🔨 大阪府富田林市を拠点に、型枠工事を手がける陽輝建設。代表の牧原陽輝氏は、24歳という若さで独立を果たした気鋭の職人だ。十代から現場に立ち、さまざまな業種を経験したのちに型枠の奥深さに惹かれ、今年から自ら会社を立ち上げた。「目には見えなくても、すべての構造物の土台を支えている」という仕事への誇りと、地域の仲間と支え合いながら前進する姿勢に迫る。🏢
🏗️ なぜ型枠の道へ?──若き職人が歩んできた原点
牧原氏が現場に足を踏み入れたのは、まだ十代のころだった。もともとは設計士を志しており、CADや図面に関心を持っていたという。その学びを深めるため、小規模なステンレス加工会社で図面業務に携わっていた時期もあった。
「設計士になりたくて、CADの仕事をやらせてもらってた時期もあります。でもその会社の知り合いから型枠の応援に呼んでもらったのがきっかけで、これだ、ってなって」 そのとき感じた型枠工事の面白さに引き込まれ、以来どっぷりとこの世界に入った。型枠には建築系と土木系があり、牧原氏が携わっているのは主に土木系の型枠工事だ。護岸や擁壁、橋台など、最終的には地中や壁の中に埋まってしまうものも多いが、その仕事が地域のインフラを何十年も支え続ける。
「完成したら見えなくなってしまう仕事ですが、その上に立っているものをすべて支えているのが私たちの仕事です。それは誇りだと思っています」 今年で25歳。型枠に本腰を入れてから約5年、今年の1月に独立を決断した。
🔧 オールマイティな対応力と誠実な仕事ぶり──陽輝建設の強みとは
牧原氏が語る自社の強みは、「型枠だけにとどまらない幅広い現場経験」と「どんな無理難題にも迅速に対応できる柔軟性」だ。型枠工事に加え、土木工事や外構工事にも一定の知見を持ち、仲間業者から幅広く声がかかる存在になっている。
「型枠だけをひたすらやってきたわけではなく、さまざまな業種を経験してきました。だから違う業種でも、段取りや流れが分かるので、お役に立てることが多いんです。専門職としてのプライドも大切ですが、オールマイティに動ける方がお互いにとっていいと思っています」 仕事の取り方も独特で、一方的に仕事を求めるのではなく、相互の助け合いを重視している。例えば、型枠の仕事が少ない時期には他業種の現場を手伝い、その縁でまた型枠の案件を紹介してもらう。こうした「支え合いの連鎖」が、独立間もない陽輝建設を支えている。
「無理だと言っていたら仕事は覚えられません。難しい局面でも、きれいに収めることができたとき、丁寧だなと言っていただけるのが一番嬉しい瞬間です」 若さからくる誠実さと、臨機応変な対応力が、取引先からの信頼を少しずつ積み上げている。
⚠️ 若さゆえの壁と、業界の構造的課題──それでも前へ進む理由
中小建設業、とりわけ独立したての個人事業主が直面する課題は少なくない。牧原氏もその一人で、「建設業許可」の取得や、法人化に向けた資格・資本要件の整備、信用の蓄積という複数の壁を同時に乗り越えようとしている最中だ。
「許可証がないと受けられない規模の仕事もありますし、ゼネコンや役所の案件に入るには実績も信用も必要です。24歳というだけで不安視されることもあります」 型枠業界は、受注の構造上、一般消費者ではなく土建業者や元請け会社が主な取引先になる。そのため、業種間のネットワーク形成が仕事の根幹を支えることは間違いないが、牧原氏はネットを活用した新たなつながりづくりにも積極的に取り組んでいる。マッチングサービスへの登録や、インスタグラムでの現場発信など、デジタルと人脈の両輪で仕事の幅を広げようとしているのだ。
「最初は少し不安もありましたが、思い切って連絡してみたら、意外と良い反応があって。今はそこからつながりが増えてきている感じです。ネットを使いながら、横のつながりも増やしていく。今はその両方をやっていくしかないと思っています」 挑戦しなければ前に進めないという信念のもと、知らない業者にも積極的に声をかけ、一歩ずつ信頼関係を築いている。中小建設業にとって、こうしたデジタルと現場ネットワークを掛け合わせた行動力こそが、成長の原動力になる。
🌱 地域の仲間と支え合い、型枠業を盛り上げたい──牧原氏が描く未来
牧原氏が目指しているのは、単なる売上拡大ではなく、「みんなが前向きに働ける会社」をつくることだ。いずれは従業員を迎え入れ、お互いの専門性を生かしながら多様な案件に対応できる組織にしていきたいと語る。
「従業員が入ってきたら、仕事をしっかり覚えて、自信を持って現場に立てるようになってほしいです。型枠ができるだけでなく、人間関係も大切にして、みんなが和気あいあいと前に進んでいける会社にしたいと思っています」 独立当初は材料の調達ひとつとっても大変だったが、周囲の先輩業者に恵まれ、工具や材料を融通してもらいながらここまで来た。その恩返しとして、自分が与える側になることが今の目標でもある。
「さまざまな業種がお互いに助け合えたら、この業界全体が持続していけると思います。型枠業を盛り上げていけたらと思っています」 富田林という地域に根を張りながら、取引範囲を徐々に広げ、若い世代が型枠の世界に飛び込みやすい環境もつくっていきたいという。「やりたいなら、やるべきだと思う。チャレンジ精神が一番大事」という言葉には、自らの経験を後輩に伝えたいという誠実な思いが込められている。
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📝 編集部コメント
取材を通じて印象的だったのは、牧原氏の「支え合い」への強い信念でした。若さや経験の少なさをむしろバネに変え、地道に人とのつながりを積み上げる姿勢に、地域の職人文化の本質を見た気がします。