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「建設DX」という言葉を耳にする機会が増えたものの、「大手ゼネコンの話」「高額なシステムが必要」と受け止めている中小建設会社は少なくない。しかし結論から言えば、建設DXは手元のスマートフォンと無料のツールから始められる。
本稿では、追加費用をほぼかけずに着手できる5つの取り組みを紹介する。
DX(DXとは:デジタルトランスフォーメーションの略で、デジタル技術を使って業務や経営の仕組みそのものを変えること)は、単にパソコンを導入することではない。紙・電話・FAXに頼ってきた情報のやり取りをデジタルに置き換え、移動や手待ち、二重入力といった「見えないムダ」を減らすことが本質である。
背景には業界の構造的な課題がある。2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制(時間外労働の上限規制とは:残業時間に罰則付きの上限を設ける制度)が適用され、限られた時間で同じ量の仕事をこなす必要が生じた。就業者の高齢化と若手入職者の減少も続いている。
国土交通省も2024年にi-Construction 2.0(i-Construction 2.0とは:建設現場の自動化・デジタル化により、2040年度までに少なくとも3割の省人化を目指す国の施策)を打ち出した。公共工事を中心に発注者側のデジタル化は確実に進んでおり、元請・協力会社を問わず対応力が問われる時代に入っている。
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個人のLINEや電話で行なっている現場連絡を、ビジネスチャット「LINE WORKS」に移す方法である。無料のフリープランでも30人まで利用でき、トーク、カレンダー、タスク、掲示板などの基本機能を使える。
LINEに近い操作感のため職人にも定着しやすく、業務と私用の連絡を分けることで「言った・言わない」のトラブル防止にもつながる。
現場写真や図面を事務所に持ち帰って整理する作業は、Googleドライブなどのクラウドストレージ(クラウドストレージとは:インターネット上にデータを保存し、複数人で閲覧・共有できるサービス)で大幅に短縮できる。
Googleアカウントは無料で作成でき、15GBまでの保存容量が付く。現場ごとにフォルダを作り、撮影したその場でアップロードすれば、事務所側はすぐに内容を確認できる。
手書きの日報や安全点検表は、GoogleフォームとGoogleスプレッドシートの組み合わせで置き換えられる。スマートフォンから入力した内容が自動で表に集計されるため、転記作業が不要になる。
人工(人工とは:作業員1人が1日働く作業量の単位)の集計にも使え、原価管理の精度向上にも役立つ。
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施主への説明文や求人原稿、社内文書の下書きには生成AI(生成AIとは:指示文に応じて文章などを自動で作り出す人工知能)が使える。「ChatGPT」や「Claude」などは無料プランを提供している。
ただし出力には誤りが含まれることがあるため、最終確認は必ず人が行ない、顧客情報などの機密情報は入力しないといった社内ルールを先に決めておきたい。
本格的な施工管理システムを検討する段階では、国の補助金が選択肢になる。
従来の「IT導入補助金」は2026年からデジタル化・AI導入補助金(デジタル化・AI導入補助金とは:中小企業のITツール導入費用の一部を国が補助する制度)へ名称が変わり、ソフトウェア購入費に加えてクラウド利用料なども対象となっている。申請は事務局に登録されたIT導入支援事業者(IT導入支援事業者とは:補助対象ツールを提供し、申請手続きを支援する事業者)と連携して行なう。公募時期や要件は変わるため、事務局の公式サイトで最新情報を確認したい。
何から始めるか迷う場合は、各都道府県のよろず支援拠点(よろず支援拠点とは:国が設置する中小企業向けの無料経営相談窓口)に相談するのも有効である。
注意したいのは、一度に複数のツールを導入しないことだ。現場が混乱し、結局元のやり方に戻る例は珍しくない。
まずは1つの現場・1つの業務に絞って試し、効果を確かめてから広げるのが近道である。デジタルに慣れた若手を推進役に据えると、社内の理解も得やすい。
建設DXは多額の投資から始めるものではなく、日々の連絡や書類のムダを一つずつ減らしていく取り組みである。無料ツールで小さな成功体験を積み重ねることが、人手不足と働き方改革の時代を乗り切る確かな一歩となる。
デジタル化で生まれた時間を新たな受注や現場の拡大につなげるために、協力会社探し・人手確保には無料の建設業向けマッチングサービス『建設円陣』へのご登録をぜひご検討ください(緑のバナーをクリック)。
出典:・「i-Construction 2.0」を策定しました(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_001085.html)
・「建設業・ドライバー・医師の時間外労働の上限規制特設ページ」(岩手労働局)(https://jsite.mhlw.go.jp/iwate-roudoukyoku/roudoukyoku/gyoumu_naiyou/kijunbu/kantoku/tekiyoujigyou_tokusetu_iwate.html)
・「デジタル・IT化支援」(中小企業庁)(https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/gijut/)
・「よろず支援拠点」(中小企業庁)(https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/network/download/yorozu_shien_center.pdf)
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