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建設現場では、一日の中で何度も耳にする言葉があります。
それが「ちょっと待って」です。
職人からの質問、資材搬入の確認、図面の照合、協力会社との調整、施主への連絡など、現場監督は常に複数の案件を同時進行で処理しています。そのため、「ちょっと待って」という言葉は決して珍しいものではありません。
しかし、この何気ない一言が積み重なることで、現場全体の生産性や利益に大きな影響を与えている可能性があります。
今回は、現場監督の一日をイメージしながら、「ちょっと待って」がどれほど発生しているのかを考察し、その背景と改善のヒントについて解説します。
ある中小建設会社の現場監督を例に考えてみます。
朝礼後から夕方までの勤務時間中、職人や協力会社からの問い合わせは平均して20~40件程度発生するといわれています。
例えば以下のような場面です。
・図面の確認依頼
・追加工事の相談
・資材到着時間の確認
・施工手順の問い合わせ
・施主からの急な要望
・工程変更の調整
これらに対し、その場で即答できれば問題ありません。しかし実際には資料確認や電話連絡が必要になることも多く、「ちょっと待って」が発生します。
仮に1日30回発生し、1回あたり2分の待機時間が生じたとすると、合計60分です。
つまり現場監督は毎日約1時間分の「待ち」を発生させている計算になります。
もちろんすべてが無駄な時間ではありません。しかし現場全体で考えると、職人側もその間作業を止めたり、別の作業へ移動したりするため、見えないロスが積み上がっていきます。
※画像はイメージです
待ち時間が発生する背景には、いくつか共通した要因があります。
まず多いのが情報の分散です。
図面は事務所、工程表は別のファイル、過去の施工写真は個人のスマートフォンなど、必要な情報が複数箇所に散らばっていると確認に時間がかかります。
次に段取り不足です。
朝の時点で想定できる質問や作業内容を整理できていないと、その都度判断が必要になり対応時間が増加します。
さらに協力会社との情報共有不足も原因の一つです。
工程変更や仕様変更が十分に伝わっていない場合、現場での確認作業が増え、「ちょっと待って」の回数も増加します。
現場では材料費や人件費ばかりに目が向きがちですが、待機時間も立派なコストです。
例えば職人5人が5分間待機した場合、合計25分の労働時間が失われます。
これが一日数回発生すると、月単位ではかなりの時間になります。
特に近年は人手不足が深刻化しており、一人ひとりの生産性向上が重要な経営課題です。
限られた人数で利益を確保するためには、目に見えにくい待機時間の削減が欠かせません。
現場監督自身も「忙しいのに仕事が終わらない」と感じている場合、その原因の一部はこうした細かな中断の積み重ねにある可能性があります。
改善の第一歩は、どの場面で待ち時間が発生しているかを見える化することです。
一週間だけでも記録を取ると、同じような問い合わせが繰り返されていることに気付く場合があります。
また、施工写真や図面をクラウドで共有する仕組みを導入すれば、確認時間を短縮できます。
最近では建設業向けの施工管理アプリや情報共有ツールも充実しており、スマートフォンから必要な情報へ即座にアクセスできる環境づくりが進んでいます。
さらに朝礼や昼礼で当日の注意点や変更事項を事前共有することも効果的です。
職人側が自ら判断できる範囲が増えれば、現場監督への問い合わせ件数そのものを減らすことができます。
建設業では忙しいことが当たり前と考えられがちです。
しかし、本当に目指すべきなのは忙しさではなく、スムーズに流れる現場です。
「ちょっと待って」が多い現場は、一見活気があるように見えても、実際には多くの時間が停滞しています。
逆に、必要な情報がすぐに共有され、職人が迷わず作業できる現場は、生産性も安全性も高まります。
現場監督の負担軽減にもつながり、結果として会社全体の利益改善にも結び付くでしょう。
現場監督が一日に発する「ちょっと待って」は、想像以上に多く発生している可能性があります。その一言の裏には情報共有不足や段取りの課題が隠れており、積み重なれば大きな時間的損失となります。
まずは現場で発生している待機時間を見える化し、情報共有や業務改善に取り組むことが重要です。小さな改善の積み重ねが、止まらない現場づくりへの第一歩になるでしょう。
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