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群馬県立小児医療センターの移転再整備は、病院・立体駐車場の建設工事費だけで約230億円と見込まれる、大規模な公共建築プロジェクトです。しかも群馬大学医学部附属病院との上空通路での接続や、病室・救急部門の拡充など、病院建築ならではの要素が詰まった案件でもあります。
県が公表しているマスタープランから、ポイントを整理します。
現在の小児医療センターは渋川市にあり、1982年(昭和57年)4月に北関東初の小児専門病院として開設されました。開設から40年以上がたち、頻発する雨漏りや電気・給排水設備の老朽化が深刻になっています。医療面でも、合併症を抱えた妊婦や、小児から成人への移行期にある患者への対応が難しいという課題がありました。
そこで県は2023年1月に再整備の方針を決め、2024年2月には前橋市の群馬大学医学部附属病院の隣接地へ移転する方針を決定しました。2025年3月には「群馬県立小児医療センター再整備マスタープラン」(マスタープランとは:新病院の役割・規模・機能・建設地などの方向性をまとめた基本計画)を策定しています。
病床数は現在と同じ150床を想定し、その内訳は一般97床、NICU(NICUとは:新生児集中治療室)21床、GCU(GCUとは:NICUを出た新生児の回復期治療室)24床、PICU(PICUとは:小児集中治療室)8床です。
マスタープランでは、策定時点の概算事業費を総額291億5,500万円(税込)と試算しています。このうち建設工事費は230億2,200万円で、内訳は下の表のとおりです。
項目 |
金額(税込) |
算出の考え方 |
|---|---|---|
建設工事費(病院本体) |
222億3,000万円 |
1㎡あたり950千円×23,400㎡ |
建設工事費(立体駐車場) |
7億9,200万円 |
1㎡あたり120千円×6,600㎡ |
設計等の費用 |
6億4,300万円 |
参考見積 |
医療機器・備品整備費 |
38億6,700万円 |
新規購入分と移設分を区分して積算 |
医療情報システム整備費 |
16億2,300万円 |
開院時の電子カルテ更新を想定 |
|
合計 |
291億5,500万円 |
用地取得・解体費、上空通路整備費、調査費は含まない |
出典:群馬県「群馬県立小児医療センター再整備マスタープラン」(https://www.pref.gunma.jp/uploaded/attachment/667163.pdf)をもとに作成
注目したいのは、病院本体の建設単価について「建設費が高騰する近年において、実勢価格を踏まえつつ」、単価が変化する可能性も考慮して設定したと明記されている点です。
また、用地取得費や上空通路の整備費などはこの概算に含まれておらず、マスタープラン自体も、詳細な事業費は基本設計などの各段階で社会情勢を注視しながら再検討するとしています。
マスタープランでは主な機能強化として、一般病棟の個室を19室から37室に増やし、NICU・GCUを計33床から計45床に拡大する計画です。救急処置室の新規整備、夜間救急受付の整備、手術室や診察室の面積拡大、超音波検査室の増室(2室から3室)、ME器材室(ME器材室とは:人工呼吸器など医療機器を管理・保守する部屋)を現状の1.5倍程度とすることも盛り込まれました。
新病院は、隣接する群馬大学医学部附属病院と、将来的に上空通路で接続する方針です。患者動線の向上とスタッフの自然な交流を目指します。
駐車場は、現病院の規模(患者用162台、職員用328台、公用車等6台の合計496台)をもとに整備し、不足分は県有地など敷地外の周辺土地も活用して確保するとしています。院内保育などの附帯施設を新病院内や同じ敷地内に整備することも検討されています。
※画像はイメージです
マスタープランは整備手法の候補として、設計と施工を分けて発注する従来方式、DB方式(DB方式とは:設計と施工を一括で発注する方式)、ECI方式(ECI方式とは:設計段階から施工者が技術協力として参加する方式)などを挙げ、品質や建設コストの縮減を総合的に勘案して選ぶとしています。策定時点の想定スケジュールでは、基本設計・実施設計を経て建設工事に入り、2030年度の開院を目指すとされていました。
基本設計者は、2025年6月に公告された公募型プロポーザル(公募型プロポーザルとは:価格だけでなく技術提案の内容で設計者を選ぶ方式)で選定されました。マスタープランの事業収支計画では、開院後しばらくは減価償却費の増加などで赤字となるものの、2036年度以降は黒字に転じる見込みです。発注方式しだいで、専門工事業者に声がかかる時期や求められる体制は変わります。
今回は病室や救急部門の拡充に加え、上空通路での群大病院との接続も予定されており、関係者との調整力が問われる案件です。下請や専門工事として関わる中小企業にとっても、病院や公共施設での施工実績、品質管理や安全管理の体制は、元請に選ばれる強みになります。
大型案件は工期が長いぶん、人員の確保と協力会社との連携を早めに固めておくことも欠かせません。
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県立小児医療センターの移転再整備は、子どもの命を守る拠点づくりであると同時に、専門性の高い大型公共工事です。事業費やスケジュールは設計の進み具合で見直される可能性があるため、県の公表情報を確認しながら、自社の技術と体制を磨いておきましょう。
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出典:群馬県立小児医療センター再整備マスタープラン(令和7年6月20日一部改訂)(群馬県)(https://www.pref.gunma.jp/uploaded/attachment/667163.pdf)、群馬県立小児医療センター移転再整備について(群馬県)(https://www.pref.gunma.jp/page/706464.html)をもとに作成
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