🏗️ なぜ建設業を選んだのか?ダクト工事との出会い
岩﨑さんが空調設備・ダクト工事の世界に入ったのは、「ものづくりが好きだった」という原体験がベースにあります。手を動かし、形あるものを作り上げていく喜び。その感覚が、建設業という選択につながっていきました。
2006年4月に岩﨑設備を創業し、以来20年近くにわたってダクト工事一筋でキャリアを積んできました。現在は代表の岩﨑さんと従業員1名、計2名という少数精鋭の体制ながら、大手サブコンから設備会社を経由して仕事を受注し、施工を担う役割を果たしています。
「ダクト工事の専門性で勝負していきたい」という言葉には、長年にわたって一つの領域を深めてきた職人としての矜持が感じられました。新しい分野に手を広げるよりも、自分たちが積み上げてきた専門技術を磨き続ける。中小建設業にとって、こうした「選択と集中」の姿勢は、変化の激しい時代においても確かな強みになり得ます。
仕事の流れとしては、大手サブコンから設備会社に発注された案件を、さらに受け負う形が基本となっています。長年の取引関係を通じて信頼を積み重ね、仕事が回ってくる関係性を築いてきました。派手さはないものの、着実に現場をこなしてきた20年間が、今の岩﨑設備を支えています。
🔧 ダクト専門への特化──岩﨑設備にしかできないこととは
岩﨑設備の仕事は、ほぼ100%が施工です。かつては自社加工場を持ち、ダクトの組み立てから手がけていた時期もありましたが、現在は加工を外部に依頼し、自社は施工に特化する形へと移行しています。
「加工場を維持するより、専門の会社に依頼した方がコスト的にも合理的」と岩﨑さんは話します。固定費を抑え、施工という自社の強みに経営資源を集中させる。この判断は、少数体制で経営する中小建設業としては非常に現実的で、かつ賢明な選択といえます。
仕事を発注してくれる設備会社は自社加工場を持つ大手で、加工されたダクト部材を受け取り、現場での取り付け・施工を担う分業体制が構築されています。こうした信頼関係のある取引先との連携が、岩﨑設備の安定した受注基盤を支えています。
「ダクト専門でこれからもやっていきたい」という言葉は、単なる現状維持ではなく、専門性こそが自社の価値だという確信から来ています。空調設備の中でもダクト工事は現場での経験と技術が問われる領域です。その積み重ねは、簡単には真似できない強みとなっています。従業員には、報告・連絡・相談を徹底させ、自分で判断できないことは必ず確認を取るよう指導しており、現場での安心感につながっています。
⚠️ 人材不足・資材高騰…課題が重なる今、どう乗り切るか
岩﨑さんが率直に語った課題は、大きく二つです。一つは人材不足、もう一つは資材高騰による物件数の減少です。どちらも、中小建設業が広く直面している問題であり、岩﨑設備も例外ではありません。
採用については、求人を出しても問い合わせがあっても面接前に連絡が途絶える、あるいは面接の約束をしたのに来ないというケースが相次いでいます。外国人雇用の打診も増えているものの、実際の採用にはなかなかつながらないのが現状です。「来てほしい人は、ものづくりが好きな人。DIYが好きな人なら楽しめると思う」という言葉には、業界の魅力を伝えきれていないもどかしさがにじんでいます。
資材については、国際情勢の影響で材料が入ってこない、あるいは入ったとしても価格が倍近くに跳ね上がっているという状況が続いています。工事の受注時点で金額が決まっている場合、資材の値上がり分はそのまま自社の負担になってしまいます。「価格が下がる見込みはほとんどない。上がった状態が続く可能性が高い」という岩﨑さんの見立ては、多くの中小建設業の経営者が感じている危機感と重なります。
過去にも材料費が高騰した時期があり、その際は取引先との交渉で多少の価格引き上げを実現し、自社営業で乗り切った経験があると言います。「結局は自社の営業力でなんとかするしかない」という言葉には、厳しい現実を直視しながらも前に進もうとする姿勢が見えました。今は耐える時期と受け止めながら、状況の変化を見据えています。
🌱 AIにはできない仕事──次の世代へ伝えたいこと
今後のビジョンについて聞くと、岩﨑さんは「5年、10年と、なんとか続けていきたい」と答えました。先行きが読めない中でも、続けることへの覚悟と、ダクト工事という専門領域への誇りは変わりません。
若い世代や就職希望者へのメッセージとして、岩﨑さんが語ったのは印象的な一言でした。「これからAIの時代になるけれど、AIにはできない仕事だと思う。だから勇気を持って飛び込んできてほしい」。現場で手を動かし、身体で覚え、積み上げていく技術は、テクノロジーに代替されるものではないという確信です。
仕事のやりがいについては、「大きい現場は大変だけど、完成したビルを見た時の達成感がある。ここは自分がやったんだ、という誇りを持てる仕事」と話してくれました。完成した建物を眺める瞬間、そこに自分の仕事が刻まれているという実感。それが、長くこの業界を続けてきた原動力なのかもしれません。
人材確保に向けては、ホームページの充実や情報発信の強化にも取り組んでいく方針です。ダクト専門の施工会社として、ものづくりの楽しさや現場のやりがいをより広く伝えることで、次の仲間を迎え入れる準備を進めています。中小建設業にとって、自社の魅力を言語化し発信することは、採用においても営業においても、これからの時代に欠かせない取り組みです。
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取材・執筆:照井尚子












取材を通じて印象的だったのは、岩﨑社長の静かな誠実さでした。業界の厳しさをそのまま受け止め、できることを地道に積み上げる姿勢。「AIにはできない仕事」という言葉に、職人としての誇りと、次世代への真摯なエールが込められていると感じました。