渇水と老朽化、木曽川水系が抱えるダブルリスク⚠️
豪雨と渇水が交互に襲う近年の気候変動を受けて、水資源政策も大きな転換点を迎えています。🌏
国土交通省は2026年7月28日、第12回国土審議会水資源開発分科会木曽川部会を開催し、「木曽川水系における水資源開発基本計画」の全部変更に向けた審議を行ないました。会議では、これまでの安定供給を前提にした計画から、渇水や大規模自然災害、施設の老朽化といったリスクをあらかじめ織り込む「リスク管理型」の計画へと抜本的に見直す方針が示されています。
水インフラの現場を支える建設業にとって、この動きは単なる行政の話ではなく、今後の維持修繕・更新工事の発注動向を左右する重要なシグナルです。📢
木曽川部会がこのテーマを議論するのは今回で3回目。すでに木曽川の概要と現行計画の総括評価を終えており、第12回では①前回会合での主な意見、②木曽川水系の水需給バランス、③長野県・岐阜県・愛知県・三重県の4県における渇水・大規模自然災害・施設老朽化への取組状況、④水資源をめぐる情勢の変化、⑤次期基本計画の骨子案、という議題が並びました。
会議は対面とWeb会議のハイブリッドで公開実施され、資料や議事録は後日、国土交通省の木曽川部会のページで公開される予定です。🖥️
徳山ダムと連絡導水路事業に見る具体的な整備の中身🏗️
現行の「木曽川水系における水資源開発基本計画」は2004年6月15日に閣議決定されて以降、2008年6月・2009年3月・2015年7月・2016年1月・2018年3月・2024年12月と、たびたび一部変更を重ねてきました。計画に位置付けられた代表的な施設整備が、独立行政法人水資源機構が事業主体を務める「徳山ダム建設事業」です。
揖斐川に建設されたこのダムは、新規開発水容量が約78,000千立方メートル、有効貯水容量は約380,400千立方メートルにのぼり、洪水調節や異常渇水時の緊急水補給、岐阜県・愛知県の水道用水・工業用水の確保を目的に、昭和46年度から平成23年度にかけて整備が進められました。
もう一つの柱が「木曽川水系連絡導水路事業」です。木曽川・長良川・揖斐川の3河川を水路でつなぎ、徳山ダムで確保した水を木曽川・長良川に導水することで、異常渇水時には毎秒20立方メートルもの緊急水補給を可能にする計画で、予定工期は平成18年度から令和18年度までと長期にわたります。⏳
こうした大規模施設は完成後も点検・補修・耐震化といった維持管理工事が継続的に発生するため、地域の建設会社にとっては長く関わり続けられる仕事の土台になります。🔧
「水資源開発基本計画」とリスク管理型への転換とは📘
そもそも「水資源開発基本計画」とは、水資源開発促進法にもとづき、水の総合的な開発・利用の合理化を図るための国の計画で、利根川水系及び荒川水系、豊川水系、木曽川水系、淀川水系、吉野川水系、筑後川水系の全国6水系で策定されています。
現行の木曽川水系の計画は2015年度(平成27年度)を目標年度に需要見通しを設定していましたが、すでに目標年度から10年以上が経過。人口減少や産業構造の変化で需要の姿も変わったことに加え、近年の渇水頻発や大規模自然災害、施設の老朽化リスクを踏まえ、今回「リスク管理型」への抜本見直しに踏み切ることになりました。
この審議を担う木曽川部会は2001年8月21日に設置され、大学教授など専門家10名(2026年3月時点)が委員を務めています。長年にわたり地域の水事情を見てきた専門家たちが、渇水・災害・老朽化という複合リスクにどう向き合うかを議論している点も、今回の見直しの重みを物語っています。🧑🏫
出典:「【水資源計画】水資源開発分科会 第12回木曽川部会 配布資料」資料2-5_次期「木曽川水系における水資源開発基本計画(骨子案)」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/002013939.pdf)
中小建設業がいま押さえておきたい対応策💡
では、この見直しの流れを中小の建設業はどう捉えればよいでしょうか。
まず押さえておきたいのは、水資源開発基本計画に位置付けられる施設はダム本体だけでなく用水路・導水路・関連設備まで幅広く、地域の維持修繕工事の受注機会が中長期にわたり生まれ続けるという点です。
また会議の議題にも「施設の老朽化等に対する取組状況」が明記されている通り、既存インフラの更新・耐震補強は今後さらに優先度が上がる分野といえます。👉
自社の施工実績やダム・河川構造物に関する点検資格を棚卸しし、発注機関の入札・公募情報を定期的にチェックしておくことが、次の受注チャンスを逃さないための第一歩になります。
あわせて、長野県・岐阜県・愛知県・三重県それぞれの渇水・防災の取組状況も会議の議題に含まれているため、自社の営業エリアが該当する県の発表資料には目を通しておきたいところです。📄官民連携で進む水インフラ整備は、情報を早くキャッチした会社ほど提案・入札の準備を先行できるという点で、経営戦略上のヒントにもなります。
出典:「【水資源計画】水資源開発分科会 第12回木曽川部会 配布資料」資料2-5_次期「木曽川水系における水資源開発基本計画(骨子案)」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/002013939.pdf)
まとめ🌊
木曽川水系の水資源開発計画見直しは、単なる水行政のニュースにとどまらず、老朽化した水インフラの更新需要という形で建設業の仕事にもつながっていく話です。
会議の詳細な資料は今後公開される予定なので、続報にもぜひ注目してみてください。
本サイトについて、ご質問・ご相談がある場合は、下記のお問い合わせフォームからお気軽にお寄せください。
あわせて、協力会社探しや人材確保など、日常的な情報収集の場として無料で利用できる建設業向けマッチングサービス『建設円陣』もぜひご登録ください(緑のバナーをクリック)。
出典:「木曽川水系における水資源開発基本計画」の全部変更の審議をします(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/report/press/water02_hh_000209.html)をもとに作成










