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大山代表のキャリアのスタートは、建設とはまったく縁のない職場だった。
「もともと社会保険労務士の事務所に勤めていたんですよ。保険関係の仕事をしていて、そこがちょうど閉めるっていう話になって」
転機が訪れたのは、結婚のタイミングと重なった。妻の実家が外構・造園業を営んでいたのだ。事務所が閉まるという事情と、妻の家業を手伝えるという状況が重なり、大山代表は迷わず業界への飛び込みを決めた。
「全然抵抗はなかったですね。まあ、ものを作るのは好きやし、体を動かすのも好きやし」
異業種からの参入でありながら、その後はデザイン・図面作成・見積もりから現場監督まで、会社の業務全体を一手に担えるまでに成長した。中小建設業において経営者がマルチロールを担うのは珍しくないが、大山代表のケースは「やらされた」のではなく、本人の志向と環境がうまく噛み合った結果だといえる。
「結局、子どもの頃の積み木と粘土遊びの延長みたいなもんですよ。大げさな積み木と粘土みたいな仕事で、そういうのが好きな人はすごく楽しいと思いますけどね」
職業の外枠にとらわれず、「好きか嫌いか」を軸に動いてきた大山代表の姿は、今の若い世代にも刺さる言葉だろう。
株式会社大昇ガーデンの最大の特徴は、大山代表が営業・デザイン・図面作成・見積もり・現場監督をすべてこなす「ワンストップ体制」にある。
「営業も、図面書いてデザインして、見積もりして、現場監督まで、全部自分でやってるんです。窓口がもう私一つで」
この体制がもたらすのは「話の早さ」だ。お客様から設計変更の相談が入っても、その場で即答できる。わざわざ担当者に確認を取り直す必要がなく、スピーディーな意思決定が顧客からの信頼につながっている。
「こんな変更したらいくらかかりますか?っていうのは、その場で即答できるんで。そこが話が早いっていうのはあると思います」
また、大山代表は「作業風景そのものが商品だ」という独自の視点も持つ。外構工事は屋外で行われるため、道ゆく人々の目に触れやすい。その現場の見た目や職人の立ち居振る舞いが、次の仕事につながると考えているのだ。
「楽しそうに仕事してるところを見て、あそこに頼もうってなるじゃないですか。外構の仕事って作業風景ごと売りもんにしてるようなところがあると思うんです」
仕事の受注経路は、ハウスメーカーの営業担当者からの客先紹介が最多。下請けはほぼせず、紹介されたお客様と直接契約を結ぶスタイルを貫いている。「職人が一現場にじっくり向き合えるような仕事が理想」と語る。
現在、大山代表のもとで働く職人は一人親方として業務委託契約を結ぶ形で、6名が在籍している。年齢層は50代〜65歳前後が中心で、「若い子が入ってきてくれたらうれしいけど、なかなか難しい」と大山代表は率直に話す。
外仕事の厳しさは否定しない。夏の暑さ、冬の寒さ、体を使う大変さ。それでも大山代表が伝えたいのは、この仕事が「やっただけ返ってくる」という正直さだ。
「職人みんなに家を持ってもらうっていうのが目標で、実際に何人かは達成してるんですよ。頑張れば稼げる。それがこの仕事の面白いところだと思いますね」
かつて在籍した職人の中には、大山代表のもとで働きながら一軒家を購入した人が複数いる。数字として結果が出ているからこそ、説得力がある言葉だ。
一方で、仕事の面白さが分かるまでには時間がかかるとも言う。
「仕事の面白さが分かるまで、だいたい三年はかかると思うんです。自分で判断できるようになってからが、より面白い。その努力も楽しめる子がいたら、育てる気持ちはありますよ」
三年という時間をかけて技術と判断力を身につけ、やがて「自分で作ったものが街並みになる」喜びに気づく。大山代表が語る職人の成長ストーリーは、建設業に興味を持ちはじめた若者に向けた、誠実なメッセージでもある。
大山代表が今後の展望として語るのは、規模の拡大ではなく「ブランドとしての価値を高めること」だ。
「お客さんと対等な関係で向き合える会社にしていきたいんですよね」
その理想の姿を、大山代表はこう表現した。
「待ってでもいいから、大山さんのところでお願いしたいですって言われるような会社になりたいんです」
この言葉の背景にあるのは、「正解はお客さんの中にある」という仕事哲学だ。施工側の都合ではなく、お客様が頭の中に描いている完成形を100%実現することこそが使命だと考えている。
「僕らの常識でやったらあかんよっていう感じで。お客さんの夢を形にせなあかん仕事やから、できるだけコミュニケーションとって、その想いを形にしてあげないとダメ。そう職人にもずっと言い続けています」
今は多忙ゆえにブランド化に取り組む時間が取れないと話すが、受注の質にこだわり、信頼を積み重ねる姿勢こそが、すでにブランドの礎になっているように見えた。
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取材を通じて印象的だったのは、大山代表の「正解はお客さんの中にある」という言葉の重さでした。量より質、規模より信頼を選び続ける姿勢の中に、中小建設業が生き残るためのヒントが詰まっています。