🏗️ なぜ建設業を選んだのか?原点にある想い
佐藤氏の建設業との縁は、幼い頃から始まっていた。父親が重機を扱う管理会社を経営しており、建設・土木の世界が身近にあった。しかし佐藤氏は「外に出ないと、本当の土木屋にはなれない」という信念のもと、あえて他社に就職。一般作業員としてゼロからキャリアを積み直すことを選んだ。
他社での勤務期間は15年に及ぶ。その間に資格を取得し、役員の職にも就いた。「経営することが夢だった」という言葉通り、勤務先での経験と会社の事情、そして自身の強い意志が重なった40歳のとき、仲間2名とともに会社を興す決断を下した。
その原点は、父の背中を見て育った少年が、自らの足で歩いた15年の現場経験と、独立・経営への揺るぎない夢にある。中小建設業にとって、創業者の「なぜ始めたか」という物語は、会社の根幹を形成する大切な財産だ。
🔧 うちにしかできないこと──現場が語る強みとは?
「強みを一言で挙げるとしたら何ですか」という問いに、佐藤氏は少し考えてから答えた。
飾り気のないその言葉の重さは、現場経験を積んだ者ならではのものだ。土木や造成工事は、後に残るものを作る仕事。施工が雑であれば、次の工程にも、さらにその先の構造物にも影響が出る。「作業が後に残るからこそ、いい加減にはできない」という意識が、チーム全体に浸透している。
同社の現在の従業員数は11名。そのうち50代が約8割を占め、40代・60代がそれに続く。ほとんどのメンバーが10年以上のベテランで、定年を機に辞めていく以外の離職はほぼないという。
仕事の依頼経路もこの信頼関係を物語る。大手全国企業の茨城エリアの取引業者協議会で会長を7年以上務めており、そのつながりがメインの受注源となっている。紹介や継続取引が中心という点は、積み重ねてきた施工品質への信頼の証と言えるだろう。中小建設業において、「人と仕事が離れない」現場力こそが最大の競争優位になり得る。
⚠️ 人手不足・高齢化…課題だらけの建設業で、どう動くか?
現在の従業員構成を聞いて、佐藤氏は率直に課題を口にした。「新規採用がまったくない状態」だという。かつてはピーク時に20名超の体制だったが、定年退職が続き現在は11名。しかも50代が中心という構成は、今後数年で急速に現場戦力が減っていく可能性を示している。
この課題に対して同社が取り組んでいるのが、TikTokを使った情報発信だ。
実際に業界関係者からは「TikTokに出てたね」と声をかけられることもあるという。採用への直結はまだこれからだが、会社のリアルな現場を映像で見せることの効果は、じわじわと積み上がってきている。
採用に対するスタンスは、焦りではなく「縁を大切に」という姿勢だ。「何が何でも入れていきたいというわけではない。うちで働きたいと思ってくれる人が見つかればいい」という言葉には、長年かけて築いてきた職場の文化を安易に壊したくないという想いが滲む。若い人材に対しては、資格取得費用の会社全額負担など、惜しみなくサポートする準備もできている。
安全管理についても、社長自身が毎月各現場に足を運び、安全周知会を開催している。直行直帰のスタイルで働くメンバーが多い中でも、こうした定期的なコミュニケーションの場が、現場のチームワークと安全意識を下支えしている。
🌱 10年後のビジョン──地域と業界への想いを語る
「5年後、10年後の会社をどうしたいか」という問いに、佐藤氏はシンプルな言葉で答えた。
事業の拡大や新分野への進出については「今お付き合いしている企業さんを大切にしたい。そこを裏切ることにもなりかねない」と慎重な姿勢を見せた。ただし人材が確保できれば、新しい可能性を考えなくもないとも語っており、成長への意欲は着実にある。
若い世代へのメッセージとして印象的だったのは、「ものづくりの楽しさを分かってほしい」という言葉だ。
この言葉は、土木の仕事が単なる肉体労働ではなく、構想力と技術力が融合する知的な営みであることを教えてくれる。「年寄りとの苦労より、若い人との苦労の方が全然いい」とも語った佐藤氏。経験豊富なベテランが揃う現場に新しい風を取り込みながら、これからも「選ばれる企業」であり続けようとする姿勢が伝わってきた。
建設円陣PLUSでは、建設業の経営者インタビューを無料で行っています。
掲載記事はそのまま採用・営業PRにもご活用いただけます。
▶ 取材のお申し込みはこちら
費用は一切かかりません | 取材時間の目安:約30分~1時間
本サイトについて、ご質問・ご相談がある場合は、下記のお問い合わせフォームからお気軽にお寄せください。
あわせて、協力会社探しや人材確保など、日常的な情報収集の場として無料で利用できる建設業向けマッチングサイト『建設円陣』もぜひご登録ください(緑のバナーをクリック)。












取材を通じて感じたのは、佐藤社長の「信頼を積み重ねることへの一貫したこだわり」でした。派手さはないが、誠実に現場と向き合い続けてきた40年。その積み重ねこそが、同社の最大の強みです。