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🔨 滋賀県近江八幡市を拠点に、道路舗装を主軸として土木・外構工事を手がける株式会社道幸。代表の小川道幸氏は、18歳でこの世界に入り、約30年にわたって現場に立ち続けてきた職人である。「同業者に見られても恥ずかしくない施工を」という一貫した品質へのこだわりは、どのように育まれたのか。資材高騰という逆風のなかでも軸を曲げない経営者の言葉を、中小建設業の視点から紐解いていく。
小川氏が建設業と出会ったのは18歳のとき。免許を取得したタイミングで身内が土建業として独立する話があり、その縁で現場の世界に足を踏み入れた。「もともと建設業を志していたわけではなかった」と振り返るが、ここから職人としての歩みが始まる。 転機が訪れたのは28歳。長く勤めた会社から独立し、個人事業として歩み出した。きっかけは、子どもの就学や住まいの問題など、家族の暮らしを見据えた人生の節目が重なったことだったという。「今から振り返ると、なるべくしてなったのかな」と語るその選択は、結果として大きな分岐点となった。 独立後は仕事のない時期に他社の応援に入るなど、体一つで現場を渡り歩いた時期もあった。だが、その経験が後の品質へのこだわりにつながっていく。 その後、令和3年7月に法人化し、株式会社道幸として現在に至る。「とりあえず体を使えばお金は稼げる」と聞かされて育った少年は、いつしか自らの看板を背負う経営者になっていた。中小建設業の経営者にとって、独立という決断はいつも家族や暮らしと地続きにある。小川氏の歩みは、その重みをそのまま映している。
小川氏が何より大切にしているのは品質である。「ものづくりなので、より良いものをお客様に渡したい」この姿勢の根底には、独立前に各社の応援に入り、さまざまな現場を見てきた経験がある。 「会社によって施工のやり方がまるで違う。なぜこんな雑な舗装をするのかと感じる現場も多々あった」利益を優先するあまり質を落とす業者を目の当たりにし、「ああはなりたくない」と強く思ったことが、品質第一という信念の出発点となった。 一般の客にとっては、砂利だった場所が黒く舗装されれば「綺麗になった」と映る。しかし職人の目には、その仕上がりの差ははっきりと見える。「同業者に見られても恥ずかしくない施工を」という基準を守り続けてきたからこそ、「道幸さんに任せたら安心」と相見積もりなしで頼んでくれる顧客も少なくない。安さを求める声には正直に事情を伝え、自社の品質に見合った価格で応える──その誠実さが、確かな信頼を積み重ねている。
いま、舗装業界は厳しい局面に立たされている。アスファルトをはじめとする資材価格は大きく上昇し、運送に関わる制度の変化で運賃も上がった。「舗装業界は土建の中でも、今が一番厳しいかもしれない」と小川氏は率直に語る。 価格の急変は、既存契約にも影を落とす。それでも小川氏は、これまでの付き合いを重んじ、契約済みの案件は誠実にやり遂げる姿勢を崩さない。一方で、新たな案件については適正な価格を丁寧に説明し、再見積もりで折り合いを探っていく。中小建設業にとって、価格転嫁をどう実現するかは共通の重い課題だろう。 こうした環境の中で小川氏が見据えるのが、下請けから元請けへのシフト、そして規模の大きい元請企業との取引強化である。「無理に大きくしようとも、小さくしようとも思っていない。時代に合わせて臨機応変にやっていけたらいい」逆風を冷静に見極めながら、自社の立ち位置を柔軟に整えていく構えだ。
小川氏が描く今後の展望は、高速道路の舗装を担える体制づくりである。インフラの更新需要は今後も安定して見込まれ、「この分野の仕事がなくなることはない」と確信している。夜間工事は給与面でも働き方の面でも従業員にメリットが大きく、12〜15人規模のチームを築いていきたいという。 ただし、安全が何より優先される現場だけに、人を増やすことには慎重だ。経験を積み、自分の身を自分で守れる職人を育てながら、着実に体制を整えていく考えである。 従業員との関係について、小川氏は迷いなく「ファミリーのような感覚」と表現する。周囲の経営者からは「そのやり方では成功しない」と言われ続けてきた。それでも、「これからも自分のやり方で。変えずにやっていけたらいい」と語る姿には、揺るがない芯がある。人を大切にする経営は、人手不足に悩む中小建設業にとって、一つの確かな指針となるはずだ。
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📝 編集部コメント
取材を通じて感じたのは、小川社長の「品質」と「人」への一貫した誠実さでした。逆風のなかでも安さに流されず、従業員を家族のように思う姿勢こそが、道幸の何よりの強みだと感じます。