🔨 大阪府松原市を拠点に、足場工事・とび工事を軸として外壁リフォームや害獣駆除まで手がける株式会社石田。代表の石田雄久氏は、15歳でこの道に入って以来、30年以上を職人として歩んできた。「うちの強みは、みんなが仲ええところ」と語る石田氏の言葉からは、技術だけでなく“人とのつながり”を何より大切にする経営の姿勢が見えてくる。中小建設業がこれからを生き抜くヒントを探る。
🏗️ なぜ足場の道へ?15歳から続く職人人生の原点
石田氏がこの業界に足を踏み入れたのは、わずか15歳のときである。きっかけは「幼馴染のお父さんがやってたから」という、ごく身近な縁だった。 最初は別の職種を志した時期もあったが、しっくりとはこなかった。結局、気心の知れた幼馴染の父が営む足場・とびの会社に身を置き、職人としての一歩を踏み出すことになる。 その後、一度はこの道を離れた転機もあったが、再び現場へと戻ってきた。「怪我治ったから言うて」と、ごく自然に元の世界へ帰っていったという。 18歳で運転免許を取ると、友人と二人でトラックを購入し、下請けとして独立した働き方を始めた。会社員として勤めるのではなく、若いうちから自分の責任で仕事を請け負う──その姿勢は今に通じている。 そして平成25年、それまで個人事業主として続けてきた事業を法人として整え、株式会社石田を本格的に始動させた。気づけばこの業界一筋で30年以上。足場という現場の最前線を、長く見つめ続けてきた。
🔧 うちにしかできないこと──「仲の良さ」と「つながり」という武器
足場・とびの業者は数えきれないほど存在する。その中で自社の強みを問うと、石田氏は迷わずこう答えた。「みんなが仲ええところかな」 現在の従業員は5名。そこには25歳になる息子の姿もある。少人数だからこそ、互いの息が合い、現場でのチームワークが何よりの財産になっている。 もう一つの大きな武器が、長年かけて築いてきた“横のつながり”である。塗装、シール、解体──それぞれの分野に信頼できる仲間がいて、案件に応じて声を掛け合う。 「外壁リフォームも、友達と一緒にやるみたいな感じ」と石田氏。元請けからすれば、塗装屋やシール屋を個別に手配する必要がなく、石田氏に頼むだけで段取りが整う。「それが楽や言うて頼んでくるところもある」という。 中小建設業にとって、こうした地域に根ざした信頼関係は一朝一夕には築けない。長く誠実に仕事を重ねてきたからこそ得られた、目に見えない強みである。
⚠️ 体が資本の仕事で、どう長く働き続けるか?
長年現場に立ち続けてきた石田氏が、いま最も意識しているのが安全管理だ。「みんなが怪我せんように、と常に考えている」仲間の身を案じる視点が、現場には欠かせない。 同時に痛感しているのが、足場・とびという仕事の“体力勝負”という宿命である。「左官や大工は長年の技術で長く現場に立てるが、足場は体力が求められる仕事だ」と石田氏は語る。 長年の技術が評価され、高齢になっても続けられる職種がある一方で、足場のように体が動かなくなれば続けにくい仕事もある。中小建設業の多くが共感するであろう、切実な課題だ。 だからこそ石田氏は、足場一本に頼らない体制づくりを進めてきた。外壁リフォームや害獣駆除といった事業を少しずつ育て、社員が年齢を重ねても活躍できる受け皿を用意しようとしている。 「若い子は足場で、年取ってきたらそっちに」現場で培った知識を別の分野へ引き継いでいく──そんな循環を、日々模索している。
🌱 ついてきてよかった──社員の未来を背負う社長の覚悟
これからの展望を尋ねると、石田氏は「それが今の悩みどころやなぁ」と率直に語った。頭にあるのは、自分についてきてくれた社員たちの“その先”である。 「ずっと現場には出られへんやんか」体が動くうちは良くても、その先のセカンドキャリアをどう描くか。小さな会社だからこそ、社長自らが毎日その答えを考え続けている。 思い描くのは、足場で力を発揮した若手が、年齢とともに外壁リフォームや害獣駆除へと活躍の場を移していく姿だ。「ついてきてよかった、と言われる社長になれるんかな」という言葉に、その本気がにじむ。 会社の土台を固めるため、施工管理技士の資格取得にも挑戦中である。一度は手応えを得ており、「今年もう一回頑張ろうかな」と再挑戦を見据える。 地元で受けた恩を地元に返す。仲間に支えられてきたからこそ、今度は自分が仕事を渡していきたい。石田氏の視線は、自社だけでなく、共に歩む地域の職人たちへと向けられている。
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📝 編集部コメント
取材を通じて感じたのは、石田社長の「人とのつながり」への一貫したまなざしでした。技術や規模ではなく、社員や仲間との関係性を会社の核に据える姿勢に、中小建設業ならではの強さを見た思いです