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2026年5月の企業倒産統計では、件数は減少した一方で負債総額は増加し、企業の体力低下がより鮮明となった。建設業においても資材価格や人件費の上昇が続く中で、資金繰りの格差が拡大している。
『2026年5月の倒産件数は771件(前年同月835件、7.7%減)となり、6カ月ぶりに前年を下回りました。しかし、負債総額は1112億4800万円(前年同月933億8800万円、19.1%増)となり、3カ月連続で前年を上回っています。』
引用元:株式会社帝国データバンクプレスリリース(PR TIMES掲載)
倒産件数は減少しているものの、負債総額の増加は一件あたりの破綻規模が拡大していることを示す。特に建設業では小規模事業者ほど価格転嫁が遅れ、資材高騰の影響を直接受けやすい構造となっている。下請構造の中で利益率が圧迫され、現場単位での赤字化が進行している点は見逃せない。
物価高倒産は97件と高止まりしており、前月からわずかに減少したものの依然として危険水準にある。建設業では鋼材・燃料・外注費の上昇が重なり、見積段階と実行段階で利益が消失するケースが増えている。 特に中小建設会社では、価格転嫁の交渉力が弱く、既存契約のままコスト上昇を吸収せざるを得ない状況が続く。この構造的問題が、資金繰りの急激な悪化につながっている。
今後は中東情勢など外部要因によるエネルギー価格の変動が、さらなるコスト上昇を招く可能性がある。特にナフサなど石油由来製品の供給制約は、建材価格へ波及しやすい。 大手企業と比較して中小建設業は調達力に乏しく、資材確保や価格交渉で不利な立場に置かれやすい。この格差は今後さらに拡大する可能性があり、経営体力の差が倒産リスクに直結する構造が強まっている。
まず必要なのは、案件ごとの原価管理精度の向上である。見積時点での原価と実行原価を分離し、利益の可視化を徹底することが重要となる。また、単価契約の見直しや価格スライド条項の導入も有効な手段である。 さらに、元請・協力会社間での情報共有を強化し、急激なコスト変動に対して柔軟に対応できる体制を構築する必要がある。
建設業において最も深刻なのは、売上規模ではなく「利益が残らない構造」が常態化している点である。今回の倒産統計でも、負債総額の増加が示すように、限界まで資金を引き延ばした末の破綻が増えている。 特に影響が大きいのが職別工事業であり、下請け比率の高い企業ほど価格決定権を持たないため、資材高騰や外注費上昇を吸収できない構造になっている。現場単位では黒字でも、会社全体では資金不足に陥るケースも少なくない。 このような状況では、受注件数が維持されていても資金ショートが起こる可能性があり、従来の「売上重視型経営」は通用しなくなりつつある。
引用元:株式会社帝国データバンクプレスリリース(PR TIMES掲載)
倒産件数そのものは減少しているが、実際には「倒産予備軍」とも言える企業が増加していると考えられる。理由は、物価高倒産が依然として約100件前後で推移している点にある。 この背景には、金融機関からの借入によって一時的に資金繰りを維持している企業の存在がある。いわゆる延命状態に近いケースでは、金利負担の上昇や追加融資の難化が引き金となり、急激に経営が悪化するリスクを抱えている。 建設業の場合、工期の長さと入金サイクルの遅さが重なり、資金繰りの余力が他業種よりも小さい。そのため、外部環境の変化に対する耐性が低い構造的な弱点がある。
今後の建設業経営では、「受注量の確保」よりも「利益率の確保」と「資金回転の最適化」が重要になる。 具体的には、以下のような取り組みが不可欠である。 ・見積段階での原価精度向上 ・追加工事・設計変更の即時請求体制の構築 ・資材価格変動を前提とした契約条件の見直し ・協力会社との単価調整の定期化 これらは短期的には手間が増えるが、中長期的には倒産リスクを抑える最も有効な手段となる。特に中小企業では「感覚的な原価管理」から脱却できるかどうかが生存の分岐点となる。
2026年5月の企業倒産統計は、件数減少という表面的な改善とは裏腹に、負債総額の増加や物価高倒産の高止まりなど、企業体力の低下を明確に示す内容となった。建設業においても同様に、資材高騰や外注費上昇の影響により、利益構造の悪化が進行している。 今後は「受注できているかどうか」ではなく、「利益と資金繰りが維持できているか」が経営判断の中心となる。 本記事の内容は、今後の経営判断や情報収集の一助となることを目的としている。
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「建設円陣PLUS編集部」は、建設業界に特化したプラットフォーム「建設円陣」を運営する株式会社エンジョイワークスの編集チームです。中小建設業の経営・人材・現場課題を、国土交通省・厚生労働省、業界専門紙や公的機関の情報をもとに解説します。