🌊国土交通省が、雨や台風で洪水が起きやすい「出水期」でも河川工事を進められるよう、施工できる工種を大きく広げました。
2026年度(令和8年度)の出水期からは、これまで原則NGだった堤防本体に直接関わる工種でも、治水上の安全性を確保できる施工方法を取れば工事を進めてよいことになります。これにより、全国の国管理河川で行なわれる河川工事は、ほぼすべての工種で出水期の施工が可能になる見込みです。🏗️
河川工事に関わる現場監督・技術者・職人のみなさんにとって、年間スケジュールの立て方が変わる大きなニュースなので、ポイントを整理します。
そもそも出水期の工事はなぜ制限されていたの?
出水期とは、梅雨や台風などで洪水が起きやすい6〜10月ごろの期間を指します。国土交通省はこれまで、この期間は原則として河川工事を行なわないこととしてきました。🌧️堤防の一部を削ったり護岸を撤去したりする作業中に洪水が来てしまうと、治水機能が保たれず被害拡大につながるおそれがあるためです。
一方で、出水期を避けて非出水期(11〜5月ごろ)に工事が集中すると、その時期だけ技術者や資機材が不足しがちになります。業界側からは「効率よく技術者を配置できるよう、河川工事を通年で発注・施工できるようにしてほしい」という要望が出されており、平準化は長年の課題でした。⚖️
段階的に広がってきた「出水期でも工事OK」な工種
国交省は一度にルールを変えたわけではなく、段階的に対象を広げてきました。📈
まず平成29年度(2017年度)に、洪水が予測されたら工事関係者や資機材をすぐに退避・撤去できる工種として、河道掘削・浚渫、天端舗装、高水敷(工事用)道路、土砂運搬、根固工(乱積み)などを出水期施工の対象にしました。
続く平成30年度(2018年度)には、堤防機能を低下させずに施工できる工種として、遮水矢板工、川裏矢板工、地盤改良、低水護岸(矢板)、築堤盛土(嵩上げ)、法尻補強護岸などを追加しています。
そして今回、令和8年度(2026年度)から第3段階として、堤防本体そのものに関わる工事にまで対象が広がることになりました。
出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/kasen/pdf/2607_shussuikisekou.pdf)
2026年度から新たに施工できる工種と条件
今回新たに整理された工種は、高水護岸・堤防護岸、築堤盛土(前腹付け)、川裏盛土、低水護岸(ブロック)です。🔧いずれも堤防本体に直接影響するため、これまでは出水期を避けるのが原則でした。
可能になった条件は「別途対策工により、工事前の治水機能を保持・回復できること」です。具体的には、工事箇所の全範囲を一度に施工するのではなく、洪水が予測された時に元の形状へ戻せる範囲だけに限定して施工し、その範囲が終わったら次の範囲へ進む、という段階的なやり方が求められます。
例えば築堤盛土(前腹付け)の場合、堤防の川表側を段切りして施工している最中に洪水が予測されたら、埋め戻しを行なって元の断面に復旧させる、という運用になります。👉これは「施工中でも常に堤防を守れる状態を保つ」という発想が土台になっています。
出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/kasen/pdf/2607_shussuikisekou.pdf)
橋台・橋脚・樋門などの構造物工事も対象に
河川内に設置する橋台や橋脚、樋門といった構造物の工事についても、出水期施工が可能になります。🌉これらは堤防を一部開削する必要があるため、堤防と同等の機能を持つ鋼矢板による仮締切を設置し、仮締切によって水の流れが阻害される分は河道掘削で補うことで、工事前と同等の治水機能を確保する仕組みです。
出水期の間、仮締切をそのまま設置しておく場合は、締切の内外にある資機材が流出しないよう、締切の高さなどをしっかり設定する必要がある点も示されています。
なお、今回の措置は河川法に基づく許認可工事にも適用されるため、国が直接発注する工事だけでなく、許認可を受けて行なう工事にも関係してきます📋。
出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/kasen/pdf/2607_shussuikisekou.pdf)
中小建設会社の現場にとってのメリットと今後の対応
この措置の狙いは、工期の短縮と施工時期の平準化による生産性向上です。💪出水期を避けて非出水期に工事が集中する状況が緩和されれば、技術者を年間で無理なく配置しやすくなり、繁忙期と閑散期の差も小さくなることが期待されます。
中小の建設会社にとっては、河川工事の発注が年間により分散する可能性がある、ということでもあります。人員計画や資機材の手配を見直すタイミングとして、社内の工程管理や安全対策のルールも合わせて確認しておくとよいでしょう。👇
施工中に洪水が予測された場合の復旧手順(埋め戻しや仮締切の扱いなど)は、現場ごとに具体的な行動計画として共有しておくことが欠かせません。
詳細な条件や個別の工事への適用については、国土交通省水管理・国土保全局治水課へ確認するのが確実です。☎️
まとめ
出水期でも堤防本体の工事まで施工できるようになったことで、河川工事は「ほぼ通年施工」に近づきました。
制度の変化を早めにキャッチして、現場の年間スケジュールづくりに活かしていきましょう🌱。
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出典:「出水期間中の河川内工事の実施について~工期の短縮と生産性の向上~」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/kasen/pdf/2607_shussuikisekou.pdf)をもとに作成
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