記事を読み込み中です

建設会社の経営において、「今月の売上はいくらだったか」を気にする社長は多いでしょう。しかし、売上だけを見ていても会社の本当の状態は見えてきません。 実際に、売上が前年より伸びているにもかかわらず資金繰りに苦しむ会社や、忙しく現場が回っているのに利益が残らない会社は少なくありません。
建設業は工事ごとの収支管理が複雑で、材料費や外注費の変動も大きいため、経営判断に必要な数字を定期的に確認することが重要です。 今回は、中小建設会社の社長が毎月チェックしておきたい5つの数字について解説します。
「先月より売上が増えたから安心だ」と考えるのは危険です。 建設業では工事の完成時期や入金時期のズレがあるため、売上が増えていても手元資金が不足するケースがあります。
また、材料価格の高騰や外注費の上昇によって利益率が低下していることもあります。 経営者が本当に見るべきなのは、売上以外の数字です。数字は会社の状態を客観的に示してくれる重要な指標です。
※画像はイメージです
最初に確認したいのが粗利益率です。 粗利益率とは、売上から工事原価を差し引いた利益の割合を指します。
例えば100万円の工事を受注し、材料費や外注費などの原価が80万円なら粗利益は20万円、粗利益率は20%です。 売上が伸びていても粗利益率が下がっている場合、利益が残りにくい経営状態になっています。
特に近年は資材価格や燃料費の上昇が続いているため、前年同月と比較しながら確認することが重要です。
次に確認したいのが預金残高です。
建設業では黒字倒産という言葉があるように、利益が出ていても現金が不足すると会社は運営できません。 毎月の支払額に対して何か月分の資金を確保できているかを把握しておくことが重要です。
一般的には、少なくとも3か月分以上の固定費を確保しておくと安心とされています。 資金繰り表を作成し、将来の入出金予定まで見える化しておくと経営判断がしやすくなります。
工事が完了しているにもかかわらず、入金されていない金額がどれくらいあるかも重要です。 売掛金の回収遅れは資金繰り悪化の原因になります。
特に複数の現場を抱える会社では、請求漏れや回収漏れが発生することがあります。 毎月末時点で未回収金額を確認し、回収予定日も管理する習慣を付けましょう。 事務担当者だけでなく、経営者自身も状況を把握しておくことが大切です。
人件費が売上に対してどの程度を占めているかを示すのが労務費率です。
人手不足が深刻化する建設業では、賃上げや採用コストの増加が続いています。 しかし、売上増加以上に人件費が膨らむと利益を圧迫します。
逆に労務費率が極端に低い場合は、長時間労働や人員不足が隠れている可能性もあります。 適正な人員配置ができているかを判断するためにも、毎月確認したい数字の一つです。
会社全体の利益だけでなく、現場ごとの収支も確認しましょう。
利益を生む現場と利益が出ていない現場を把握することで、受注判断や見積精度の向上につながります。 特に赤字現場が発生した場合は、その原因を分析することが重要です。
見積ミスなのか、追加工事への対応不足なのか、工程管理の問題なのかを振り返ることで次回の改善につながります。 数字を蓄積することで、自社にとって利益の出やすい工事の傾向も見えてきます。
経営環境が厳しくなる中、経験や勘だけで会社を運営することは難しくなっています。 数字は会社の課題を早期に発見し、適切な対策を打つための重要な材料です。
毎月同じタイミングで数字を確認し、前月や前年と比較する習慣を作ることで、小さな異変にも気付けるようになります。 大企業のような高度な経営管理システムがなくても、まずは今回紹介した5つの数字を把握するだけで経営の見え方は大きく変わるでしょう。
建設業の経営では売上だけを見るのではなく、粗利益率、手元資金残高、未回収売掛金、労務費率、現場ごとの利益額を継続的に確認することが重要です。
数字を把握する習慣は、資金繰り悪化や利益低下の早期発見につながり、より安定した経営基盤の構築に役立つでしょう。
➡関連記事:建設業で増えるサイバー攻撃|中小企業も他人事ではない
➡関連記事:朝の電話ラッシュをなくせ!建設会社の連絡ルール見直しで現場がスムーズに回る理由
➡関連記事:5分の確認不足が大損失に…建設現場の“伝達ミス”を防ぐ業務改善の基本
本サイトについて、ご質問・ご相談がある場合は、下記のお問い合わせフォームからお気軽にお寄せください。 あわせて、協力会社探しや人材確保など、日常的な情報収集の場として無料で利用できる建設業向けマッチングサイト『建設円陣』もぜひご登録ください(緑のバナーをクリック)。
本サイトについて、ご質問・ご相談がある場合は、下記のお問い合わせフォームからお気軽にお寄せください。
「建設円陣PLUS編集部」は、建設業界に特化したプラットフォーム「建設円陣」を運営する株式会社エンジョイワークスの編集チームです。中小建設業の経営・人材・現場課題を、国土交通省・厚生労働省、業界専門紙や公的機関の情報をもとに解説します。