🏗️ 大工の父を持ち、保育園の頃から現場へ──建設の道を選んだ原点
山口代表が初めて「現場」を意識したのは、まだ保育園に通っていた頃のことである。
「父親も大工をやっているんですけど、もうちっちゃい、保育園ぐらいの頃から現場に連れて行ってもらってた感じですよね」
大工仕事が日常の風景として刻まれた幼少期。本格的に手伝いを始めたのは高校1年生の夏休みで、掃除や雑用から現場の空気を肌で覚えた。
その後、高校を中退して建設業の道へ進んだ。最初に飛び込んだのは、群馬県内の小さな町場の建設会社。自分で刻みからやる木造工事が中心の、社員3人ほどの職場だった。親方の仕事へのこだわりがすごく、「かっこいいなと思っていました」と山口氏は振り返る。諸事情で1年ほどで退職することになったが、数年経った今でも「すごい人」と尊敬しているという。次に縁をつないでくれたのが、祖母の知り合いだった大工との出会いだった。
「そこのハウスメーカーの現場で腕を磨きながら、独立するときには元請けの仕事をもらえることになって。自分でもいろんな元請けを探しながら、どんどん広げていった感じですね」
令和3年(2021年)2月、山口氏は大霞建築として独立。弟を相棒に迎え、現在は群馬・高崎を中心に10社以上の元請けとのネットワークを持つまでに成長した。大手ハウスメーカーとの取引も今年から始まっており、これからの展開が期待される。
🔧「畳からフローリングに変えたい」──大工直営だから一括で完結する理由
大霞建築のメイン業務は造作大工工事だ。内装リフォームを軸に賃貸リノベーション・店舗改装・扉交換など幅広く手がけるなかで、高崎市内で特に多いのが「和室を洋室に変えたい」というリフォームの依頼だ。
実際、山口代表が自社で受けた大型案件のひとつも、和室の洋室化だった。
「和室を二部屋に分けて、子ども部屋にしたいっていう依頼でしたね。高崎のお客さんで。畳を撤去して床を上げて、フローリングを張り替えて、間仕切りも作るっていう」
和室のフローリング化は、畳撤去のあと隣室と床高を合わせる「床上げ処理」が必要で、根太から組み直す現場判断が伴う。こうした工程も造作大工が担える大霞建築なら、見積もりから施工まで一括で完結する。
「自分がまだ20代なので、いろんなことに臨機応変に対応できるのかなって。こういう素材で作れますか?って言ってもらえれば、自分で考えていろいろ調べて対応できる」
「お客さんに対する気持ちの丁寧さは、負けていないと思います」と、照れながらも言い切る山口代表。職人直だからこそ、打ち合わせで決まったことが現場にそのまま届く。高崎・前橋で和室のフローリング化や間取り変更を検討している方には、まず大霞建築に声をかけてほしい。
⚠️大工の手間賃が叩かれる現実──「自分だけは、叩かない」と決めた理由
中小建設業が抱える課題は多いが、山口氏が真っ先に挙げたのは「大工の手間賃の安さ」だった。
「印象が悪くなっちゃうかもしれないけど、大工の手間賃の金額が安いっていうのが課題かなと。なり手が少なくなるし、家の品質もその金額のせいで落ちちゃうと思うんで」
中小建設業にとって、下請け単価の低下は長年の悩みだ。なり手不足と品質低下が連動して進んでいく構造は、業界全体にとってもじわじわと深刻な問題になっている。
山口氏はその問題に対して、自分のできる範囲から変えようとしている。
「自分は外注さんに頼むときはちゃんと言われた金額で払うようにしてますね。安く叩かないように、それを変えていきたいなあと思ってて」
InstagramやTikTokでの情報発信も継続中だが、まだ問い合わせには直結していないというのが正直なところだ。それでも「反響も来たらいいな」と期待を持ちながら、若手大工として発信を続けている。建設業界は他業種に比べてSNS活用が遅れている現状があるからこそ、先を走る山口氏の姿勢には意味がある。
🌱30歳までに「見積もりで忙しくなる」──共に住まいをつくる大工でありたい
「どんどん自社の物件を増やして、会社を大きくしていきたいですね。30歳ぐらいまでには、見積もりだけで忙しくなるぐらいにはなりたい」
将来像を問うと、山口氏はそう語った。弟や協力会社に施工を任せて、自身は商談と見積もりに集中する体制を目指している。ただし「現場が好きだから、自分も出たい」とも笑って付け加える。職人としての本能が、経営者への道のりの傍らでいつまでも息づいているようだ。
「しあわせが、ずっと息づく空間を」というホームページのキャッチコピーは、山口氏自身の言葉だ。
「お客さんだけじゃなくて、仲間の職人さんにも、そういう気持ちを持っていてほしいな、っていう思いですね」
リフォームで失敗しないためのアドバイスを聞くと、こんな答えが返ってきた。
「よく親身になってくれる人。お客様側の気持ちになって一緒にいろいろ考えてくれる人が、いい大工さんなのかな、って思ってます。自分に相談してもらえれば、一方的に提案するんじゃなくて、共にいい住まいをつくれると思いますよ」
高崎・前橋エリアで内装リフォームや住宅リノベーションを検討している方には、まず山口氏に声をかけてみてほしい。職人直だからこそ出せる丁寧さと、20代の若さが持つ柔軟な対応力が、きっとその空間を変えてくれるはずだ。
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取材を通じて印象的だったのは、山口代表の「叩かない」という一言でした。手間賃を下げないという選択は、業界の未来を守る静かな覚悟です。その姿勢がいつか、地域の住まいづくり全体を変えていくかもしれません。