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「社長、この追加工事どうしますか?」と現場から電話がかかってきても、社長は別の現場で打ち合わせ中。折り返しを待つ間、職人さんたちは手を止めたまま……。こんな光景に心当たりはありませんか。
中小の建設会社では、あらゆる判断が社長に集中しがちです。しかし、それでは会社の成長に限界が来てしまいます。今回は、社長がいなくても現場が正しく判断できる会社にするための「権限の渡し方」を解説します。
判断が社長一人に集中すると、大きく三つの問題が生まれます。
一つ目は現場のスピードが落ちることです。資材の追加発注や小さな仕様変更でも社長の確認待ちになり、工程が遅れてしまいます。
二つ目は社員が育たないことです。自分で考える前に「社長に聞けばいい」となり、判断力が身につきません。
三つ目は社長が倒れたら会社が止まることです。急な入院や事故はいつ起こるか分かりません。事業承継を考えるうえでも、社長への一極集中は大きな弱点になります。
※画像はイメージです
例えば、ある工務店の社長が「現場のことは現場監督に任せる」と宣言したとします。ところが、監督が自分の判断で15万円の追加資材を発注したところ、社長から「そんな額なら相談しろ」と叱られてしまいました。それ以来、監督は何でも社長に確認するようになり、元の状態に逆戻りです。
原因は、任せる範囲を言葉で決めていなかったことにあります。「任せる」という一言だけでは、人によって受け取り方がまったく違います。権限を渡すときは、あいまいさをなくすことが何より大切です。
そこで役立つのが職務権限表(職務権限表とは:誰がどの業務について、どこまで決めてよいかを一覧にした社内ルール)です。大企業だけのものと思われがちですが、むしろ人数の少ない会社ほど効果を発揮します。
作り方はシンプルです。縦軸に「資材発注」「外注先の選定」「工程変更」「値引き対応」「職人の採用」などの業務を並べ、横軸に「社長」「現場監督」「事務担当」などの役職を並べます。そして各マスに「決定」「承認」「報告のみ」と書き込めば完成です。
まずは社長自身が普段どんな判断をしているかを書き出してみると、表に落とし込みやすくなります。A4用紙1枚から始めても十分です。
1つ目は金額の基準を数字で決めることです。「30万円未満の資材発注は現場監督の判断でOK、それ以上は社長承認」のように線を引けば、迷いがなくなります。
2つ目は任せる範囲を段階的に広げることです。最初は小さな金額から始め、うまくいけば上限を引き上げていきます。失敗しても会社が揺らがない範囲で経験を積ませるのがコツです。
3つ目は事後報告のルールを決めることです。任せた判断は、その日のうちに報告してもらう仕組みを作りましょう。LINE WORKS(LINE WORKSとは:LINEに似た操作感で使えるビジネス向けチャットツール)などで、決めた内容と理由を短く共有するだけでも十分です。社長は報告を確認し、気になる点があれば後から助言すればよいのです。
また、部下が判断を誤ったときに頭ごなしに叱らないことも重要です。叱られると、次から自分で判断しなくなってしまいます。「なぜそう判断したのか」を聞き、次に生かす姿勢を見せましょう。
※画像はイメージです
権限を渡すことは、社長が楽をするためではなく、会社が強くなるための投資です。金額・範囲・報告の3点をはっきり決めれば、社長がいなくても現場は自信を持って動けるようになります。まずはA4用紙1枚の権限表づくりから始めてみてください。
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