🏗️ なぜ建設業を選んだのか?原点にある想い
阿内代表が鉄筋の仕事を始めたきっかけは、ごく自然なものだった。「父親が同じことをやっていたので、それがきっかけですね」。最初は父の仕事を手伝う形でこの世界に入り、技術を身につけていった。現在、父はすでに引退しており、阿内代表自身が会社を率いる立場となっている。
鉄筋加工とは、鉄筋コンクリート製品の中に組み込む鉄筋を図面通りに加工・組み立てる仕事だ。コンクリートに流し込んだあとは外から見えなくなる、いわば「縁の下の力持ち」的な職種である。中小建設業にとって、下請け・二次受けという立場でも、品質への責任は変わらない。
平成30年1月に阿内工業を設立し、現在は従業員5名で現場を支える。小さくても芯のある会社づくり──それが阿内代表の根底にある姿勢だ。
🔧 うちにしかできないこと──現場が語る強みとは?
「どこの業者も言うかもしれないですけど」と前置きしつつ、阿内代表が挙げた強みは「図面に対しての正確さ」だった。そして、その正確さを支えているのが、「面倒くさいと思ったことをあえてやる」という徹底した現場姿勢である。
鉄筋の端をただ目分量で揃えるのではなく、定規を当てて平らにする。鉄筋を100ミリ間隔で組む際には、110ミリや90ミリに乱れないよう厳密に管理する。許容誤差は±2ミリ以内を目標とし、5ミリを超えれば製品として不合格となる世界だ。「見た目が綺麗なのは、正確な仕事をしている証拠。逆に少しずれているだけで、いい職人がいないという印象を持たれやすい」と阿内代表は語る。
さらに現代では、完成したコンクリート製品をX線で検査するケースもある。目に見えない内部まで問われるこの仕事において、手を抜く余地はない。「コンクリートに埋まって何十年も残るもの。だからこそ、妥協は許されない」──その言葉には、職人としての矜持が滲んでいた。
⚠️ 人手不足・意識の伝達…課題だらけの建設業で、どう動くか?
中小建設業が直面する人材課題は、阿内工業も例外ではない。「一人ひとりの従業員に僕の姿勢が100パーセント伝わっているかと言えば、そうではない」と阿内代表は率直に話す。自分が100と思っていても、従業員には10しか届いていないと感じることもある。「その10がその人にとっての100かもしれないけれど、僕から見ると10しか持っていない」──この温度差を縮めていくことが、日々の苦労だという。
現場でのクレームも、こうした細かいズレから生まれることがある。何度同じことを伝えても、徹底されない場面もある。しかし阿内代表は「今日明日でできることではない。ロングスパンで気長に、何度も調整しながらやっていくしかない」と腰を据えて向き合っている。
SNS活用についても「一瞬考えたが、継続的な撮影・編集を一人でこなすのは現実的ではない」と冷静に判断。業界全体でコンクリート製品の需要が落ち着いている今、自社PRよりも現場の品質を守ることを優先している。足元を固める経営判断は、中小建設業にとっても共感を呼ぶ視点だ。
🌱 10年後のビジョン──地域と業界への想いを語る
「5年、10年後もあってほしい。このまま埋もれずに」──笑いを交えながらも、その言葉には真剣さが宿っていた。コンクリート製品市場は近年、全体的に動きが鈍く、知人の鉄筋職人が数カ月仕事のない状態になったケースもあるという。
それでも阿内代表は「コンクリートがある以上、この仕事はなくならない」と見据えている。いずれ再開発の波が来れば需要は戻る。それまでいかに会社を存続させるか。「守りに入るわけではないけれど、他社よりも良い製品を作って、『ここならば』と言われるような会社にしておけば、潰れることはないかな」と話す。
足元では18歳の若手が加わり、現場に活気が出てきた。若い人へのメッセージとして阿内代表はこう語った。「一本の鉄から立体的な製品ができて、型枠にぴったり収まった瞬間の気持ちよさ。それがこの仕事のやりがい。大変だし肉体労働だけれど、できるようになれば稼げるし、根気強く頑張ってほしい」。外国人スタッフも増えるなか、腕で認めてもらえる職人を育てていくことが、阿内工業の次の目標でもある。
建設円陣PLUSでは、建設業の経営者インタビューを無料で行っています。
掲載記事はそのまま採用・営業PRにもご活用いただけます。
▶ 取材のお申し込みはこちら
費用は一切かかりません | 取材時間の目安:約30分~1時間
本サイトについて、ご質問・ご相談がある場合は、下記のお問い合わせフォームからお気軽にお寄せください。
あわせて、協力会社探しや人材確保など、日常的な情報収集の場として無料で利用できる建設業向けマッチングサイト『建設円陣』もぜひご登録ください(緑のバナーをクリック)。

取材を通じて感じたのは、阿内代表の「面倒くさいからこそやる」という言葉の重さでした。派手さはないけれど、その一言に中小建設業の品質づくりの本質が凝縮されていると思います。