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令和8年7月28日、熊本県を震源とする大規模地震が発生した。住宅の倒壊、ライフラインの断絶、そして長期化する避難生活。報道が伝える映像のなかで、建設業界はいち早く現場へ入り、その技術と人員を惜しみなく投入してきた。今回注目するのは、東亜建設株式会社(東亜産業グループ)が第三報として公表した支援活動の詳細である。「大規模物資支援」と「暮らしに寄り添う現場支援」という二本柱の取り組みは、建設業が持つ底力を改めて社会に示すものとなった。
同社はプレスリリースにおいて、以下のように活動内容を公表している。
『当社は、熊本地震の被災地において、技術者・作業員30名を鹿児島県出水市の拠点に前進配置し、支援活動を継続しております。当社の支援は、企業としての資源を最大限に投入する大規模な支援(大の支援)と、被災された方々の日々の暮らしに寄り添うきめ細やかな支援やいわゆる「ラストワンマイル」を埋める支援といった、被災者に直接届く支援(小の支援)の二本柱で進めております。8月6日、熊本県の備蓄倉庫(八代港)へ、550mlペットボトル飲料水21,600本を寄贈いたしました。輸送は、グループ会社である株式会社東亜産業が保有する10トントラックにより、鹿児島県出水市の拠点から一括して行いました。自社グループのリソースを最大限に活かすことで、大量の支援物資を迅速にお届けすることができました。8月7日、多数の入院患者を受け入れている医療法人尚仁会高田病院様(八代市)へ、飲料水(500mlペットボトル)1,500本および非常食350食を寄贈いたしました。職員様の中には、ご自身が被災された方も多いとのこと。厳しい環境下で、医療活動を継続されている医療従事者の皆様の負担軽減に、少しでも貢献できればと考えております。』
引用元:東亜建設株式会社プレスリリース(PR TIMES掲載)
今回の活動で際立つのは、建設業ならではのリソースの活用方法である。10トントラックによる2万本超の飲料水の一括輸送、単管パイプを用いた風雨に耐えるテントの現地製作、さらには倉庫の災害廃棄物撤去と復旧作業まで、すべてが現場仕事の延長線上にある。一般企業や個人ボランティアでは対応が難しい「大量・重量・構造」を伴う支援を、専門集団として速やかに実行できるのが建設業の強みだ。
また、同社が取り組んだ子どもたちの遊び場の整備は、物資支援とは異なる意味を持つ。避難生活が長期化するなかで、精神的なストレスにさらされる子どもたちに「安全に体を動かせる場」を提供することは、地域コミュニティの回復という観点からも重要な支援といえる。使用した人工芝は熊本市内のフットサルサークルから提供を受けたもので、地域の協力を引き出す調整力も同社の活動を支えた要因のひとつである。
引用元:東亜建設株式会社プレスリリース(PR TIMES掲載)
大規模災害において、支援物資が被災地に届かない「ラストワンマイル問題」は、東日本大震災以降も繰り返し指摘されてきた課題である。物資は集積拠点に積み上がる一方で、高齢者や障害のある方など移動が困難な被災者のもとへ届かないというケースは少なくない。同社が取り組んだ「小の支援」は、まさにこの課題に正面から向き合うものだ。支援拠点への生活用水の補充、介護施設の入浴環境整備、そして保育園に隣接する倉庫の清掃と復旧は、被災者の生活に密着した支援である。
建設業界全体で見ても、地方の中小建設会社が地元の道路・橋・施設の応急復旧を担うケースは多く、公共インフラの維持という観点からも、地域に根ざした建設業の存在意義は極めて大きい。一方で、支援活動に人員を割く際の労務管理、費用負担、従業員の安全確保といった課題も現実として存在する。有事における建設業の役割を組織として持続的に果たすためには、日常からの体制整備と関係機関との連携が不可欠となる。
今回の東亜建設株式会社の事例は、規模の大きなグループ企業による取り組みであるが、中小建設会社においても、有事に動ける体制を平時から整えることは決して非現実的ではない。以下の点を日常業務のなかで意識しておくことが、いざというときの対応力を高める。
地元行政・自治体との協定の締結:災害協定を結んでおくことで、発災後の役割分担が明確になり、初動の遅れを防ぐことができる。
保有する重機・資材の棚卸しと共有:自社がどのようなリソースを提供できるかを整理しておくことで、支援要請に迅速に応えられる。
従業員への事前教育と役割の明確化:支援活動に参加する場合の労務上の扱い、安全管理の方針を社内で事前に決めておくことが重要である。
協力会社・仕入れ先とのネットワーク構築:単独では対応が難しい規模の支援も、協力会社との連携があれば対応範囲が大きく広がる。
令和8年熊本地震への東亜建設株式会社の支援活動は、建設業が持つ「現場力」を社会のために最大限に発揮した事例として、業界全体にとって重要な示唆を与えている。大量輸送・構造物製作・廃棄物処理・環境整備といった多岐にわたる支援は、まさに建設業の専門性があってこそ実現できるものだ。地域を守る存在として、有事に動ける体制を平時から整えることが、今後の建設業界に求められる姿勢といえるだろう。
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