建設業では近年、「人材確保」だけでなく「人材定着」が大きな課題となっています。特に中小建設会社では、若手社員が仕事の魅力や誇りを感じる前に離職してしまうケースも少なくありません。その一方で、家族や周囲の理解を得られる職場は、従業員の定着率が高まりやすいともいわれています。
そうしたなか、大手ゼネコンによる“家族参加型の現場体験イベント”が注目を集めています。単なる福利厚生ではなく、「仕事への理解」「現場への誇り」「安全意識の共有」を目的にした取り組みとして、今後は中小企業でも参考にできる内容と言えるでしょう。
長谷工グループが実施した現場体験イベントとは
『長谷工グループ労働組合と株式会社長谷工ウェルセンターは、5月23日(土)、「マンションづくりふれあいフェスタ(関西)」を共催しました。本イベントは、社員の家族を建設現場に招待し、実際に建物を建設している重機や、使用する工具などの見学や体験を通して、ものづくりの魅力と仕事への理解を深めてもらうことを目的に2007年より毎年開催しています。』

引用元:株式会社長谷工コーポレーション プレスリリース(PR TIMES掲載)
今回のイベントでは、吹付施工体験やVR安全教育、BIMビューワー体験、工事用エレベーター試乗など、実際の建設現場ならではのプログラムが実施されました。さらに、廃材を使った街づくり企画など、子どもでも参加しやすい内容も用意され、社員家族53名が参加しています。
なぜ“家族への現場公開”が重要なのか
建設業は、勤務時間や天候の影響、安全管理など、一般的なオフィスワークとは異なる特徴があります。そのため、家族から仕事内容を理解されにくいという悩みを抱える会社も少なくありません。
しかし、実際に現場を見てもらうことで、「危険なだけの仕事」ではなく、「社会インフラを支える誇りある仕事」であることが伝わりやすくなります。特に子どもたちにとっては、巨大な建設機械や施工体験は強い印象として残り、将来的な建設業への興味につながる可能性もあります。
また、社員本人にとっても、「家族に仕事を見てもらえる」という経験はモチベーション向上につながります。現場で働く姿を見せられる環境は、会社への信頼感や帰属意識を高める効果も期待できます。
中小建設会社でも取り入れられる工夫
「大手企業だからできる取り組み」と感じるかもしれませんが、中小企業でも応用できる部分は多くあります。
たとえば、完成現場の見学会や安全大会への家族招待、子ども向け工具体験会などは比較的小規模でも実施可能です。最近では、スマートフォンやタブレットを活用して、現場写真や施工進捗を家族向けに共有する会社も増えています。
さらに、VR安全教育やBIMなどのデジタル技術を活用することで、「危険」「きつい」というイメージだけでなく、「最先端技術を使う仕事」という印象づくりにもつながります。これは若手採用においても有効なポイントです。
人材不足時代は“働く誇り”が会社を支える
建設業界では今後も人材不足が続くと予想されています。そのなかで重要になるのは、給与や待遇だけではありません。「この会社で働き続けたい」と思える環境づくりが、これまで以上に求められています。
現場体験イベントのような取り組みは、単なるレクリエーションではなく、社員・家族・会社をつなぐ重要なコミュニケーション施策です。特に中小建設会社では、社長や現場責任者の考え方ひとつで、こうした文化づくりが大きく変わります。

※画像はイメージです。
まとめ
建設業の人材定着には、「働きやすさ」だけでなく、「仕事への誇り」や「家族の理解」が大きく関係しています。今回の長谷工グループの事例は、建設現場の魅力を社内外へ伝える重要性を示す取り組みといえるでしょう。
人材不足時代だからこそ、“現場の価値”をどう伝えるかが、今後の企業力を左右していきそうです。
本サイトについて、ご質問・ご相談がある場合は、下記のお問い合わせフォームからお気軽にお寄せください。
あわせて、協力会社探しや人材確保など、日常的な情報収集の場として無料で利用できる建設業向けマッチングサイト『建設円陣』もぜひご登録ください(緑のバナーをクリック)。
