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電気の仕事との出会いは、一人の知り合いがきっかけだった。「もともと知り合いの方が個人で通信業、電話とかの通信の仕事をされていて、それがきっかけで電気関係に携わるようになりました」と藤本氏は振り返る。
その後、電気工事会社に就職した藤本氏は、気づけば16年という歳月をその会社で過ごすことになる。現場での経験を着実に積み重ねながら、心の片隅にはずっとある想いが宿り続けていた。「電気工事を始めた当初から、独立してみたいなっていう憧れというか目標はありました。ざっくりとした感覚ですけど」
しかし、いざ行動に移すとなると、タイミングをつかめない日々が続いた。「いざやるとなると不安にもなって、いつなのかが分からなくて、結局遅くはなっちゃったんですけど」。それでも「このままやらなかったら絶対後悔する。今やってしまおう」という決断が最後の後押しとなり、2023年についにフジモト電気通信を立ち上げた。
創業3年目を迎えた今、仕事量は安定してきたという。電気工事会社や設備会社の2次・3次下請けとして、工場やテナントを中心とした現場を着実にこなす日々だ。16年間で積み上げてきた技術と信頼が、独立直後から揺るぎない土台となっている。
フジモト電気通信が手がけるのは、工場やテナント・店舗の電気工事が中心だ。新築工事から増設工事まで幅広く対応し、外注先の職人約10社とも連携しながら機動力高く現場を回している。
藤本氏が仕事においてとことんこだわるのは、仕上がりの丁寧さだ。「綺麗に、丁寧に仕事をさせてもらっているつもりです。隠蔽部分でも見られても恥ずかしくないように、きっちりやろうとは心がけています」
壁の中に隠れてしまう配線や配管も、手を抜くことはない。完成後には誰の目にも触れなくなる部分だからこそ、誠実に向き合う。その姿勢が、元請け各社からの継続的な信頼を生み出している。「問い合わせなんかもホームページから取れたらうれしいですけど、今は元受けさんからのお仕事が安定して入ってきている感じです」という言葉にも、現場での評判の高さがにじみ出る。
また、職場の雰囲気も同社の大切な強みだ。「外注さんも含めてみんな仲いいですよ。怒ったりとかはあまりないですね」と藤本氏は話す。外注を含む現場メンバーが和気あいあいと動ける一体感は、小さな会社だからこそ実現できる財産だ。
建設業界全体で深刻な人手不足が続いている。電気工事業界も例外ではなく、「どこの会社さんも人手不足ですから、どうしても取り合いになりますよね」と藤本氏は率直に語る。特に電気工事士の資格を持つ人材の確保はハードルが高く、業界全体の課題となっている。
しかし藤本氏は、資格の有無よりも一緒に働く意欲を重視している。「資格がなくてもいいんです。僕は。一緒にやりながら覚えてもらえれば」。未経験者でも受け入れ、現場で育てていくスタンスで採用活動を続けている。
一方で、個人事業主という形態が求職者に敬遠されることもあると感じてきた。「個人のところには来ないのかな、みたいな気持ちが正直あったりもして」。この課題に正面から向き合うべく、2025年5月には法人化を予定している。社名も「フジモト電気通信」から「フジモト電気工事」へと変わる。
法人化によって、採用においても求職者に届きやすくなるという期待がある。現在はインディードで求人掲載を継続しており、「従業員をもっと入れて、自社で回せる体制を作っていきたい」という目標に向けて、着実に準備を進めている。
今後、特に力を入れていきたい分野がある。ひとつは、2027年問題とも呼ばれる蛍光灯の製造・輸入禁止に伴うLED照明への切り替え工事だ。「蛍光灯がなくなるんですよね。そのあたりの工事をちょっと探りを入れているところです」と藤本氏。知り合いの工務店に声をかけながら需要の取り込みを着実に進めており、時代の変化を先読みした動きが始まっている。
もうひとつが、電気自動車(EV)の普及に伴う充電設備の設置工事だ。「EVは今旬ですし、単価的にも結構いいと思います。亀岡エリアでもポツポツ出てきているんじゃないですかね」と手応えを感じている。電気工事のプロとして、社会のインフラ整備を担う仕事に意欲的だ。
法人化という節目を経て、藤本氏が描くのはより大きな会社の姿だ。「外注さんにお願いしている部分を、いずれは自社のスタッフで回せるようにしていきたい」。信頼できるチームをつくりながら、地域に必要とされる電気工事会社へと成長していく絵図が、着実に形になりつつある。
創業3年目で法人化という新たなスタートラインに立つ藤本氏。「ずっとやりたかった」という想いを胸に、亀岡の電気工事に賭けた日々はこれからも続いていく。
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「隠蔽部分でも見られても恥ずかしくない仕事をする」──その言葉が取材を通じて最も印象に残りました。完成後には見えなくなる部分にも手を抜かない誠実さが、元請けからの厚い信頼と創業3年目の安定を支えているのだと感じます。法人化という新たな節目を経て、藤本社長の挑戦はますます楽しみです。