地域の橋や道路をまとめて発注する時代へ!「群マネ」全国展開で建設業の受注機会が変わる

「人手が足りない」自治体の悲鳴と、建設業者の新チャンス

全国の市町村で、インフラ維持管理の担い手が深刻に不足しています 🏗️
橋梁・道路・公園・下水道…これらのインフラは毎年少しずつ老朽化が進んでいますが、技術系職員の数が限られた小規模自治体では、適切な点検や修繕計画を立てることすら難しくなってきています。

こうした状況を打開するために、国土交通省が推進しているのが「地域インフラ群再生戦略マネジメント(群マネ)」です。複数の自治体のインフラや複数分野のインフラを「群」としてまとめて捉え、効率的・効果的にマネジメントしていく取組です。

この群マネが今、全国展開に向けた大きな転換期を迎えています 📣 国交省は2026年3月18日、「第10回地域インフラ群再生戦略マネジメント計画策定手法検討会・実施手法検討会」を開催し、体制構築の支援策や課題解決の方向性について議論を深めました。その内容は、地域で働く建設業者の皆さんにとっても、無関係ではありません。

群マネとは何か?まず基本をおさらい

群マネとは、ひと言でいえば「複数の自治体や複数の分野にまたがるインフラを、まとめてマネジメントする仕組み」です 🌐
これまでの自治体は、道路なら道路担当課、橋梁なら橋梁担当課、公園なら公園担当課…というように、分野ごとに個別発注を行ってきました。しかし技術系職員が限られる中では、こうした縦割りの対応は限界を迎えています。

群マネでは、例えばA市・B町・C村という複数の自治体が連携し、管内の橋梁・道路・河川をまとめて一つの民間委託契約として発注する、あるいは道路と公園と下水道を同じ事業者に包括的に委ねる、といった取組が可能になります。

国交省は令和5年9月にモデル地域を公募し、同年12月に11地域・40自治体を選定。令和7年10月14日には「群マネの手引きVer.1」を公表し、全国への普及活動を本格化させています ✅

※国土交通省資料より

全国11地域40自治体での試行が明らかにしたこと

モデル地域では実際にどんな取組が進んでいるのでしょうか? 2026年3月18日の検討会資料から具体例が確認できます 📊
大阪府貝塚市を中心とした7市4町のグループは、道路・公園・下水道の3分野をまとめた広域連携を実装しており、道路ではAI技術を活用した自動点検(ドライブレコーダー活用のAI道路点検:12市町)を導入済みです。秋田県大館市は道路・農林道・河川・公園・さらに農道といった複数分野を一体的に管理する「多分野連携」に取り組み、令和8年度に入り発注手続きを進めています。奈良県宇陀市(他3村)では橋梁の一括管理(点検・修繕設計・修繕工事)をCM方式で発注する試みが実施されました。

こうした先行地域の知見をもとに手引きVer.1が作成されており、令和8年1月以降には全国建設技術センター等協議会・土木学会・インフラメンテナンス国民会議・建設業振興基金など各種団体主催の説明会・勉強会が10件以上開催されています。

「事務組合」「事業協同組合」──体制整備で建設業者の出番が増える

今回の第10回検討会で特に注目すべきは、「広域連携を担う主体のあり方」に関する議論です 🏢
複数自治体が連携して発注を行う場合、発注者サイドをまとめる組織が必要になります。検討会の資料では、その体制として①一部事務組合・広域連合、②都道府県建設技術センター、③事業協同組合、④インフラマネジメント企業の4パターンが整理されています。

中でも③の「事業協同組合」は、建設業者が複数集まって共同受注する形態で、まさに地域の中小建設業者が連携して受け皿になるモデルです。発注者側だけでなく、受注者側の体制として事業協同組合の設立が明示的に課題として挙がっていることは、地域の建設業者にとって大きなポイントです 💡
また、検討課題として「技術者要件の緩和」も挙がっています。現行の入札参加資格・技術者要件が、包括的な業務を受注する際の障壁になっているという実態が浮かび上がっています。

奈良県(垂直・水平連携)や岐阜県・白川村の先行事例では、県が代表発注者として市町村から委託を受け、民間事業者に一括発注する仕組みが構築されており、すでに協定書・発注図書のサンプルも群マネ特設HPに公開されています。

※国土交通省資料より

 

自治体側の課題も明確に──発注体制づくりを国が支援へ

群マネの全国展開に向けては、自治体側にも複数の課題があることが明確になっています ⚠️
まず「代表自治体へのインセンティブ付与」の問題です。広域連携では、誰かが音頭を取って業務をまとめる「代表自治体」を決める必要がありますが、意識の高い県や市の善意に頼るだけでは長続きしません。庁内を説得するための材料も乏しいという声が現場から上がっています。

「責任分担の明確化」も大きな課題です。自分の自治体の体制が脆弱だからこそ他に任せたい、という発想では「本来管理者としての役割をどうするか」という問題が残ります。長期の包括契約では、発注時点で詳細な工事積算に必要な設計成果が揃っていないことも想定され、予算説明への対応が難しいという指摘もあります。

「財政面」では、群マネ導入に向けた調査・検討費の支援メニューが現状では整っていないこと、日常維持管理業務(単費)が補助・交付金の対象外で予算化が難しいことが課題として挙げられています。国交省はこれらの課題解決に向けた枠組み構築を進めており、今後の政策的な支援拡充が期待されます。

建設業者は今から何をすべきか?

群マネが全国展開されていくにあたって、地域の建設業者に求められる対応はいくつかあります 🔑
① 自分の地域のモデル地域の動向をチェックする
既にモデル地域として動いている40自治体の取組状況は、国交省の群マネ特設HPで公開されています。自分の地域や隣接する自治体が対象になっていれば、今後発注形態が大きく変わる可能性があります。

② 「包括的民間委託」に対応できる体制を考える
群マネでは道路・橋梁・河川・公園など複数分野を一括して受注する形態が増えます。単独では対応が難しい分野は、地域の同業者と協議し、事業協同組合の設立や業務提携の可能性を検討しておくことが重要です。

③ 手引きVer.1を読んでおく
群マネ特設HPには「群マネの手引きVer.1」(閲覧用・印刷用)が無料で公開されています。自治体向けに書かれた内容ですが、発注の構造・業務範囲・契約のポイントを把握することで、提案力の強化にもつながります。

④ 動向の変化に注目する
今後、国交省は「群マネの手引きVer.2」の公表を目指しています。Ver.2では、既存事例が乏しいスキーム(長期契約・PFI等)が新たに盛り込まれる見込みです。情報のアップデートを継続的に確認しましょう。

まとめ

地方インフラの老朽化と自治体の人手不足という二重の危機を背景に、「群マネ(地域インフラ群再生戦略マネジメント)」の全国展開が加速しています 🚀

国交省は令和5年12月に11地域・40自治体をモデル地域として選定し、令和7年10月に「群マネの手引きVer.1」を公表。2026年3月18日の第10回検討会では、一部事務組合や事業協同組合の設立支援、技術者要件の緩和など、体制構築に向けた具体的な課題と方向性が整理されました。

地域の中小建設業者にとっては、これまでバラバラに発注されていた複数の業務が一つの包括契約としてまとまってくる可能性があり、受注チャンスが拡大する一方で、新たな体制づくりが求められます。今のうちから仲間の業者との連携や事業協同組合の可能性を検討しておくことが、これからの受注力強化につながるでしょう 💪

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出典: 「地域インフラ群再生戦略マネジメント計画策定手法検討会・実施手法検討会(第10回)配付資料」(国土交通省)https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/maintenance/03activity/03_02_06_13.html をもとに作成

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