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🔨 埼玉県春日部市の株式会社OSR。大きな工場やプラントに数十トンの機械を搬入し、指定の場所に据え付ける「重量鳶」の専門会社です。代表の大崎純氏がいま最も力を入れているのは、会社と自分の名前を売ること。名前が知られれば、仕事も人も自ずと集まる。そう考えているからです。携帯電話も止まった状態から一人で独立した大崎氏は、なぜそこまで前に出るのか。率直に語っていただきました。
最初の現場は、重量鳶ではなく型枠解体でした。 「最初は型枠の解体っていう、全然職種は違うんですけど、あっちから入って」 転機は引っ越しです。新しい土地での仕事探しで目に留まったのが重量鳶の求人でした。 「重量鳶ってなんだろう?ぐらいなスタンスで働いた、っていうのがきっかけですかね」
驚いたのは働き方です。現場に着いた時点でその日やることが決まっており、終われば早く上がれる。 「極端な話、10分とか15分で現場は上がって、それで一日分の給料はもちろん出るんで。こんな美味しい仕事あるんかな、ぐらいな」 据え付けたら電気屋に引き渡し、翌日はまた別の現場へ。ただし最終日の試運転には立ち会います。 「試運転のときに何かあって、また動かすっていうことがあるんですよ。私らがいないと動かせないので」 数をこなしつつ、要所は最後まで見届ける。稼げる理由はここです。 ただ、惹かれる理由は次第に変わります。 「その大きな機械を倒したら、極端な話、人が死んでしまうんで。その緊張感と、あとはそのやりがいっていうのをすごい感じました」
実力と責任がそのまま評価になる世界です。重量鳶として8か月ほどで現場を任されるまでになり、「自分だったら行けるんじゃないか」と思うようになります。
独立は華々しいものではありません。辞めるまで4か月かかりました。 「自分一人ですね。もう仲間も、お金もなくて。そのときもう携帯も止まってる段階で独立してたんで」 仕事は正直に頼み込んで取りました。 「今お金ないんですけど、みたいな感じで電話して、使ってくださいみたいな。日払いできますか?みたいな。そんなスタンスでしたね」 独立初日の現場はホームセンター。手元にお金がなく、そこへ行くことも難しかったといいます。
そんな状態からスタートした会社も、今はかなりの規模になりました。半導体工場の案件では70名ほどの職人を集め、現場の要求人数に絞られた結果35名を投入しました。
いまの強みは何か。 「一番はやっぱり機動力ですかね。昼夜、全然稼働しますし」 他社なら夕方5時以降は電話がつながらないことも多いそうです。 「私はもう10時とか11時でも平気で出るタイプなので。お客様からの突発的な仕事もそうですし、明日何人か空いてない?とか、そういう夜の電話も、私の機動力を分かっていて、関係が築けているからこそ、いただけたりする」 重量鳶は5,000万円クラスの道具もあり、独立は簡単でないので専業の会社は多くありません。突発の依頼に応え続けられること自体が差別化です。
中小建設業の最大の課題は人材です。 「前に比べて、明らかに技術者が減った」 気になるのは、経験と実力の乖離です。 「若い子が一年くらいで独立してるっていうのは10人、20人と見てきてます。そういった人が仕事ください、何でもできますよっていう感じで、じゃあ来てって言うと、7割ぐらいの方が、その経験年数とは全然違うっていう」
もう一つは業界構造への違和感です。 「老舗の会社が牛耳ってるイメージが強いですかね。大きな会社が大きい仕事を受注して、下の中小企業が同じことをやってる」 「まだまだ昭和だと思いますね。時代は令和って言ってますけど」
では、どう動くのか。大崎氏が選んだのは、自分が前に出ることでした。YouTube「令和の虎」への出演もその一つです。
「建設業だと、社長自ら前に出て発言するっていうのは、あまり見ないケースなので。もうとことん、自分が矢面に立って行く、そういう気持ちがありますね」 重量鳶という職種自体、広く知られていません。
「まだまだ認知は低いと思うので」 露出に迷いはありません。
「出れるやつはもう全部出たいっていう気持ちですね」 名前が知られれば、仕事も人も後からついてくる。
「重量鳶ならOSR」と言われる存在になること。それが大崎氏の道筋です。
採用でも経験は見ません。 「もう人柄というか、それ重視かなっていう。仕事は自ずとできるようになると踏んでるので。ただ、人間性を直すのはちょっと難しいのは経験してるので」
求めるのは、熱量・真面目さ・目標の3つです。 「今の少人数のときが、一番一人一人大事かなって私は思ってます」
5年後、10年後。見据えるのは業界の序列です。 「いろんな協力会社として渡り歩いて、それを肌で感じたので。その天井の壁を突破できるような会社になりたいですね。大きな会社を抜かせるような」 若い世代へのメッセージは現実的です。 「覚えれば、シンプルに稼げると思いますね。単価的にも高いですし、建設のなかだったら、覚えといて損はない職種かなと思います」
その先を、こう表現しました。 「やりがいを感じれば、自ずとその生活そのものも全部変わってくると思ってるので。自分もやっぱりロクでもなかったので。仕事のやりがいを見つけて、全く180度変わってはいるので」 協力会社として組みたい企業へも同じです。 「稼ぎたいっていうのはもちろんベースとしてありますけど、目に映る景色を変えたい、そういう人たちにはぜひ力になってもらいたい」 向上心があるかどうか。人を見るとき、立ち返るのはそこです。
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📝 編集部コメント
取材を通じて感じたのは、大崎社長が前に出ることをためらわない人だということでした。携帯が止まった状態での独立も、離職率の高さも隠さずに話す。その率直さが、重量鳶という仕事を世に知らせる力になっています。