🏗️ なぜ建設業を選んだのか? 原点にある想い
齊藤代表が防水工事の世界に入ったのは、若い頃からのキャリアがそのまま今につながっている。まず防水材料を扱うメーカーに勤め、材料の性質や施工の仕組みを知り尽くした。その後、実際に工事を行う会社へと転じ、役員として現場全体をマネジメントする立場を経験した。
「いろいろあって自分で始めたというのが経緯なんだよね」と、齊藤代表は飾らずに語る。メーカーで培った材料知識と、工事会社で積んだ施工経験──その両方を持つ人材が独立したとなれば、強みは明確だ。平成22年12月、株式会社西都技建として第一歩を踏み出した。
中小建設業にとって、こうした「現場と素材の両方を知っている経営者」の存在は大きい。技術的な判断を自ら行えるため、外注先任せにならず、品質管理を内側からコントロールできる。創業当初から、齊藤代表はその強みを武器に地道に顧客を開拓してきた。
🔧 うちにしかできないこと──現場が語る強みとは?
西都技建の最大の強みは、「土より下の防水」に特化した高い技術力にある。ベランダや屋上の防水は競合が多く「誰もが知っているぐらい一般的」だと齊藤代表は言う。一方、地下室や地中に染み込む水を防ぐ工事は難易度が高く、「そんなに誰もかれもやってない」分野だ。
「地下は上物よりはるかに費用がかかる。土を掘ってコンクリートを打って、その中で作業するのはレベルが違う」。かつてダムやトンネルの防水補修を手がけた経験も持つ齊藤代表ならではの視野だ。地下室を娯楽スペースや趣味の空間として活用したい施主からのニーズも着実に拾っている。
仕事の取り方にも哲学がある。直受けもしくは一次下請けまでにこだわり、多重下請けには入らない。大手企業との直接取引も多く、信頼の積み重ねが足場になっている。
また、職人は全員社員として雇用している。「責任を持たせてやっている。だからこちらも口うるさく言える」。外注に頼らず、社内で技術とマインドを継承する体制が、品質の安定を支えている。
⚠️ 人手不足・多重下請け…課題だらけの建設業で、どう動くか?
建設業界全体が抱える構造的な問題は、西都技建にとっても無縁ではない。多重下請けによる単価の圧縮、職人の確保、ホームページからの集客の難しさ──中小建設業が日々直面する課題が、インタビュー中にも次々と言葉になった。
「国内の新築戸建ての件数は縮小気味。でも既存建物がどんどん増えているから、改修工事のボリュームは着実に増えている」と齊藤代表は冷静に市場を分析する。特に注目しているのが「漏水補修」の分野。「漏水が起きてから検索する人は切羽詰まっているから、動きが早い。この分野で上位表示を取れれば、確実に問い合わせにつながる」という読みがある。
DXや集客については「やっていない」と正直に話す一方、それが課題であることは十分に認識している。ホームページの写真が実態に即していない点、業務内容のアピールが弱い点などを自ら指摘し、改善に動こうとしている。中小建設業にとって「気づいているが手が回らない」という状況がまさにここにある。
🌱 10年後のビジョン──地域と業界への想いを語る
齊藤代表は現在70歳。息子も現場に関わっており、少しずつ世代交代を意識している。「もう引退してもいいくらいの年だけど、なかなかね。俺が思うようには人は動かない」と苦笑交じりに語る。それでも、「あとは任せるしかない」という言葉には、経営者として次の世代に託す覚悟がにじんでいた。
今後の方向性として掲げるのは、改修・漏水補修への注力と、直接顧客からの受注拡大だ。「仕事が一件でも増えるなら、それはそれでいい」というシンプルな言葉の裏に、価格競争や多重下請けとは距離を置き、丁寧な仕事だけで会社を成り立たせてきた積み重ねがある。
齊藤代表が繰り返し口にするのは、「お客様の側に立って、同じ角度で見る」という言葉だ。「お客さんと対峙するんじゃなくて、一緒に向き合う。それが私の心情です」──技術や規模よりも、この姿勢そのものが西都技建の最大の強みなのかもしれない。中小建設業にとって、目先の受注を追うより先に「信頼で選ばれる会社」を目指すというあり方は、時代を越えて通用する哲学だ。
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取材を通じて感じたのは、齊藤社長の「お客様の側に立つ」という言葉が、スローガンではなく日常の行動規範として深く根づいているということ。職人を全員社員として迎え、技術と誇りを社内で育てる姿勢にも、その一貫性が表れていました。