🏗️ なぜ建設業を選んだのか?札幌から千葉へ、野尻代表の歩み
野尻代表のキャリアは、北海道・札幌での大工仕事から始まりました。当初は大工として腕を磨いていましたが、北海道の冬は事情が違います。「冬場は仕事がないんで、毎年出稼ぎ生活だったんです。家族のそばにいてあげられない時間が続いて、このままじゃいけないなと思って」と当時を振り返ります。寒さと雪でコンクリートが凍りつき、施工できない期間が生じる——これが北海道の建設業者が抱える構造的な課題でもあります。
その後、知人のつながりで設備工事の会社に転職。大工と設備工事を合わせると、約10年以上の職人経験を積みました。勤めていた会社が給排水から内装まで自社で完結させるスタイルだったことで、水回りの施工にも自然と習熟していきました。「水回りをやってみようかなというので千葉に来て、そのまま独立しました」と野尻代表はシンプルに語ります。
千葉を選んだ理由は、弟夫婦が埼玉に住んでいたこと、そして「千葉が住みやすいと聞いていた」から。中小建設業にとって、地域選びはビジネスの根幹を左右します。家族の近くで、かつ需要のあるエリアに拠点を構えたこの判断が、今日の長沼水道の土台になっています。
🔧 うちにしかできないこと──現場が語る強みとは?
長沼水道のメイン事業は、トイレ・蛇口・給湯器といった水回り設備の交換や給排水衛生設備工事です。野尻代表の強みを一言で表すとすれば、「スピードと誠実さ」に尽きるかもしれません。
「なるべく早く作業を終わらせることは意識しています。職人がいる間って、やっぱりお客さんにとってはストレスになると思うんで」と話す野尻代表。現場では仕事の話だけでなく、「ワンちゃん飼ってるんですか?」などと気軽に雑談を交わすことで、現場の空気をやわらげることを自然と実践しています。こうしたスピーディーかつ気配りある対応が、多くのリピーターにつながっているようです。
また、設備品の調達については「お客さんが自分でネットで用意してくれる方が好きな機能を選べるし、安いものも見つかりやすい。ポイントだって貯まる。お客さんにとってそちらの方が絶対得なんですよね」と、顧客目線に立ったスタンスを貫いています。材料費に利益を乗せるのではなく、工事費用でシンプルに対価を受け取る——この姿勢が顧客からの信頼を生む源泉になっています。
繁忙期の12月は一日8件をこなすこともあるといい、「前の現場が終わったら向かいます」という段取りで現場を回る日々。今年に入ってからは、ほぼ休みなしで稼働を続けているといいます。
⚠️ 資材調達の遅れ、事務作業の壁──一人親方が向き合う現実
中小建設業にとって人手不足や業務効率化は避けては通れない課題ですが、一人で現場を回す野尻代表にとっての壁は少し異なる形で現れています。
まず資材の問題。近年は設備機器の入荷が遅れるケースが増えており、「お客さんに取り付けに行くのがメインなんですけど、なかなか入ってこないから、ちょっと待ってねということが多くなった気がしますね」と語ります。毎日使う水回り設備だからこそ、お客さんも早急な対応を望んでいます。中小建設業が資材調達の不確実性に翻弄される現状は、業界全体で共有される悩みです。
もう一つの課題は、需要の波の読みにくさです。「3月は卒業・入学が重なって、お客さんもお金を使うタイミングなので、水回りが少し不具合があっても先延ばしにする方が多いんですよね」と野尻代表は話します。ゴールデンウィーク明けなど出費が重なる時期は問い合わせが落ち着く一方、年末の大掃除シーズンは一日8件をこなすほどの繁忙に。こうした季節変動は水回り業種の特性でもあり、中小建設業にとってキャパの平準化が課題になっています。
対応エリアは千葉県内が中心ですが(松戸・柏・流山・野田エリアは除く)、神奈川・都内など県外も交通費実費をいただければ対応可能。先日は栃木から指名の依頼もあったといいます。リピーターが自ら声を掛けてくれるほどの信頼は、一日一日の丁寧な仕事が積み重なった証です。
🌱 次世代へのメッセージ──「できない」と言わないことが成長の源
「これからこの業界に入ってみたい」という人に向けて、野尻代表が伝えたいことがあります。
「まず職人さんの仕事を見ること。作業の流れ、お客さんとの会話、そういうところをちゃんと見てほしい。わからないことがあっても、わからないで終わるんじゃなくて、誰にでもいいから聞いてみる。メーカーに聞けばだいたい何でも教えてくれますよ」
そして、野尻代表自身が職人として大切にしてきた信条についても語ってくれました。「できないとはお客さんに言わないんです。物理的に難しい時でも、こういうやり方ならできますよ、って代わりの提案をするようにしています。自分の仕事は水道屋だからここまで、と決めちゃうともうそこで止まっちゃうんで」
未経験の仕事を頼まれた時も、「やったことないけど正直に言った上でやらせてもらう。料金もらわずに練習させてもらうこともあります」というエピソードが印象的でした。失敗を恐れず、しかし誠実に向き合い続ける——その姿勢こそが、長年リピーターに支持される長沼水道の強みそのものだと感じます。
中小建設業の経営者にとって、「できない」を「できる方法を探す」に変える思考法は、現場の壁を乗り越えるための大きなヒントになるのではないでしょうか。
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取材を通じて印象に残ったのは、野尻代表の「できないとは言わない」という姿勢でした。大工から設備工事へ、そして独立へ——常に前を向いて挑み続けてきた経験が、今の誠実な仕事ぶりに凝縮されていると感じました。