夏の建設現場では熱中症対策に意識が向きがちですが、見落とせない危険の一つが「虫による被害」です。アブやハチ、ブヨ、蚊などは全国の建設現場で毎年多くの被害を引き起こしています。
「少しくらい刺されても大丈夫」と軽く考えがちですが、症状によっては作業継続が困難になったり、救急搬送が必要になったりするケースもあります。特に山間部や河川工事、造成工事、草刈り作業などでは虫との遭遇機会が増えるため、事前の対策が重要です。
今回は、夏の現場で特に注意したい虫と、その対策についてご紹介します。
現場で特に注意したい虫とは
建設現場で被害が多い虫は、場所によって異なります。
まず代表的なのがアブです。 アブは汗や体温、二酸化炭素に反応して近づいてくるため、炎天下で作業する建設現場では非常に遭遇しやすい虫です。刺されるというより皮膚を噛み切って吸血するため、強い痛みと出血を伴います。
次に注意したいのがハチです。 スズメバチやアシナガバチは、樹木の伐採や草刈り、建物の解体作業などで巣を刺激してしまうことがあります。刺された回数に関係なく、アナフィラキシーショックを起こす可能性があり、命に関わるケースもあります。
また、河川や山林ではブヨにも注意が必要です。 ブヨは刺された直後よりも翌日以降に強い腫れやかゆみが現れることが多く、数日間症状が続く場合もあります。 都市部でも蚊による被害は少なくありません。かゆみだけでなく、集中力の低下や作業効率の悪化につながることもあります。
虫が集まりやすい現場の特徴
虫はどこにでもいるわけではありません。発生しやすい条件を知っておくことで、危険を予測できます。
例えば、
・草木が生い茂っている場所
・河川やため池の近く
・山林や法面工事現場
・休憩所周辺の飲み物や食べ残し
・汗を大量にかいた作業員
このような環境では虫が集まりやすくなります。
特にハチは黒い色に反応しやすいといわれており、黒色の帽子やタオルなどは注意が必要です。
また、甘い飲み物を屋外に放置するとハチが寄ってくる原因にもなります。休憩時の環境整備も重要な安全対策の一つです。
現場で準備しておきたい虫対策用品
虫対策は特別な設備が必要なわけではありません。日頃から備えておくことで、多くの被害は軽減できます。
代表的なのは虫よけ剤です。 厚生労働省でも使用が認められているディート配合製品やイカリジン配合製品は、多くの虫よけ製品に採用されています。用途や作業環境に応じて使い分けることが大切です。
また、長袖・長ズボンの着用も基本的な対策になります。近年は通気性を確保しながら虫の侵入を防ぎやすい作業服も多く販売されています。
さらに、草刈りや伐採作業では事前に周囲を確認し、ハチの巣がないか点検する習慣を持つことも重要です。
刺されてしまったときの初動対応が重要
どれだけ対策を講じても、虫に刺される可能性をゼロにすることはできません。重要なのは、刺された直後の対応です。
アブやブヨに刺された場合は、まず流水で患部を洗い流し、清潔な状態にします。
その後、保冷剤や冷却材などで患部を冷やすことで、腫れや痛みを軽減できる場合があります。強いかゆみが続く場合には、市販のかゆみ止めや抗ヒスタミン成分を含む外用薬が役立つことがあります。
ハチに刺された場合は、慌てず安全な場所へ避難することが最優先です。複数のハチが近くにいる場合は、その場に留まることがさらなる危険につながります。
もし針が残っている場合は、毛抜きで無理に引き抜くのではなく、カード状のものなどで皮膚表面を滑らせるように取り除く方法が推奨されています。その後は患部を流水で洗い、冷却します。
呼吸が苦しい、全身にじんましんが出る、意識がぼんやりするといった症状が現れた場合は、アナフィラキシーの可能性があります。ためらわず119番通報し、速やかに医療機関の診察を受けることが重要です。
会社として取り組みたい虫対策
虫対策は個人任せでは十分とはいえません。現場全体でルール化することで、事故の発生を大きく減らすことができます。
例えば、朝礼時にその日の作業場所や周辺環境を共有し、ハチの目撃情報や草木の繁茂状況を確認するだけでも危険の予測につながります。 また、休憩所のゴミや空き缶を放置しない、甘い飲み物を屋外に長時間置かないなど、虫を寄せ付けない環境づくりも効果的です。さらに、救急箱には消毒用品や冷却材だけでなく、虫刺され用の外用薬なども準備しておくと安心です。
新人教育や安全教育の中で虫対策を取り上げることも、現場全体の安全意識向上につながります。 夏場は熱中症だけでなく、虫による災害も労働災害の一因となります。
「刺されてから考える」のではなく、「刺されない現場づくり」を意識することが重要です。
まとめ
夏の建設現場では、アブやハチ、ブヨ、蚊などの虫による被害が発生しやすくなります。熱中症対策と同様に、虫対策も現場の安全管理には欠かせない取り組みです。
虫よけ剤や適切な服装などの基本対策に加え、作業前の周辺確認や休憩所の環境整備、万が一刺された際の応急処置を全員が理解しておくことで、被害を最小限に抑えられます。 夏の現場を安全に乗り切るためにも、「虫はいるもの」という前提で備えを進め、安心して作業できる環境づくりを心掛けましょう。
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