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🔨 東京・町田に拠点を置く株式会社川村工業・モノリスコーポレーション株式会社。直用職人50名・協力会社含め200名体制を築き上げてきた。特許技術を持ち、スーパーゼネコンとの取引実績を誇るこの会社が、2025年、初めて積極的な営業活動を開始した。「左官・土間両方をできる職人を50人以上、正社員で抱えている会社なんてない」──その言葉が示す、業界で唯一無二の強みとは何か。
左官業界には、仕事を受注しても実際の施工はほとんど協力会社に頼っている会社も少なくない。しかしモノリスコーポレーション・川村工業は、その真逆の道を歩んできた。直用職人50名以上を自社で雇用し、協力会社を含めると200名体制で全国の現場に対応できる規模を維持している。
「ブローカー的なことはしたくない、という社長の強い意向がある。仕事を取って中抜きして全部協力会社に任せるというやり方は、そもそもやりたくないし、業界の流れ的にも多分できなくなってくると思う」
社会保険の加入義務化や一人親方管理の厳格化など、建設業界のコンプライアンス強化が進む中、直用雇用へのこだわりは時代の潮流とも合致している。協力業者の単価が上がり続ける今、5年・10年のスパンで見れば、直用体制こそが持続可能な経営モデルだという確信がある。
この体制を維持できている背景には、しっかりとした基盤がある。まず、職人が安心して定着できる寮を完備していること。そして、自社研修センターで技術を体系的に指導し、育成された職人が入れる現場を常に確保していること。「社員が50人超えても入れるだけの案件が確保されている」という言葉が、この会社の営業力と施工力の両輪を示している。
さらに、元請けやゼネコンの担当者が特に評価するのが「若さ」だ。30代がボリュームゾーンで、外国人を含め若手が現場の主力を担っている。高齢化が進むことで、体を動かす左官職人では「生産性の低下」という現場課題に対してマンパワーと機動力を兼ね備えた若い職人集団は、発注側にとって非常に頼もしい存在だ。
外国人材に関しても、特定二号の取得者が20名を超え左官1級の取得者も数多い。手元作業をやるだけでなく、日本人と遜色なく左官・土間技術や日本語能力を向上させてきた。
加えて、大手案件に欠かせない電子書類・安全書類への完全対応も大きな強みだ。公共工事や大手ゼネコンの現場では書類などの対応が厳格化していく中で、人手が足りなく対応できない中小企業が多いという現実の中、本社機能をしっかり整備し、CCUS(建設キャリアアップシステム)登録やグリーンファイル対応も完備している。職人の質だけでなく、管理体制の充実が、大手との継続的な取引を支えている。
実は、モノリスコーポレーション・川村工業はこれまで営業活動をほとんどやったことがなかった。鹿島建設、大成建設、竹中工務店といったスーパーゼネコンとの取引も、野村不動産・三井不動産・大和ハウスといった大手デベロッパーの物流倉庫・商業施設案件も、すべて「紹介」で入ってきたものだ。
「実際に現場所長の人に気に入られて、次の現場も来てほしいと言われる。今まで営業活動をやったことがなかった」
それほど現場で信頼を積み上げてきた会社が、2025年に転機を迎えた。後継者問題という課題を抱える中で、現場共創機構の代表・佐藤大央氏との出会いが、すべての始まりだった。
現場共創機構は2025年10月に設立されたばかりの新会社だ。「現場の作り手の待遇を上げ、現場企業を人気業種に、真に持続的な現場業界を創る」というビジョンのもと、優良な現場中小企業を永続保有でグループ化することを目指している。モノリスコーポレーション・川村工業は、そのグループ第1号として2025年11月に参画した。
「独立して会社を作ってやるという方向で面白そうだと思って、M&A体系でついていったら面白そうだと思った」
この決断は、後継者対策という守りの一手ではなく、次のステージへの攻めの選択だった。グループ参画後、川村工業・モノリスは初めて本格的な営業活動をスタート。「左官で50人いる会社なんていないので、一回話を聞きたいという問い合わせが来る」という反応の良さが、この会社の「普通じゃない」強みを証明している。
「一生懸命仕事を追求していたら、NETISにも選ばれたし、最終的には現場共創機構との縁も生まれた。そんなの計算してできないでしょ」──この言葉が、モノリスコーポレーションという会社の本質を表している。
モノリスコーポレーションには、同業他社とは一線を画す技術的な裏付けがある。それが、国土交通省のNETIS(新技術情報提供システム)に登録された独自工法「KL工法」と、自社開発の特許機材「メクレーン」だ。
NETISとは、国交省が建設工事で活用できる新技術を登録・評価する公的な制度で、登録技術は公共工事の入札で活用実績として加点される。つまり、発注者側にとって「国が認めた技術」という信頼の証でもある。
このKL工法のNETIS登録に至った経緯もまた、この会社らしい。IHI(石川播磨重工業)などの大手企業が同社の施工方法に着目し、自社で行うことのできない科学的試験・データ取得・破壊検査などを代わりに実施してくれたことで、土木学会の論文にも掲載される実績データが生まれた。そのデータをもとにNETIS取得へとつながったのだ。
特許機材「メクレーン」(液体散布装置)も同様に自社開発・特許取得済みだ。コンクリート土間工事における均し・仕上げ工程の機械化を追求し、国内初の最軽量型・低重心騎乗式トロウェルなど最先端の施工機材を自社保有している。欧米の展示会で最新テクノロジーを視察し、日本の現場に合わせて独自に改良を重ねてきた。この「Innovation by Technology(技術革新)」というスローガンが、この会社の競争力の源泉だ。
物流倉庫や大型商業施設のコンクリート床は、均し・仕上げ・研磨・美装まで一括施工で対応可能。機械化によって少人数でも高い生産性を発揮できるため、工期短縮とコスト削減を同時に実現できる。こうした技術力が、野村不動産・三菱地所・三井不動産・成田国際空港・オリンピック工事といった国内最高水準の案件から選ばれ続けてきた理由だ。
モノリスコーポレーション・川村工業が今後目指すのは、「職人と給与が安定した永続企業」だ。現在50名の直用職人体制をさらに拡大しながら、それを受け止める案件を同時に増やしていく。「人数を増やして、案件を取ってこれる体制で永続的に事業を伸ばしたい」という言葉に、この会社の経営哲学が凝縮されている。
現場共創機構グループとしての展望も大きい。15年以内に800社の優良現場中小企業をグループ化するという壮大なビジョンを掲げている。職人を抱え技術はしっかりしているが後継者がいない──そういった会社を永続保有でサポートし、業界全体のスケールメリットを生み出していく取り組みだ。
そして、モノリスコーポレーション・川村工業はその旗手として、業界に「こういうやり方もある」という可能性を示し続ける存在でもある。雇われ社長という珍しい経営体制、営業ゼロから大手取引を積み上げてきた実績、NETIS登録という技術的権威、そしてグループM&Aという新しい経営スキーム。どれ一つをとっても、他の左官・土間会社とは一線を画す。
今回のインタビューの冒頭に社長はこう言った。「私個人の紹介記事より、会社としての強みを前面に出してほしい」──その言葉通り、モノリスコーポレーションが本当に伝えたいのは、「この会社に仕事を頼むと、こんないいことがある」というシンプルな事実だ。直用50名の安心感、書類完備の信頼性、特許技術の品質保証、全国対応の機動力。これらすべてが揃う左官・土間工事会社は、全国でもほとんど存在しない。
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「建設円陣PLUS編集部」は、建設業界に特化したプラットフォーム「建設円陣」を運営する株式会社エンジョイワークスの編集チームです。中小建設業の経営・人材・現場課題を、国土交通省・厚生労働省、業界専門紙や公的機関の情報をもとに解説します。
📝 編集部コメント
取材を通じて印象的だったのは、「社長個人ではなく、会社の強みで仕事につなげたい」という徹底した実利主義でした。職人上がりの社長が、気づいたら国に認められた技術を持ち、大手と取引し、M&Aで新たなステージへ。計算なく仕事を追求し続けた先にある、本物の実力を感じさせる会社でした。