最大1,160億円の公共工事が動き出す!杉並区役所改築で建設業界が知るべき受注チャンスと事業手法の変化

築62年の区役所がついに動く――その規模と背景

🏢 東京都杉並区の本庁舎が、大規模な改築・改修の本格検討段階に入りました。
現在の杉並区役所本庁舎は、東棟・中棟(議会棟)・西棟の3棟で構成されており、総延べ床面積は3万7,996㎡。最も古い東棟は昭和38年(1963年)に竣工し、その後昭和45年(1970年)に6・7階を増築。現時点で築62年が経過しています。

📋 区は令和6年(2024年)10月、日建設計に委託して作成した「杉並区役所本庁舎改築等課題検討報告書」を公表。在籍職員数は約1,900人にのぼり、現庁舎の執務室の狭あい化・会議室不足・老朽化などの課題が明記されています。人口約58万人を抱える杉並区の行政拠点として、今後のあり方を真剣に検討する段階に入ったということです。

🔎 中棟・西棟についても令和15年(2033年)には竣工から40年を迎えることから、東棟の改築だけでなく3棟全体を見据えた多面的な検討が進められています。

2つのケースで試算された概算事業費――最大1,160億円の衝撃

💰 今回の調査では、整備パターンを大きく2ケースに分けて概算事業費や整備期間が試算されました。

✅ ケースI:東棟を改築し、中棟・西棟を改修する
日影の自主規制をしない場合の概算事業費は810〜935億円。自主規制ありの場合は建設工事費(東棟)136億円+改修工事費(中棟・西棟)148億円+仮設庁舎費58億円の合計342億円と試算されています。

✅ ケースII:全面改築
概算事業費は最大で1,160億円。新庁舎の想定規模は延べ約4万9,000㎡〜5万6,000㎡(駐車場施設含む)とされています。
📌 なお、隣接する区立阿佐ヶ谷中学校の校庭に及ぼす日影の影響を考慮して自主規制した場合には、必要な想定規模を整備できない可能性があることも報告書に明記されており、設計段階での調整が重要な課題となっています。

出典:杉並区ウェブサイト https://www.city.suginami.tokyo.jp/documents/19895/kadaikentouhoukokusyo.pdf

令和33年度まで設計を進める――長期スケジュールと仮設庁舎の課題

🗓️ 整備スケジュールは、いずれのケースでも令和33年度(2051年度)にかけて基本構想・計画・設計業務を進める方針です。その後の整備工事については、ケースIで最大約9年、ケースIIでは最大約13年が見込まれています。

🏗️ 工事期間中の仮設庁舎整備も大きな論点のひとつです。報告書では、工事中の区民サービスを維持するため区有地を仮設庁舎用地の候補として整理しており、具体的には旧富士見丘小学校跡地(築58年・敷地面積約9,480㎡)、杉並会館(築57年)、旧永福図書館跡地(築59年)、杉並清掃事務所(築58年)、旧高円寺図書館跡地(築57年)などが候補として挙げられています。

また、現在の敷地から一部または全部を移転する可能性も検討されており、**桃井原っぱ公園(桃井3-8-1)や移転後の杉並第一小学校跡地(阿佐谷北1-5-27)**が主な候補地として挙げられています。

出典:杉並区ウェブサイト https://www.city.suginami.tokyo.jp/documents/19895/kadaikentouhoukokusyo.pdf

DB方式・PFI方式が選択肢に――中小建設会社が注目すべき事業手法の変化

🔑 建設業の経営者・現場監督にとって、特に注目したいのが事業手法の多様化です。
報告書では、庁舎改築の事業手法として以下の3つが比較整理されています。

まず従来方式は、区が自ら資金を調達し、設計と施工を民間事業者に分離発注する方式です。設計段階での区民ニーズの反映や計画的な事業の推進・見直しがしやすい一方で、コスト縮減は期待しにくいとされています。

次に**設計施工一括発注方式(DB方式)**は、設計と施工を一括して民間事業者に発注する手法です。施工を配慮した設計が可能となり、コスト縮減が期待できます。なお中野区の庁舎改築で採用された事例があります。

さらにPFI方式は、民間の資金・経営能力・技術力を活用し、設計から施工・維持管理・運営まで包括的・長期的に発注する方式で、維持管理期間を含めたコスト縮減が期待できます。千代田区での採用事例があります。

⚠️ 特にDB方式やPFI方式では、設計段階から施工事業者が関与するケースがあります。元請け・専門工事会社いずれの立場でも、この動向を早めに把握しておくことが受注機会の確保につながります。他区(豊島・板橋・渋谷・世田谷・葛飾・江戸川・品川・北・荒川・新宿区など)でも庁舎改築が相次いでおり、首都圏の公共建築市場は今後しばらく活発な状況が続くとみられます。

出典:杉並区ウェブサイト https://www.city.suginami.tokyo.jp/documents/19895/kadaikentouhoukokusyo.pdf

まとめ

🎯 杉並区の本庁舎改築は、最大1,160億円・工事期間最大13年という大型プロジェクトです。令和7年度(2025年度)は公募型プロポーザルにより選定した事業者への業務委託を通じて、さらなる調査・分析が進められており、今後の発注に向けた動きが加速しています。

建設業の中小企業にとっても、DB方式・PFI方式への対応力、仮設庁舎整備の受注機会、長期スケジュールを見据えた人員・資機材計画など、準備しておくべき事項は多岐にわたります。今から情報収集と体制づくりを始めることが、この大型案件への参加への第一歩となるでしょう。

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出典: 本庁舎整備の取り組み(杉並区)https://www.city.suginami.tokyo.jp/s011/19895.html および「杉並区役所本庁舎改築等課題検討報告書(令和6年(2024年)10月)」(杉並区)https://www.city.suginami.tokyo.jp/documents/19895/kadaikentouhoukokusyo.pdf をもとに作成

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