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🔨 埼玉県蓮田市を拠点に足場工事を手がける株式会社市川架設。くさび足場を専門とし、戸建て住宅から学校・団地・公共施設まで幅広く対応する。代表の市川真也氏は17歳から現場一筋、20代半ばで独立し創業約20年。「現場のマナーと対応の早さ」を軸に元請会社からの信頼を積み上げてきた同社が、どのように選ばれ続けているのか。その強さの源泉に迫る。🏗️
市川代表が足場業界に入ったのは17歳の時だった。友人が働いていた足場会社に手伝いで入ったのがきっかけで、「そのままちょっと楽しいなってなって、ずっと足場をやってる感じですね」と振り返る。定時制高校に通いながら昼間は現場に出るという生活を続け、学校帰りにトラックで資材を積み込んで翌朝に備えることもあった。 20代半ばで独立したのも、現場が好きだからこそ自分のペースで動きたいという想いからだ。「本当は手間受けの請け負いでやりたかった」という言葉が示すように、大きな組織の論理に縛られるより、自分が現場に出て仕事を積み重ねることを選んだ。 その積み重ねが取引先との信頼を生んだ。「17歳からやってたので元請会社にかわいがられていて、そこの人からいろいろ紹介で広がっていった」と語るように、常に現場に顔を出し続けたことが、紹介の連鎖につながっていった。足場職人としての現場経験の深さが、市川架設の強みの根幹にある。
市川架設の最大の強みは、現場のルール・マナーの徹底にある。中小建設業にとって、技術力と同じくらい「現場での振る舞い」が元請会社からの評価を左右する。市川代表はハウスメーカーの仕事を手がけるようになった頃、マナー面で厳しく指導を受けた。当初は「本社に来い」と言われたこともある。 だがその経験を、市川架設は会社の仕組みに変えた。社員全員を集め市の施設でミーティングを行い、教育実績を書面にまとめて元請会社に提出した。地道ではあるが確実な取り組みを重ねた結果、「首の皮一枚をつなげて、今クレームが少ない」という状態を作り上げた。叱られた経験を糧に組織として教育を整えた——この姿勢こそが、同業他社との明確な差別化になっている。 現在の体制は日本人社員5名・インドネシア人技能実習生5名の計10名体制に常駐の一人親方2名。くさび足場による小規模部分足場から学校・団地といった中規模公共施設まで対応し、主な活動エリアは埼玉県内の6階未満の建物だ。教育で築いた信頼が、幅広い案件の受注につながっている。
市川架設がもう一つの強みとして挙げるのが、対応スピードだ。「連絡を返すのを遅くしないことを一番心がけている」と市川代表は言う。取引先への返答、現地確認の日程調整、見積もりの提出——これらをとにかく早く動くことで、元請会社からの信頼を維持し続けている。中小建設業にとってシンプルながら実践できていない会社が多いこの姿勢が、競合との差をつけている。 一方で、受注の波という課題も正直に語る。住宅関連の仕事が半数以上を占め、一日完結の案件が多いため、「材料が揃うまで着工しない」という昨今の市場環境の影響を受けやすい。空いた社員を協力会社へ応援に出したり、資材メンテナンスに充てたりして対応しているが、「どうしても空いてしまうときがある」のが実情だ。 人材面では技能実習生の受け入れを進めているが、1年目は言語の壁から「わかりました」と言いながら実は理解できていないケースがあり、安全管理上の課題もある。「最初の頃は大変でしたね」と振り返るように、外国人材の活用は継続的なマネジメントを要する取り組みだ。こうした課題に向き合いながらも、強みを磨き続ける姿勢が市川架設の現場を支えている。
市川代表が次に見据えるのは、戸建て中心の受注構造から学校・団地・大規模修繕といった中大型物件へのシフトだ。一か月程度続く現場が入れば稼働が安定し、「仕事の波をなくしたい」という経営課題の解決にもなる。すでに昨年、直受けで団地・公共施設の改修工事を受注した実績があり、「そこから広げていきたい」と前を向く。 その足がかりになっているのが、地域ネットワークの活用だ。市川代表は蓮田市商工会青年部の部長を務め、埼玉県内を四ブロックに分けた広域ネットワークの中でも顔が利く立場にある。建設業向けの名刺交換会や商工会活動を通じて受注・協力業者の開拓を着実に進めており、「スケールメリットを生かして活動をしていこう」という姿勢が新たなつながりを生み出している。 17歳からの現場経験、マナー教育で培った信頼、対応スピードの徹底、そして地域ネットワークの活用——これらが重なり合って、市川架設の強さが形づくられている。中小建設業にとって「信頼で仕事をつなぐ」という本質を体現する経営者の姿がそこにある。
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「建設円陣PLUS編集部」は、建設業界に特化したプラットフォーム「建設円陣」を運営する株式会社エンジョイワークスの編集チームです。中小建設業の経営・人材・現場課題を、国土交通省・厚生労働省、業界専門紙や公的機関の情報をもとに解説します。
📝 編集部コメント
取材を通じて印象に残ったのは、市川代表の「経験を仕組みに変える」という発想の転換でした。叱責を受けて萎縮するのでなく、体制を整えて再出発する——その実直な積み重ねが、今の市川架設の信頼を支えているのだと実感しました。