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事業承継は、会社の代表者を交代させるだけの話ではありません。特に中小企業では、先代が築いてきた人間関係や仕事の進め方、社内の信頼関係まで引き継ぐ必要があります。
今回、一般社団法人日本跡取り娘共育協会が発行する『女性後継者白書2026』は、後継者がどのような壁に直面し、承継後に何を変えているのかを考える材料になります。 同白書の調査では、全国の女性事業後継者・後継予定者104人を対象に、事業承継に関する実態を調査。その結果、「自身の経営知識や経営能力の獲得」を課題として挙げた人が76.9%に達しました。また、65.4%が「女性であることが承継の課題に影響した」と回答しています。
『承継の95.2%が親族内。相談先は「家族・親族」に集中し、公的支援機関はわずか5.8%』
引用元:一般社団法人日本跡取り娘共育協会プレスリリース(PR TIMES掲載)
建設業でも、親族への事業承継を考えている企業は少なくありません。では、後継者が会社を引き継いだ後、どのような経営を進めていけばよいのでしょうか。
今回の調査で注目したいのは、承継時の課題だけではありません。承継後の取り組みを見ると、「業務改善(標準化・改善活動等)」が67.3%で最も多く、「デジタル化・DXの推進」が59.6%、「人材育成」が56.7%、「働き方改革」が52.9%と続きました。 つまり、事業承継を「先代の仕事をそのまま受け継ぐ機会」とするのではなく、これまでの仕事の進め方を見直すタイミングとして捉えている企業があるということです。
建設業でも、見積もりや請求、工程管理、写真管理、情報共有など、会社によっては特定の担当者に仕事が集中しています。後継者が経営を担うなら、こうした属人的な業務を整理し、誰が担当しても分かる仕組みに変えることは、承継後の重要なテーマになります。
調査では、承継後に売上が増加した企業は54.8%、利益が増加した企業は50.0%でした。一方で、業務改善やDX、人材育成にも多くの企業が取り組んでいます。
ここから読み取れるのは、承継後の経営では、売上だけでなく「会社の土台をどう整えるか」も重要だということです。
例えば、
*ベテランの経験だけに頼っていた作業手順を整理する
*紙中心だった情報をデジタル化する
*新人が仕事を覚えられるよう教育方法を整える
こうした改善は、すぐに売上へ結びつくとは限りませんが、会社を次の世代へつなぐための基盤になります。
また、調査対象には建設・不動産業も10.6%含まれています。業種は異なっても、「後継者を育てる」「業務を標準化する」「人材を育てる」という課題は、建設業の中小企業にとっても考えやすいテーマです。
引用元:一般社団法人日本跡取り娘共育協会プレスリリース(PR TIMES掲載)
事業承継を控えている企業なら、まず取り組みたいのが「誰が、何を、どのように判断しているのか」の整理です。
現場の段取り、協力会社との関係、見積もりの考え方、顧客との付き合い方など、先代やベテランの頭の中にある情報は、引き継がなければ失われる可能性があります。だからこそ、後継者にいきなり経営を任せるのではなく、現在の業務や判断基準を少しずつ言葉や資料にして残していくことが大切です。
さらに、後継者本人だけに経営を背負わせないことも重要です。今回の調査では、後継者の孤立やロールモデル不足を課題に挙げた人が42.3%いました。社内だけでなく、同業者や経営者仲間など、相談できる相手を持つことも承継後の経営を支える力になります。
事業承継は、代表者の名前を変えるだけでは終わりません。今回の調査では、女性後継者が経営知識や社内の信頼獲得などに課題を感じる一方、承継後には業務改善やDX、人材育成などに取り組んでいる実態が示されました。
建設業の中小企業でも、後継者への承継を「これまでを守るだけの作業」とせず、業務の見える化や人材育成、デジタル化を進める機会として捉えることが、次の世代へ会社をつなぐ一歩になりそうです。
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