記事を読み込み中です

2026年7月17日、文化審議会は163件の建造物を登録有形文化財として登録するよう文部科学大臣に答申しました。この中に含まれているのが、大阪市にある「住吉の長屋(東邸)」です。
設計を手がけたのは、世界的建築家として知られる安藤忠雄氏。今回の答申により、安藤氏の作品としては初めて国の登録有形文化財となる見通しとなりました。🎉
建設業に携わる方であれば、一度は名前を耳にしたことがある「住吉の長屋」。その建築が、半世紀近くの時を経て正式に文化財として認められようとしています。
現場で日々コンクリートやモルタルと向き合う私たちにとって、決して他人事ではないニュースではないでしょうか。🔨
住吉の長屋(東邸)が竣工したのは昭和51年(1976年)。構造は「長屋一戸規模の鉄筋コンクリート造二階建」で、中庭に階段を設け、前後の二階を渡り廊下でつなぐという独特の構成が特徴です。
文化庁の答申資料では、この建物について「コンクリート打放仕上の閉鎖的な外観と中庭による開放性を共存させ、都市住宅像の新境地を切り拓いた名作」と評価されています。さらに「建築家・安藤忠雄氏の初期作にして代表作」「現代建築史に残る住宅建築」とも位置づけられました。
打放しコンクリートという、当時としては挑戦的だった仕上げが、半世紀を経て国の文化財という形で評価される。コンクリート打設や型枠工事に携わる現場の技術者にとって、誇らしい話といえそうです。💪
今回の答申で新たに登録されるのは163件。これにより、登録有形文化財(建造物)の累計登録件数は15,041件となる見通しです。
関係する都道府県は28道府県にのぼり、これまでの登録実績を合わせると全47都道府県に登録物件が存在することになります。関係市町村数も60自治体にのぼり、累計では1,048自治体に達しています。
今回の答申で紹介された主な物件は、住吉の長屋(東邸)のほかにも複数あります。
青森県の東北大学植物園八甲田山分園実験棟、東京都の山陽堂書店(谷内六郎氏によるモザイクタイル装飾が特徴)、新潟県の日本聖公会中部教区高田降臨教会(ヴォーリズ建築事務所設計)、岡山県の十坪住宅、福岡県の旧一心楼主屋など、時代も用途も異なる建造物が並びます。
全国各地に、まだ知られていない価値ある建築が数多く眠っていることを感じさせるラインナップです。🗾
住吉の長屋(東邸)は昭和51年築ですから、すでに築50年を迎えています。打放しコンクリートは意匠性の高さで知られる一方、経年によるひび割れや中性化、鉄筋の発錆といった劣化が進みやすい構造でもあります。
文化財としての価値を損なわずに次の世代へ引き継いでいくためには、当時の意匠・工法への理解を欠かさない補修・改修が欠かせません。今回のように、身近な建築が文化財として光を当てられる事例は今後も増えていくと考えられます。
中小の建設会社やリフォーム事業者にとっても、歴史的建造物の維持管理に関わる知見や技術を蓄積しておくことは、これからの仕事の幅を広げるきっかけになるかもしれません。普段何気なく手がけている打放しコンクリートの現場も、数十年後には誰かにとっての「文化財」になっているかもしれない――そんな視点を持ってみるのも良いのではないでしょうか。😊
住吉の長屋(東邸)の登録有形文化財への答申は、建築そのものの価値だけでなく、それを形にした現場の技術力にも改めて光を当てる出来事だといえます。
本サイトについて、ご質問・ご相談がある場合は、下記のお問い合わせフォームからお気軽にお寄せください。
あわせて、協力会社探しや人材確保など、日常的な情報収集の場として無料で利用できる建設業向けマッチングサービス『建設円陣』もぜひご登録ください(緑のバナーをクリック)。
出典:文化審議会の答申(登録有形文化財(建造物)の登録)(文化庁)(https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/94408101.html)をもとに作成
➡関連記事:大阪城公園に新デッキ誕生、森之宮と直結し2028年春開通へ
お問い合わせフォームを読み込んでいます。お問い合わせページもご利用いただけます。
お問い合わせフォームを読み込み中です「建設円陣PLUS編集部」は、建設業界に特化したプラットフォーム「建設円陣」を運営する株式会社エンジョイワークスの編集チームです。中小建設業の経営・人材・現場課題を、国土交通省・厚生労働省、業界専門紙や公的機関の情報をもとに解説します。