記事を読み込み中です
「うちの若手は覚えが遅くて…」「何年経ってもなかなか一人前にならない」――そんな悩みを抱える中小建設業の経営者や現場監督は多いのではないでしょうか。しかし、問題は若手の能力そのものではなく、「教えられる側」のままでい続けさせている環境にあるかもしれません。
「ラーニングピラミッド」という学習モデルがよく紹介されます。数値の根拠には議論がありますが、「人に教えると理解が深まる」という考え方自体は、多くの教育現場で実感されています。
これは建設現場でも同じです。「先輩の背中を見て覚えろ」という文化も大切ですが、若手自身が後輩や同期に技術や手順を説明する機会を与えることで、本人の理解が深まり、技術の定着スピードが上がるという効果が期待できます。「教える」という行為そのものが、一番の成長エンジンになるのです。
中小の建設会社では、現場をこなすことに精いっぱいで、若手を「教える側に立たせる」余裕がないと感じている経営者や現場監督が多いのが現実です。また、「まだ半人前なのに教えさせていいのか」という不安から、ついベテランが全部やってしまうケースも少なくありません。
しかし、この状況が続くと、若手はいつまでも「受け身」のまま。指示待ち体質が定着し、やがて「やりがいがない」「成長している実感がない」という理由で早期離職につながることも多いのです。建設業界では、若手の早期離職が長年の課題として指摘されています。
では、現場でどのように若手に「教える側」を経験させればよいのでしょうか。すぐに実践できる方法をご紹介します。
①「1つだけ担当」から始める
最初から全部を任せる必要はありません。たとえば「今日は新入りに足場の安全確認の手順だけ教えてあげて」といった形で、1つの工程に絞って教える役割を与えます。小さな成功体験が自信につながります。なお、安全に関わる手順を教えさせた場合は、必ず監督やベテランが最後に確認するようにしましょう。
②「朝礼でひとこと説明」を任せる
朝礼で「今日の作業のポイントを1分で説明してみて」と振るだけで、若手は前日から頭を整理するようになります。アウトプットの習慣が身につき、理解の深さが変わってきます。
③「後輩の作業チェック」を役割として与える
新入りが入ってきたタイミングで、2〜3年目の若手に「この子の今日の作業を見てあげて」と伝えるだけでも十分です。責任感が生まれ、自分の作業を改めて見直すきっかけになります。
若手に「教える側」を経験させると、現場には次のような変化が期待できます。
技術の定着が早くなり、ミスが減る
仕事に対する主体性・当事者意識が高まる
後輩が入ることで「自分の立場・役割」が明確になり、離職意欲が下がる
ベテランから若手への技術継承がスムーズになる
特に注目したいのは離職防止への効果です。「自分が必要とされている」という感覚は、若手が現場に留まり続けるうえで非常に重要なモチベーションになります。教える役割を与えることは、採用コストをかけずに人材定着を促せる、低コストで始められる施策ともいえます。
※画像はイメージです
若手に「教える役割」を与えるだけでは、うまくいかないこともあります。経営者や現場監督側のフォローが不可欠です。具体的には以下の点を意識してください。
まず、「失敗してもいい」という心理的安全性(心理的安全性とは:失敗や意見表明を恐れずに行動できる職場の雰囲気)を確保することが大切です。教え方が不完全でも、結果よりプロセスをほめる声がけを意識しましょう。
次に、定期的に「どうだった?」と振り返りの場を設けることも重要です。教えた経験を言語化させることで、さらに深い学びが生まれます。週に1回、5分でも話せる場があるだけで十分です。
そして、「教えてくれてありがとう」という文化を現場全体に根付かせることが、長期的には最も大きな効果をもたらします。教えることが「評価される行動」であると全員が認識すれば、自然と技術継承の文化が育っていきます。
若手を「教えられる側」に置き続けることは、本人の成長を遅らせるだけでなく、現場全体の活力と技術継承の機会を奪っています。
今日からできる小さな一歩として、若手に「何か1つ教える役割」を与えてみてください。その積み重ねが、人が育つ現場、辞めない現場をつくる第一歩になります。
若手育成を進める一方で、現場をこなすための協力会社や職人の確保も大きな課題ではないでしょうか。人材育成と並行して体制を整えるために、無料の建設業向けマッチングサービス『建設円陣』へのご登録をぜひお試しください(緑のバナーをクリック)。
➡関連記事:新人指導が人生相談に変わるとき——現場監督の正しい向き合い方
お問い合わせフォームを読み込んでいます。お問い合わせページもご利用いただけます。
お問い合わせフォームを読み込み中です「建設円陣PLUS編集部」は、建設業界に特化したプラットフォーム「建設円陣」を運営する株式会社エンジョイワークスの編集チームです。中小建設業の経営・人材・現場課題を、国土交通省・厚生労働省、業界専門紙や公的機関の情報をもとに解説します。