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🔨 埼玉県越谷市を拠点に、金属サイディングカバー工法を専門とする株式会社グロース。代表の斯波和也氏は19歳で建設業に飛び込み、自衛隊勤務という異色の経歴を経て職人の世界へ進んだ。北海道から単身で関東に出てきた当時の苦労、そして「元請けが頼みやすい存在であり続ける」というこだわりが、今日の揺るぎない信頼へとつながっている。中小建設業の経営者として、業界の課題と向き合いながら歩んできた斯波氏の軌跡に迫る。🏗️
斯波氏が最初に就いた仕事は、建設業ではなく自衛隊だった。高校卒業と同時に入隊し、体を動かしながらも「やりがいが感じられなかった」と振り返る。 「自衛隊で体を動かすのはいいんだけど、それでもやっぱり物足りなくて。先輩に建設業をやってる人が多かったから、そのきっかけでこの仕事を始めたんです」 入隊からわずか1年半で自衛隊を辞め、19歳で外壁の職人の道へ。入社した会社では「3年は頑張って、そのあとは独り立ちしてくれ」というスタイルで育てられ、23歳で個人事業主として独立した。 北海道を拠点に経験を積む中、地元では仕事量に限りがあり、出張が続く日々だった。「地元に居ない方が長かった。結婚を機にこっちに定席を求めて関東へ来た」と当時を語る。 28歳で単身埼玉へ移り住んだのはリーマンショックの真っ只中。プレハブに住みながら生活費を稼ぐところからのスタートだった。「仕事がないと養えないなと思って、とりあえず仕事するために嫁を北海道に置いてこっちに来た」。そんな厳しい状況の中でも、日曜日に別の会社のアルバイトをして関東の相場を学び、少しずつ取引先を広げていった。その地道な積み上げが、今の株式会社グロースの礎となっている。
株式会社グロースの強みは何かと問うと、斯波氏は技術よりも先に「仕事以外のところを意識している」と答えた。 「仕事は出来て当たり前の時代だから。元請け様が頼みやすいなって思ってくれるように、仕事以外の負担を減らせるものがあれば率先して協力するようにしています」 改修工事は現場ごとにイレギュラーが多く、問題が生じても元請は現場に来れないことがある。そんな場面で斯波氏は、コミュニケーションから現場の問題点の発見・報告まで、業務外の領域まで積極的に動く。「こっちで見つけた箇所は写真を撮って元請け様に報告して、対応できることはこっちが提案してやっちゃう。元請け様の立場に立ったとき、そういう下請けの方が次も頼みやすいと思うんですよ」。 また、在宅工事では施主との関係も重視する。「何も会話なく2〜3週間が終わっちゃうと、お客さんの安心感が得られない。なるべく会話して心を開いてもらうようにしています」。職人に対して警戒心を持つお客も多い物騒な世の中で、顔の見える関係を築くことが信頼の土台になる。 「やりすぎちゃうと自分の負担にもなるけど、やれる範囲で頑張って、またそれが次に繋がってくれればプラスじゃないすか」。こうした積み重ねが次の仕事につながっていると斯波氏は自覚している。
中小建設業の経営者が共通して感じる課題に、斯波氏も正直に向き合っている。ここ数年、仕事量の変化を肌で感じているという。 「去年・一昨年あたりからやっぱり減ってるよね。建築業界が。新築が甘いからかな。なんか少なくなってきたなっていうのはある」 新築市場の縮小が業界全体に波及し、元請からの仕事量も以前と比べ安定感が下がってきた。一方で材料代は上がるが単価は上がらない、という厳しい構造もある。「材料代だけは上がって、でも単価は上がらない」とその現実を表現する。 人材面では、社員教育に踏み切れない現状も正直に打ち明けてくれた。「教育するのって今難しいじゃないですか。割り切ってやらないと。俺、細かいんですよ。だから気になっちゃうんですよね」。仕事へのこだわりが強いゆえに、一緒に働く人との温度差が生まれた過去の経験があるという。今は信頼できる一人親方や協力会社と連携することで現場をまわし、無理のない体制を維持している。 こうした課題に対し、斯波氏は「待ってるわけにはいかないから色々やっていかないとね」と前を向く。自社案件の開拓に向けてホームページを立ち上げ、デジタル面での発信にも取り組み始めている。
斯波氏が描く今後のビジョンは、規模の拡大よりも「地域に根付くこと」だ。 「まだ全然地域に根付いてないんで。越谷で依頼されるようになりたいかなと。小さくてもいいんだけど、越谷市の外壁屋さんといえばグロースっていうふうになればなあって」 現在は下請けの割合が多い中で、今後は元請案件や直接の施主からの依頼を増やすことが目標の一つだ。そのためにデジタル露出を高め、地域での知名度を上げていく取り組みを進めている。現場管理の側面も強化しながら、少しずつ経営としての視点を持ち始めている段階だという。 これから建設業界を目指す若い世代へのメッセージを求めると、斯波氏は短くこう答えた。 「自分次第では稼げると思うし。辛いかもしんないけど、やりがいはあるかなと。やり方次第では、どの業界も稼げないって言いつつも、その人の工夫次第だと思う」 自衛隊を辞め、北海道から出てきて、プレハブで暮らしながら積み上げてきた20年以上のキャリアが、この言葉に凝縮されている。中小建設業にとって若い担い手の確保は永遠のテーマだが、斯波氏の等身大のリアルな言葉が、業界への入口になるかもしれない。
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📝 編集部コメント
取材を通じて感じたのは、斯波社長の「相手の立場に立つ」という姿勢の一貫したこだわりでした。業務の枠を超えて元請や施主のために動く実直さこそが、長年の信頼関係を築いてきた源泉なのだと確信しました。