🏗️ なぜ建設業を選んだのか?原点にある想い
建設業界に入ったきっかけを尋ねると、阿字代表は少し間を置いてこう答えました。「気まぐれ、なんか成り行きみたいな感じで」。華々しいビジョンがあったわけでも、家業を継いだわけでもない。ごく自然な流れで型枠工事の世界に足を踏み入れたといいます。
もともと建設関連の現場に携わっていた中で、型枠という仕事と出会い、そのまま専門職として腕を磨いていきました。「型枠をやってみて、特に何でやりたいとかそういうのはなかった」という言葉の裏には、やってみて初めてわかる仕事の面白さや手ごたえがにじんでいます。
会社名「西湘躯体」についても、同じく肩の力が抜けたエピソードがありました。「知っている会社の名前が格好いいと思ったので、似た名前にしました」。中小建設業にとって、こうした等身大の出発点こそが長く続ける力の源になることも多いものです。平成17年の創業から今日まで、その飾らないスタンスは変わっていません。
🔧 うちにしかできないこと──現場が語る強みとは?
型枠工事は、建物が完成すると外から見えなくなる工程です。だからこそ、品質へのこだわりは現場の職人の良心に委ねられます。阿字代表が「これだけは譲れない」と語るのは、シンプルながら芯のある一言でした。「何事もなく、真っすぐ上に立っていけばって感じ」。垂直精度と丁寧な施工、その積み重ねが信頼につながると信じています。
元請け企業から「次も西湘躯体に頼みたい」と言われる理由を問うと、「真面目に、綺麗に取り組むっていうところかな」と即答しました。技術的なアピールよりも、誠実さと仕上がりの美しさで評価されているという自覚が、静かに言葉に表れています。
中小建設業にとって、大手にはできないきめ細かい対応力と、現場ごとの誠実な仕事ぶりこそが最大の差別化要素です。「ちゃんと伝わってるのかな」という謙虚な言葉の向こうに、長年にわたって元請けから選ばれ続けてきた実績があります。従業員7名という規模だからこそ、代表自身が現場の品質に目を配り続けられるのも、西湘躯体ならではの強みといえるでしょう。
⚠️ 人手不足・採用難…課題だらけの建設業で、どう動くか?
型枠大工の担い手不足は、業界全体が直面する深刻な課題です。西湘躯体でも、従業員の採用と元請けとの取引拡大、どちらも同時に進めていく必要があると感じています。「どっちも大切にしたい」という阿字代表の言葉には、会社を成長させるには人と仕事の両輪が欠かせないという現実的な視点があります。
現状の採用活動は自社ホームページへの掲載が中心で、「見てもらえたら」というスタンスです。中小建設業にとって求人広告の費用対効果は難しい問題ですが、ホームページの認知を高めることが採用にも直結するという認識は持っています。
チームの雰囲気については「現場はピリッとしてる部分もあるけど、休憩中はみんなで話したりする」と話してくれました。一人ひとりが作業の意味を理解し、精度にこだわって動く。そのメリハリのある現場環境が、若手が定着する土台になっています。建設業全体のイメージを変えるには、まず自分の会社から変えていくという姿勢が、阿字代表の言葉の端々から伝わってきます。
🌱 10年後のビジョン──地域と次の世代への想いを語る
「10年後、会社をどんな姿にしたいか」という問いに対して、阿字代表は正直に答えてくれました。「この辺でなくてはならない存在になれたら」という地域への思いを口にしつつ、「できることなら大きくしたい。でもそんな無理してって分かるけど、閉めるとこは閉めて、緩むとこは緩めてって感じ」という言葉が続きました。
ガツガツした拡大路線ではなく、着実に、地に足のついた成長を目指している。中小建設業の経営者として、現実と理想のバランスを取りながら歩んでいく姿勢が伝わってきます。
若い世代へのメッセージも印象的でした。「若者に優しく、パワハラなしで頑張ってほしい」「若者を大切にしてくれるような会社にしていきたい」。業界の慣習に縛られず、次世代が働きやすい環境を自分の会社から作っていく。中小建設業にとって、この視点こそが人材確保と業界の持続的な発展につながる鍵ではないでしょうか。
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取材を通じて感じたのは、阿字代表の「飾らない誠実さ」でした。気負いなく始め、真面目にこつこつと積み上げてきた20年。その等身大の姿勢こそが、元請けに選ばれ続ける西湘躯体の本当の強みだと感じました。