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🔩 群馬県高崎市を拠点に建築金物の取り付け施工を手がけるトミテック。2008年の創業以来、代表の富田弘道氏が現場を走り続け、休みなく仕事が入るほどの信頼を積み上げてきた。自動車業界からの転身、親方のもとでの修業、そして独立──異色の経歴を持つ富田代表が語る職人としての誇りと、AI時代を見据えた次世代へのメッセージとは。🏗️
富田代表のキャリアは、建設とはまったく縁のない場所から始まった。18歳のとき、車を買いに立ち寄った日産のディーラーで所長に声をかけられ、その場の縁でそのまま入社試験を受けることになった。「とりあえずやることないし、いいかなと思って」——本人の言葉は飾り気がないが、その行動力と人懐っこさがその後の人生を動かしていく。
2年ほど日産で整備や営業などさまざまな業務を経験したが、給料への不満から退職を決断。次の仕事を探すなか、建設関係の仕事をしている親戚の知り合いの会社を頼り、建築関係の仕事へ踏み出すことになる。「建設関係の仕事の最初はそこだった」と富田代表は振り返る。
しかしその会社は1年ほどで倒産。その後は在籍中に知り合った職人の親方のもとに身を寄せ、本格的に建築金物の技術を磨いていく。師匠のもとで腕を磨き続けたのち、平成20年(2008年)にトミテックとして独立。中小建設業において「縁とタイミング」が人生を変える好例でもある。
トミテックの仕事は、大手建設会社が携わる大型施設や商業ビルなど、規模の大きな建物の建築金物取り付けが中心だ。取引先はもともと付き合いのある金物屋からの仕事が主軸で、休みなく案件が入るほどの安定した受注を維持している。
富田代表が自らの強みとして挙げるのは「仕事が速い」ことだ。「丁寧でゆっくりな人もいるからね。早けりゃ雑ってわけでもない」と本人は謙遜気味に語るが、品質を担保したうえでのスピードこそが、長年選ばれ続けてきた理由にほかならない。中小建設業の現場では、工期の遵守が元請けからの信頼に直結する。その信頼を地道に積み上げてきた結果として、現在も途切れない仕事量がある。
また、ホームページ経由でも問い合わせが来るようになっており、遠方の金物系の会社から「手が足りないので手伝ってほしい」という協力業者としての打診も届いた。個人事業規模でありながら、確かな技術力と実績がウェブ上でも発信力を持ちはじめている。
中小建設業にとって、人材確保は共通の悩みである。トミテックも例外ではなく、かつては2名体制で動いていた時期もあったが、ここ5年ほどは富田代表一人での運営が続く。案件によっては協力業者に声をかけながら対応しているが、現状は「受けられる分だけ受けている」という状態だ。
採用についてはハローワークに求人を出しているものの、応募はほぼなし。「お金をかけてまでやる必要もないかな」と率直に話す富田代表だが、人が増えれば仕事量も増やせるという手応えは感じており、将来的には「自分含めて4人ぐらいがちょうどいい」という理想の規模感を描いている。求める人物像はシンプルで、「やる気があれば誰でもいい」の一言に集約される。
建設業の人手不足は業界全体の構造的な課題だ。若い担い手が現場を選ばない背景には、仕事内容や働き方のイメージが外から見えにくいという問題もある。富田代表のように一人で安定した受注を維持できているのは、長年の取引先との信頼関係があってこそだが、それを次の世代に引き継いでいくためには、会社としての発信力や魅力づくりも欠かせない課題となってくる。
現在53歳の富田代表は、5年後・10年後を見据えたとき「そこまで無理してやろうという気持ちはない」と正直に語る。一方で、誰かに仕事を引き継いでもらえればという思いも持っており、現場を任せられる右腕が育てば理想的だという展望も口にする。
建設業の将来を問われた富田代表は、若い世代に向けてこう語った。「これからAIの時代に突入するから、できれば手に職をつけておいた方がいい。ロボットやAIにできない仕事をやっているわけだから、そういう仕事に携わっておいた方が、あとあと有利だと思う」。事務職がAIに置き換えられるニュースが増えるなか、実際に手を動かして建物を形にする職人仕事の価値は、むしろ高まりつつある。
建築金物は、建物が完成したあとも「目に見えるかたちで残る」仕事だ。「自分がつけたんだという達成感はある」——30年以上のキャリアを経た今も、富田代表の中にその感覚は生き続けている。経験を重ねるほど当たり前になっていくからこそ、その価値を若い世代にこそ味わってほしいという思いが、次世代へのメッセージの根底にある。
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📝 編集部コメント
取材を通じて印象に残ったのは、富田代表の飾らない言葉の中に宿る職人としての確かな自信でした。「仕事が速い」というシンプルな強みが、16年以上にわたる信頼の源泉であることが伝わってきます。異業種からの転身でありながら、縁とタイミングを逃さず技術を磨き続けてきた姿勢は、建設業に限らず多くの経営者に通じるものがあるのではないでしょうか。「やる気があれば誰でもいい」という言葉には、自らがそうして道を切り拓いてきた富田代表ならではの説得力がありました。