🏗️ なぜ塗装業を選んだのか? 原点にある父の背中と、運命の出会い
間彦代表が塗装の世界を知ったのは、幼い頃のことだ。父親が塗装業に従事しており、身近な場所にいつも塗装という仕事があった。その後、20歳頃に付き合いのあった別の塗装会社の方から「一緒にやっていかないか」と声をかけられたことをきっかけに、塗装の道に本腰を入れることになった。複数の会社で経験を積み、個人として仕事を請けるようになった時期を経て、令和3年に「ペンキ塗総業」として正式に創業するに至った。
その創業を後押ししたのは奥様だった。「ちゃんとした形作りも大事だし、開業届も出して、名前もしっかり決めよう」という言葉に動かされる形で、ふたりで会社としての土台を整えた。そして屋号を考えたのも奥様だ。
建設業は業種が多岐にわたる。外壁なら塗装屋、屋根なら板金屋、水回りなら設備屋——と分かれているのが実情で、エンドユーザーからすれば「どこに頼めばいいのかわからない」という状況が生まれやすい。「ペンキ塗総業」の「塗総業」という言葉には、そうした課題への答えが込められている。塗装を入り口に、お客様が困っていることをひとつの窓口でまとめて受けられる会社でありたい——そんな思いが屋号に結実した。ゆくゆくはリフォームをはじめ幅広い施工に対応できる体制を目指しており、「塗装屋」ではなく「塗総業」と名乗ることには、その将来像も重なっている。飾り立てたキャッチコピーではなく、名前そのものに思いと展望を込めたあたりに、奥様らしい実直さが表れている。
奥様もまた、この業界と無縁ではなかった。近隣の塗装会社で約10年勤務し、支店長として営業を担ってきた経緯もある。施工の現場と顧客の声の両方を熟知しているからこそ、夫婦それぞれの視点が会社の核になっている。
🔧 うちにしかできないこと──透明な提案と、暮らしまで届ける施工のこだわり
ペンキ塗総業の強みを語るうえで、まず外せないのが「お客様への寄り添い」という姿勢だ。奥様が以前の職場で実感したのは、品質の高い施工をしているにもかかわらず、金額面でお客様に納得してもらいにくいという現実だった。「私が携わったお客様は皆さん満足してくれる方が多かったけれど、金額が高くてそこがお客様に寄り添えていないところだった」と奥様は語る。満足度は高くても価格が壁になる——そのもどかしさが、自分たちで直接お客様と向き合う会社を作る原動力になった。
だからこそペンキ塗総業では、素材の確認から塗料の選定、施工まで一貫して自社で担う体制をとっている。「15年持つ塗料で塗装したのに5年で剥がれてしまった」という後悔を持つお客様が多い塗装業界において、「うちだけは透明に提案していきたい」という姿勢は、単なる差別化を超えた信念だ。
現場でのコミュニケーションも徹底している。工事前から近隣住民への挨拶を欠かさず、工事中も世間話を交えながら関係を築く。さらに毎日LINEで「今日はここまで進みました」という写真付きの報告をお客様に送り、工事の不安を取り除く取り組みを続けている。「工事をきっかけにトラブルが起きないのはもちろんですが、安心できる工事を目指しています」という言葉がすべてを表している。
会社のホームページに掲げられたキャッチコピー「心に豊かさを、暮らしに色を」は、こうした思いを凝縮したものだ。「自分達がしっかりしたものを手がけることで、暮らしに一番近いものが綺麗になる。そこから、また新しい物語が始まる」。技術者としての責務を果たしたうえで、さらにその先の暮らしまでをプロデュースしたいという視点が、ペンキ塗総業の仕事を単なる施工と一線を画すものにしている。
⚠️ 不透明な業界に、どう向き合うか──少人数経営の現実と信念の発信
中小建設業にとって、人手不足と情報発信の難しさは共通の課題だ。ペンキ塗総業も例外ではない。現在は夫婦ふたりを核に、思いを同じくするフリーランスの職人が常時協力する体制で動いているが、「人数が少なくて、手をつけていけない部分が多い」とも率直に話す。
発信面でも課題を感じている。「自分達の思いをしっかり発信していかなきゃならないとは思っているけれど、なかなか手が回らない」という状況は、現場を持つ小規模事業者ならではのジレンマだ。ホームページからの問い合わせや紹介による受注が徐々に増えているものの、理想とする「自社の直接受注メイン」の体制にはまだ距離がある。
また、塗装業界そのものの課題として、「提案された耐用年数を実際には持たない施工が多い」という不透明さも問題視している。「何年持ちますよと言われた塗料が、実際はその年数を持っていないことが多い」という現実に対し、ペンキ塗総業は「素材に合った塗料選定と正直な提案」で向き合い続けている。信念を掲げるだけでなく、それを貫き通すことが本物だという考えが、ふたりの日常の仕事の中に根付いている。
🌱 同じ思いを持つ仲間と、業界の未来へ──次世代へのメッセージ
今後の会社の方向性について、間彦代表と奥様はともに「思いを共有できる人材・協力業者とのつながり」を核に据えている。「こう塗ればいいや、という感覚ではなく、思いが通じ合った人達で成り立つ会社にしていきたい」という言葉が、採用や協力業者選びにおける基準を物語っている。
これから建設業に関わろうとする人たちへのメッセージとして、間彦代表はこう語った。「お客様に携わっていくのであれば、その先の暮らしにも目を向けてほしい。ただただ工事をやればいい、という作業員が増えるのではなく、携わる相手の暮らしにまで責任を持てる人が増えてほしい」。
奥様からは、建設業界の門戸の広さへの言及があった。「学歴や前職の職歴に関係なく、高みを目指せる業界だと思う。自分は上に立てないと思っている人でも、全然上を目指せる職業になっている。そういうことも踏まえて、志を持った職人さんが増えてくれたらうれしい」。
言葉だけ並べればきれいごとに聞こえるかもしれない。しかし、「いいことを言っているだけでなく、それをちゃんと貫き通せているからこそ意味がある」と代表は語る。理念を掲げることより、日々の現場でそれを体現し続けること——ペンキ塗総業のふたりが共通して持つその姿勢こそが、信頼と縁を引き寄せる原動力になっている。
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取材を通じて一番印象に残ったのは、ふたりの言葉の端々に一貫して滲む「お客様ファースト」の姿勢でした。技術の話をしていても、強みを語る時も、行き着く先は必ず「お客様にとってどうか」。自分たちの利益や都合より先に、依頼してくださった方の暮らしを思う——その視点が、ペンキ塗総業という会社の根幹にあると感じました。創業から日が浅くとも、これだけ明確な信念を持って走り続けるふたりの今後が、とても楽しみです。