🏗️ なぜ造園業を選んだのか?花から緑へ、原点にある想い
佐々木氏のキャリアの出発点は造園ではなく、花の世界だった。冠婚葬祭の生花装飾を四年間担当したのち、花市場で三年間働いた。「そんなにめちゃめちゃ好きというわけではないんですけど」と謙遜しながらも、葬儀会館や結婚式場と深くつながった南大阪の花業界で、全国でもトップクラスとされる職場での仕事を通じて着実に経験を積んでいった。
花の仕事を選んだ理由が印象的だ。「葬儀の関係って誰もやりたがらへんというか、みんな好き好んで選ばない仕事やと思って選びました」と佐々木氏は言う。人が嫌がることこそ仕事が途切れない、という若き日の直感は、現在の事業姿勢にも通底している。
その後、大阪城公園の年間管理に携わる機会を得る。約十社の造園会社が分担して公園全体を管理するという規模の大きな現場で、大阪城本丸エリアをはじめ石垣の清掃や各エリアの整備を経験した。「石垣の掃除なんて、あまり経験できひんことなんかな」と振り返るように、この時期に培われた技術と現場感覚が、独立の土台となった。2019年、周囲からの後押しもあり四季万葉を立ち上げ、代表として歩み始めた。中小の一人親方として独立する際のリアルな姿が、ここに凝縮されている。
🔧 うちにしかできないこと──庭と向き合う現場の哲学とは
四季万葉の仕事の軸は、庭木の剪定を中心とした緑地管理だ。ただ、その仕事ぶりは単に木を刈り込むにとどまらない。「他の人がまあいっか、しんどいし、こんなもんかっていうところを、結構徹底的にやる」と佐々木氏は語る。手を抜けるところでも手を抜かないこと。その積み重ねが、紹介だけで仕事が絶えない状態をつくっている。
特に印象的なのは、花が咲くことを忘れてしまった木を、もう一度咲かせるための取り組みだ。「おじいちゃん世代の時は背も高くて、でも子供世代になって大きすぎるんで短く切ってしまって、花も咲かなくなってしまったっていう木を、もう一回咲かすように持っていく」と佐々木氏は言う。適切な処置をしていないと、木自身すら花を咲かせることを忘れてしまう。そんな木にもう一度思い出させてあげる。それが佐々木氏の仕事の醍醐味だ。
「お父さんとかお母さんのこだわりでその木を植えてはったとか、季節の花と香りを楽しんどった、っていうのを今まで気づいてなかったんでしょうけど」と語るように、庭には家族の歴史が宿る。亡くなった親の想いを現代に蘇らせ、依頼者が気づかなかった何かに気づかせてあげる。こうした姿勢が「また佐々木さんに頼みたい」というリピートと紹介の連鎖を生み出し、「夏の暑い時に切っても痛むだけやと思うんで、いい時期に切らしてください」と木のために待ってもらうことも厭わない誠実さが、その信頼をさらに厚くしている。
⚠️ 一人でこなす日々、そして「もう一人いれば」という本音
現在、四季万葉は佐々木氏一人で切り盛りしている。仕事の依頼は口コミと紹介で途切れることなく続いており、現場によっては知り合いの職人に声をかけて対応している。「もう一人、一緒に動ける子がおってくれるだけで、全然展開が違ってくるんかな。スピード感も出てきて機動力を上げたいなとは思いますけど」と佐々木氏は語る。「電話に出ると現場が止まるんです」というのが今の正直なところで、二人いれば解決する問題が山積している。仕事は来ている。あとは動ける体制があるかどうか、という段階だ。
そんな中、頼もしい存在になりつつあるのが中学二年生の長男だ。「春休みもよう来てくれましたし、土日もちょこちょこ来てくれるんで」と目を細める。自分から手を動かしに来る息子の姿に、着実な成長を感じている。
一緒に働く仲間に求めるのは、特別なスキルよりも「ともに動ける」姿勢だ。「パートさんでもいいから」という言葉が示すように、現場で一緒に動いてくれる人を探している。佐々木氏のそばで働けば、花の咲かせ方も、庭の歴史の読み方も、自然と身についていく環境がある。
🌱 人と人をつなぎ、緑で日本を美しくする──10年後のビジョン
「何をしたいというのは、はっきりないといえばないですけど」と話しながらも、佐々木氏の言葉には静かな確信が宿っていた。それは、人と人をつなぐことへの揺るぎない想いだ。「いろんな人と出会っていく中で、自分が携わればこうなるんじゃないかっていうようなことはどんどんやっていきたい」と語り、仕事上のつながりが誰かの夢の実現につながるような、そんな連鎖を大切にしてきた。
この業界に入ろうとする若い人へのメッセージも力強かった。「緑が与える人への影響っていうのは、多分すごい力がある。無意識のうちに必ず癒されていると思うんで、それをしっかり守り抜いていってほしい」と語り、続けてこう言った。「しんどいことの先にはビックリするような感動があるし、常に自分の美学を貫いて磨き続けてほしい。それを誰かに継承して、日本中が美しくなれば」。
自分が通る道で美しいと思えるものを、どんどん日本中に作っていってほしい。その想いは、中小建設・造園業に携わるすべての人への静かなエールとして響いた。
建設円陣PLUSでは、建設業の経営者インタビューを無料で行なっています。
掲載記事はそのまま採用・営業PRにもご活用いただけます。
▶ 取材のお申し込みはこちら
費用は一切かかりません | 取材時間の目安:約30分~1時間
本サイトについて、ご質問・ご相談がある場合は、下記のお問い合わせフォームからお気軽にお寄せください。
あわせて、協力会社探しや人材確保など、日常的な情報収集の場として無料で利用できる建設業向けマッチングサイト『建設円陣』もぜひご登録ください(緑のバナーをクリック)。












取材を通じて印象的だったのは、佐々木社長が依頼者だけでなく、木自身にも「咲くことを思い出させてあげたい」という眼差しを向けていたことでした。また、イングリッシュガーデンをはじめとする海外の庭文化も学んで日本の造園と融合させていきたいという言葉からは、現状に満足せず常に引き出しを広げようとする姿勢が伝わってきました。最近は息子さんが現場に手伝いに来てくれるようになったと嬉しそうに語っていた姿も印象的で、仕事を通じて息子さんの成長を感じられることが、何より力になっているのだと感じました。