🏗️ なぜ建設業を選んだのか?アパレルから現場へ、転身の原点
中川代表の出発点は、建設とはまったく縁のないアパレル業界だった。ブランドの商品を買い付けるバイヤーとして働くなかで、知人が建築会社を営んでいたことをきっかけに建設業界と接点を持つようになった。
「もともと僕がアパレルのバイヤー出身だったんですけど、親戚が建築の会社を営んでいて、建築業界に関わることが多かったんです」
当時のアパレル業界は、コンプライアンス面で厳しい時代だったという。新しいことに挑戦したいという気持ちが膨らんでいた中川代表にとって、建設業への転身は自然な流れだった。
「当時はとにかく新しいことがしたかった、自分の場所を作りたいという気持ちだったんでしょうね」と笑いながら振り返る。不安よりも前進したい気持ちが勝っていたようだ。
もともと「内装屋」としての出発だったが、顧客との取引が広がるなかでマンション新築工事からオフィス工事まで、建築一式を手がける体制へと進化を遂げた。この一年半から二年で業態は大きく変わり、現在では施工管理・品質管理・工程管理を軸に、全国規模で事業を展開している。
「どの時代にも褪せない職業じゃないかって一番思ってるので。AIやロボットには絶対にできない仕事だと思っているし、日本の建築業界は古い体制でずっと続いている分、逆にブルーオーシャンだとも感じています」
中小建設業にとっても、この「手を動かす職人の価値」という視点は、今後の人材確保において大きな訴求力を持つはずだ。
🔧 うちにしかできないこと──リピート率ほぼ100%を生み出す「ノーを言わない」哲学とは
株式会社ノワールの最大の強みを一言で表すなら、「できる方法を考え続けること」だ。顧客リピート率はほぼ100%、仕事はすべて紹介とリピートで回っており、現在は新規受注を停止せざるを得ないほど引き合いが多い状態だという。
「うちの方針で、なるべくノーを言わないという会社体制を作っているので」
これは単なるフットワークの軽さではない。難しい要望や無茶な工期に対しても、すぐに「できません」とは言わず、「こうすれば工期が間に合う」「こういうやり方に変えればできる」という代替案を必ず提示する。断るのではなく、新しい道筋を示す姿勢が顧客からの信頼を生んでいる。
「できないっていうことが簡単なので。でも、その中でできる方法をこちらから提案する、なるべく新しい道筋を示した上での打ち合わせ・契約というところに持っていく方針にしています」
仕事量の半分はB to Cのエンドユーザー、もう半分は上場企業ゼネコンからの依頼が占める。施工のクオリティ管理にも徹底してこだわり、是正やクレームが出ないよう現場チェックを重ねている。パートナー業者もまた「ノーを言わない」スタンスの業者で固めており、チーム全体の信頼関係がノワールの競争力の根幹を成している。
⚠️ 仕事はあるのに人が足りない──中小建設業が直面する人員課題に、どう向き合うか
建設業界全体で深刻な人手不足が続くなか、株式会社ノワールも例外ではない。受注量と人員が「反比例」しているという状態が続いており、現状の社員一人ひとりのタスク量はオーバーワーク気味だと中川代表は率直に認める。
「今の体制でいくと、あと何人かは入れて会社の規模を大きくしないといけないのかなっていうのは考えています。補充していかないと、社員一人一人の仕事のタスク量がオーバーワークになっているのは間違いないので」
求人については現在、一般媒体への掲載はしておらず、ホームページ経由の問い合わせや人づてのヘッドハンティングが主な採用経路となっている。即戦力となれる経験者を優先したいという理由から、あえて間口を広げていないという側面もある。
「入ってくると即戦力になるっていうのとかなり上のポジションでの仕事になると思うんですよ。自分で考えて判断して動ける人っていうところが今一番欲しい人材なので」
一方で、若い未経験者の可能性にも目を向けている。「今頑張ろうとしてくれているような若い未経験の子が一人入っても刺激になるのかなっていうのは、片方で思ってたりはする」と語るように、やる気と真剣さがあれば年齢・経験不問で歓迎する姿勢も持っている。出張手当も支給しており、月の半分ほどは関東(東京・埼玉)方面への出張があるというのも、仕事の幅広さを示している。
🌱 10年後のビジョン──会社を「家族」にしたい、中川代表が描く未来
中川代表が語る今後のビジョンは、数字よりも人との絆を中心に据えたものだ。売上規模として20億〜30億円という目標は持ちつつも、その先に見据えているのは「会社という組織を家族のように作り上げること」だという。
「売上をいくら取りたいとかではなくて、会社という一つの組織を家族みたいな形で作り上げてしまって。言ったら、僕はそれが最終目標なのかなっていうふうに思っています」
この想いは、従業員への接し方にも表れている。「仕事をするために生まれてきたわけじゃない」という信念のもと、プライベートや家族を大切にできる環境づくりを常に意識している。休みの確保や給与水準の向上にも取り組み、「仕事をしているのは生きていくためではなくて、自分が楽しむため」という言葉を社員と常に共有しているという。
現在のメンバーは中川代表が独立前に勤めていた会社の同僚・部下たちで、プライベートを含めた長年の絆で結ばれている。このチームに、今まさに新しい仲間を求めている。
「仕事を割り切って楽しんで仕事できるようなスタッフが一番かな、と。頭のいい悪いはいらなくて、仕事をちょっとしっかりと楽しめながら真面目にこなしてくれる子がいればそれでいい」
中小建設業として規模を拡大しながら、チームの絆と働く人の豊かさを守り続けるという中川代表の姿勢は、採用を考える求職者にとって大きな安心感になるはずだ。
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取材を通じて感じたのは、中川代表の「ノーを言わない」という言葉の裏にある、仕事への真摯さと人への誠実さでした。受注も採用も「紹介と信頼」で成り立つノワールのあり方は、中小建設業の経営のヒントが詰まっています。