人材育成・採用から現場の知恵まで、建設業の情報をお届けします
国交省が新資料「木造ディテール参考図」公表、庁舎設計の効率化へ

国交省が新資料「木造ディテール参考図」公表、庁舎設計の効率化へ

「木造で公共施設をつくってください」と言われても、実は設計の現場では地味な苦労が積み重なっていました。

屋根や軒裏、外壁、建具まわりなど、木造ならではの部材の取り合い部分は、性能(耐久性・断熱性・防耐火性・音環境)をきちんと確保しながら図面に落とし込む必要があり、設計者ごとに手探りで検討することも多かったのです。

特に中小規模の設計事務所や工務店にとっては、参考にできる詳細図が少なく、木造化の提案を検討するだけでも時間と手間がかかっていた、というのが実情でした。国が発注する施設でこうした状態が続けば、木造化そのものが広がりにくくなってしまいます。

国交省が「木造ディテール参考図」を公表📐

そんな状況を受けて、国土交通省は令和8年7月8日、木造官庁施設の設計を効率化し、品質と性能を確保するための資料「木造ディテール参考図」を作成・公表しました。

この参考図は、大臣官房官庁営繕部が中心となり、既存の木造建築物の詳細図や仕様書を収集・整理し、「官庁施設の木造化のためのディテールに関する検討会」(令和6年10月〜令和8年2月)での検討を経てまとめられたものです。

参考図の構成は次の5つの部位です。

①屋根・軒裏 

②外壁 

③外部建具 

④屋内の中間階床・天井 

⑤間仕切壁

それぞれについて複数仕様の参考図が示され、部材同士が取り合う箇所など性能確保のうえで特に重要な範囲が図解されています。

さらに、設計者が実施設計図書に特記すべき部材の種類・規格・寸法の一例や、その寸法・納まりに込められた性能確保の考え方まで「参考図のポイント」として記載されている点が特徴です。

細かい仕様まで具体的に示されているため、設計初心者でもイメージをつかみやすい内容になっています。

出典:国土交通省ウェブサイトhttps://www.mlit.go.jp/report/press/eizen09_hh_000029.html

背景にあるのは「都市の木造化推進法」🏛️

今回の取り組みの背景には、令和3年に改正された「都市(まち)の木造化推進法」の基本方針があります。この基本方針により、国が整備する公共建築物は原則木造化を図るものとされ、木材利用の一層の促進が求められるようになりました。

官庁営繕部としても、木造化を進めるうえで避けて通れないのが「品質・性能をどう確保するか」という課題です。今回の参考図は、まさにその課題に応えるための実務的なツールといえます。

今後、国が発注する庁舎などの公共建築物では、木造での整備を前提とした計画・設計がさらに増えていくことが見込まれます。

中小工務店・設計事務所が今すぐ活用できるポイント👉

この参考図は、国土交通省のウェブサイト(官庁営繕:具体的な取組事項)からPDF形式でダウンロードできます。

公共工事の木造化案件を受注する可能性がある工務店や設計事務所にとっては、次のような使い方が考えられます。

*木造官庁施設の入札・提案時に、部材の仕様や納まりの参考資料として活用する

*自社の木造設計標準にまだディテールが整理されていない場合、参考図をベースに社内基準を見直す

*若手設計者への教育資料として、性能確保の考え方を学ぶ材料にする

官公庁向けの案件に限らず、木造建築の耐久性・断熱性・防耐火性・音環境への配慮という視点は、民間の木造工事でも十分に参考になる内容です。

不明点があれば、国土交通省大臣官房官庁営繕部整備課木材利用推進室が問い合わせ先として案内されているので、詳細な運用ルールを確認したい場合は直接問い合わせてみるのもよいでしょう。

※画像はイメージです

まとめ🙌

国土交通省が公表した「木造ディテール参考図」は、木造官庁施設の設計効率化と品質確保を目的とした実務資料であり、公共建築物の原則木造化という大きな流れのなかで、中小規模の工務店や設計事務所にとっても心強い手引きになりそうです。

木造の公共工事に関わる機会がある方は、ぜひ一度、国土交通省のウェブサイトから参考図を確認してみてはいかがでしょうか。

➡関連記事:木造9階建てビルに国交相視察、木造化の波は中小建設業にも

➡関連記事:パラメトリック設計で3D作成効率化、国交省が2027年度に本格始動

➡関連記事:成田空港に新ターミナル計画始動、2030年代の巨大工事で商機到来

本サイトについて、ご質問・ご相談がある場合は、下記のお問い合わせフォームからお気軽にお寄せください。
あわせて、協力会社探しや人材確保など、日常的な情報収集の場として無料で利用できる建設業向けマッチングサービス『建設円陣』もぜひご登録ください(緑のバナーをクリック)。

出典:「木造官庁施設の設計時に参考となる『木造ディテール参考図』を作成~官庁施設における木材利用を推進します~」(国土交通省)https://www.mlit.go.jp/report/press/eizen09_hh_000029.html をもとに作成

お問い合わせ

本サイトについて、ご質問・ご相談がある場合は、下記のお問い合わせフォームからお気軽にお寄せください。

お問い合わせ項目

この記事を書いた人

建設円陣PLUS編集部

株式会社エンジョイワークス


「建設円陣PLUS編集部」は、建設業界に特化したプラットフォーム「建設円陣」を運営する株式会社エンジョイワークスの編集チームです。中小建設業の経営・人材・現場課題を、国土交通省・厚生労働省、業界専門紙や公的機関の情報をもとに解説します。

建設業向けマッチングアプリ【建設円陣】

建設円陣は、建設業界に特化したマッチング&求人アプリです。協力会社や職人とのマッチングはもちろん、求人掲載や採用活動にも対応。条件を入力するだけで最適な人材・企業が見つかり、AIによる募集文生成機能も搭載。発注・受注から採用まで、業界の課題をスマートに解決します。

建設業特化求人サイト【円陣求人サイト】

建設円陣求人サイトは建設業界に特化した求人サイトです。ログイン・投稿・応募確認まで、すべてがLINE上で完結。求人応募は登録作業一切なし。フォーム入力だけで応募が完了し、求人掲載も無料です。業界が抱える人材不足の問題を、スマートに解決します。