🏗️ なぜ塗装の世界に入ったのか? 原点にある「問題解決」への想い
「綺麗なきっかけがあったわけじゃないんです」と、戸田さんは少し笑いながら話してくれました。17〜18歳の頃、友人に誘われたのがそもそものきっかけ。軽い気持ちで塗装の仕事に関わり始めたものの、気づけばトータル20年というキャリアになっていたといいます。
続けてきた原動力は、「お客様の問題を解決できる仕事だ」という実感でした。一般住宅の塗装を手がける中で多く寄せられるのが、雨漏りや外壁の劣化・ひび割れなど、住まいに関する切実な悩みです。住み始めてから10年・15年が経つ頃には、どうしても目に見える不具合が出てきます。
「工事が終わった後に、綺麗になってよかったと喜んでいただけること、そして悩み事が解決されること──それがやりがいとして、ずっと続けてきた理由だと思います」と戸田さん。見た目の美しさだけでなく、住まいの問題を根本から解決できるという点に、この仕事の本質的な価値を見出しています。
中小建設業の経営者にとって、「なぜこの仕事をしているのか」という原点は、顧客との信頼関係を築く上で欠かせない軸となります。戸田さんの場合、それが「問題解決」というシンプルで力強い言葉に凝縮されていました。
🔧 うちにしかできないこと──国家資格と職人直営が生む強みとは
他の塗装業者との差別化を問うと、戸田さんは「二つあります」と明確に答えてくれました。一つ目は「一級建築塗装技能士」という国家資格の保有です。この資格は実務経験7年以上に加え、技術・知識を問う試験に合格しなければ取得できません。戸田さんはこれを一発で取得しており、長年の現場経験が裏づけとなった確かな技術の証といえます。
「この業界は、1〜2年経験すれば車一台あれば独立できてしまう面もあります。だからこそ、国家資格を持っているかどうかは、品質の差別化として大きな意味を持つんです」と戸田さんは話します。
二つ目の強みは「職人直営」の仕組みです。大きな工務店や建設会社では、工事を下請け業者に発注するため、中間マージンが発生し、その分お客様への請求が高くなりがちです。一方、戸田塗装では戸田さん自身が打ち合わせから施工まで一貫して担当します。店舗を構えず、営業マンも雇わないため、ランニングコストを大幅に抑えられ、その分をお客様への適正価格に還元できています。
「安いからサービスが落ちるということはありません。金額以上のものを提供したい」──この姿勢こそが、地域のお客様に選ばれ続ける理由です。
⚠️ 元請け依存からの脱却──自社集客を伸ばすために、今できることとは
現在の受注構造について聞くと、「年間を通じて6〜7割は元請けの工務店さん経由で、自社で直接集客できているのは2〜3割程度」という状況でした。これは建設業全体に共通する課題でもあります。
「元請けさんに依存していると、忙しい時期は案件が重なるのに、暇な時はとことん何もない。そこに依存してしまうのは、やはり避けたいんです」と戸田さん。さらに、元請け経由では中間マージンが発生するため、施工単価が自社集客と比べて2〜4割低くなる傾向があるといいます。
そこで今、戸田さんが力を入れているのがネットを活用した自社集客です。Googleビジネスプロフィールへの登録を最近始め、毎日1回は投稿や写真のアップを心がけているといいます。また「実在感のある会社づくり」を意識し、名刺に記載できるホームページの整備も進めています。
「ネット関係でいろんな網を張りたい」という言葉に、今の時代を正確に読んでいる経営者としての視点が感じられました。一人親方として現場に出続けながら、集客の仕組みを同時に整えていこうとする姿勢は、同じ課題を抱える中小建設業にとって参考になるはずです。
🌱 10年後のビジョン──「地域で名前を知ってもらえる会社に」
今後のビジョンについて、戸田さんはまず「法人化」を視野に入れていると語りました。「毎年検討はしているんですが、今年か来年には一旦法人を設立して、お客様に安心感を与えられる会社にしたい」と話します。個人事業主から法人へのステップアップは、信用面でも大きな意味を持ちます。
事業の方向性としては、塗装工事専門店として足元を固めながら、将来的にはリフォーム全般を手がけられる会社に成長させたいという展望もあります。ただ、拡大よりも「安定した自社集客の基盤を作ること」を優先しており、まずはB to Cの比率を高めることに集中しています。
「大阪府大東市の塗装といえば戸田塗装、と直接検索してヒットして、1回話を聞いてみようと思ってもらえる──そういうネット上での存在感を作りたい」と戸田さんは言います。人を増やして組織を大きくするよりも、元請けとして施工管理側に回っていくことも視野に入れており、「自分次第で夢が持てる業界」として、これから塗装業界を目指す若者にも積極的にチャレンジを勧めます。
「建設業は3Kとも言われますが、直接お客様と近い距離で仕事ができて、喜んでもらえる。やりがいのある業種なので、興味があるならぜひチャレンジしてみてください」──20年のキャリアが生んだ言葉には、力強い説得力がありました。
| 会社名 | 戸田塗装 |
|---|---|
| 代表者名 | 戸田 直宏 |
| 所在地 | 〒574-0043 大阪府大東市灰塚1-1-6 |
| 主な事業 | 一般住宅の建築塗装工事 |
| 創業 | 令和元年10月 |
| 従業員数 | 1名(代表者本人) |
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取材を通じて感じたのは、戸田社長の「品質を下げずに適正価格で届ける」という一貫したこだわりでした。職人としての誇りと、経営者として冷静に自社の課題を見つめる視点を兼ね備えた方だと感じます。