🏗️ なぜ運送業の道を選んだのか?原点にある「無力感」と決意
原田社長が独立を決意したきっかけは、大手運送会社での経験にある。周旋業者として大手企業の仕事を請け負っていた当時、現場で「こうすればもっとよくなる」と感じることがあっても、組織の大きさゆえに自分の力ではどうにもできない場面が続いた。
「思い通りにならないもどかしさがあって、自分の無力さを感じたんです。後輩や部下のことを思ってこうしてあげたいと考えても、大手の中にいるとどうにもならない。かっこよく言うと、だったら自分でやろうかなと」
その後、大手を離れてからも即座に起業したわけではなく、約2年間にわたって複数の一般貨物業者に身を置き、現場のノウハウを積み上げた。「目づくりをさせてもらった」と語るその期間が、後の経営の土台となっている。
中小建設業においても、下請けや協力会社の立場で「言いたいことが言えない」「現場で感じた課題をうまく伝えられない」という経験を持つ経営者は少なくないだろう。原田社長の独立の動機は、そうした思いと深いところで通じるものがある。
🔧 うちにしかできないこと──大手経験が生んだ「周旋業者としての強み」とは?
パルフェラインの最大の強みを問われると、原田社長は迷わず「周旋業者としての経験」を挙げる。大手で培ったノウハウをそのまま自社の運営に落とし込むことで、荷主企業が求める品質水準に応えられるという自信がある。
「大手の仕入れ担当者や副長クラスとも対等に話せる。そこに入り込める強みがうちにはあると思っています」
特に現場で重要なのが、ドライバーの配送スキルだ。一見すると「荷物をAからBへ運ぶだけ」に見えるこの仕事は、実際には配送先ごとの時間指定の管理、積み込み順序の判断、待機時間を含むルート設計など、高度な段取り力を要求する。
「何十か所と回る中で、各社の受付時間がバラバラなんですよ。Bは11時だけど隣の会社は別の時間だったりする。ドライバーが頭の中でルートを組み立てられるかどうかで、仕事の出来が全然違ってくる。これを新しい人間に教えるのが、一番の苦労です」
また同社は法人・企業間の物流に特化しており、一般個人向けの再配達対応といった課題とは異なるシビアさがある。企業相手だからこそ、「新人だから」という言い訳は通用しない。その分、プロとしての矜持を持ったドライバー育成に力を注いでいる。
⚠️ 人手不足・2025年問題…課題だらけの運送業で、どう動くか?
運送業界全体を悩ます課題は、建設業と重なる部分が多い。2025年問題による時間外労働の規制強化、ドライバーの高齢化と若手不足、燃料費の高騰など、外部環境の変化が経営を直撃している。
「時間規制が厳しくなっても、お客さんからしたら荷物の時間は変わらないんですよ。朝8時に荷物を取りに来てくれという話は20年前と同じ。こちらの事情だけでは動かせない、難しいところです」
その中でも原田社長が現在最も力を入れているのが、ドライバーの採用だ。現状は30名程度の規模だが、仕事量はそれを上回っており、慢性的な人手不足が続いている。ハローワークなどの求人媒体は「続かない人が集まりやすい」という理由から使用しておらず、社員からの紹介や口コミを重視した採用スタンスを取っている。
中小建設業でも同様に「紹介でしか人が来ない」という声はよく聞かれる。裏を返せば、既存スタッフが「ここで働いて良かった」と感じてこそ、口コミの連鎖が生まれる。そのためにも、後述する「働きやすい環境づくり」が採用戦略の核心となっている。
また、繁忙期と閑散期の波が激しいこの業界では、「忙しい時期に新規のお客さんに対応できない」というジレンマも常につきまとう。だからこそ既存顧客との関係を大切にしながら、徐々に体制を整えていくという着実な姿勢が原田社長の軸にある。
🌱 10年後のビジョン──「人それぞれに向き合える会社」を目指して
原田社長が描く5〜10年先の姿は、従業員50名規模への成長だ。ただしそこに向かうプロセスにおいて、数字よりも大切にしていることがある。それは「働きやすい環境をつくること」だ。
「給料をたくさん稼ぎたい人もいれば、休みが多い方がいい人もいる。飲み会が好きな人も嫌いな人もいる。人それぞれ向き合っていける会社でありたいと思っています」
一般貨物・チャーター便・ルート便それぞれに働き方の特徴があり、どの部門を選ぶかで生活リズムも収入も変わってくる。「関東方面を走りたい人はチャーター便、朝早くて早く帰りたい人は一般貨物、夜間に働きたい人はルート便」というように、ドライバーの希望に合わせたキャリアパスを整備していくことが今後の目標だ。
さらに将来的には、倉庫業や人材派遣といった運送に関連する事業への展開も視野に入れている。閑散期に人材を倉庫業務へ回し、繁忙期には運送へ戻すといった柔軟な体制づくりを考えている。
若い世代へのメッセージを求めると、原田社長は率直に語った。「ユーチューバーを目指す子を否定するわけじゃないけど、日本を動かすためには汗水垂らして働く人間が絶対に必要です。ハングリー精神が少なくなっている気はするけど、本当に強い子もいる。そういう子を育てていきたい」
中小建設業の経営者にも通じる言葉だ。現場で体を動かす人間の価値を信じ、その人たちが長く働き続けられる場所をつくることこそが、業界全体の未来につながる。
建設円陣PLUSでは、建設業の経営者インタビューを無料で行っています。
掲載記事はそのまま採用・営業PRにもご活用いただけます。
▶ 取材のお申し込みはこちら
費用は一切かかりません | 取材時間の目安:約30分~1時間
本サイトについて、ご質問・ご相談がある場合は、下記のお問い合わせフォームからお気軽にお寄せください。
あわせて、協力会社探しや人材確保など、日常的な情報収集の場として無料で利用できる建設業向けマッチングサイト『建設円陣』もぜひご登録ください(緑のバナーをクリック)。












取材を通じて印象的だったのは、原田社長の「人それぞれに向き合いたい」という言葉の重さでした。数字や規模の拡大よりも、一人ひとりのドライバーが自分らしく働ける環境を先に整えようとするその姿勢に、長く続く会社の本質を見た気がします。