしていきたい。まずはその一歩ですね」
「面白そう」という直感一つでこの業界に飛び込み、25年以上第一線で仕事を続けてきた平田社長。難しい理由も大げさな志も必要なかった、その等身大の姿が、次の一歩を探している人の背中を押してくれるはずだ。
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ライン作業員から電気工事士へ——平田社長のキャリアは「転職」の教科書のような話だ。「なんか面白そう」で飛び込んだ先に、25年以上続けられる仕事があった。今の仕事に物足りなさを感じているなら、その直感を信じてみてほしい。