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2026年6月23日、自民党の「官公庁営繕を考える議員の会」総会で、国土交通省があるデータを示しました。📊 それは、官庁営繕事業における標準的な庁舎新築の工事費が、2019年度と比べて直近で約5割増になっているというものです。
「官庁の工事だから関係ない」と思った方——ちょっと待ってください。🛑 この数字は、国が算出する「新営予算単価」に基づいたものです。新営予算単価とは、官庁施設の新築・増築に必要な工事費の算出に使われる単価で、毎年度国土交通省が策定しています。いわば、公共建築工事コストの"ものさし"のような存在です。
この単価が5割も上がっているということは、実際の現場でかかるコストがそれだけ膨らんでいることを国自身が公式に認めたことを意味します。 2019年度というのは、新型コロナが始まる直前——いまとは別世界のように感じる人も多いのではないでしょうか。あのころと今を比べると、建設資材も人件費もここまで変わってしまったのかと、改めて実感させられます。😔
国土交通省が示した要因は明確で、建設資材費の増大と労務費の増の2つです。
まず労務費については、国土交通省が令和8年4月から適用する建築保全業務労務単価を対前年度比8.5%引き上げると、2026年2月17日に発表しています。🔺 これは保全業務の単価ですが、建設現場全体の人件費上昇の流れと一致しています。一年で8.5%増というのは相当な勢いで、中小の建設会社にとって積算の見直しが欠かせない水準です。
次に資材費については、さらに新しい問題が加わっています。2026年6月16日、国土交通省は「中東情勢の変化による建設資材への影響に係る直轄工事の対応について」を発表しました。中東情勢の変化に伴い、ナフサを由来とする建設資材(合成樹脂系の資材など)において、供給の偏りや流通の目詰まりが生じているというものです。💦 これに対応するため、代替資材の調達や流通経路の見直し等で追加費用が生じた場合に設計変更できる運用が、令和8年6月16日以降に全ての直轄工事(既契約工事を含む)に適用されることになりました。受発注者間で協議の上、適切に対応することとされています。
資材の高騰と不安定な供給——この2つの逆風が同時に吹いているのが現在の建設現場です。🌪️
出典:国土交通省ウェブサイトhttps://www.mlit.go.jp/report/press/eizen03_hh_000071.html
出典:国土交通省ウェブサイトhttps://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_001337.html、
工事費が上がるだけでなく、ルールの面でも変化が起きています。 2026年3月11日、国土交通省は公共建築工事積算基準類の改定を行ない、「令和8年4月以降に入札手続きを開始する官庁営繕工事」から適用しています。今回の改定のポイントは「雇用に伴う必要経費の確保」という方向性です。
具体的には以下の点が変わりました:
✔️専門工事業者等の諸経費の率を見直し(実態調査の結果を踏まえた改定)
✔️ 一般管理費等率を見直し(公共建築工事共通費積算基準の改定)
✔️ 電気設備工事の絶縁ケーブルについて単位施工単価を新設
これらの変更は、単に「ルールが変わった」だけではありません。専門工事業者やサブコンの立場からすれば、これまで積算上「見えにくかった」雇用コストをきちんと計上できる仕組みに近づいてきたということです。下請け・専門工事業者の方々にとっては、見積交渉の際に根拠として使える重要な情報でもあります。📝
なお、改定内容は地方整備局等への通知のほか、都道府県・政令指定都市への参考送付、各種会議や公共建築相談窓口での情報提供を通じて広く普及・促進される予定です。
出典:国土交通省ウェブサイトhttps://www.mlit.go.jp/report/press/eizen02_hh_000315.html、
もう一つ見ておきたい視点があります。それは老朽化施設の増加という現実です。🏚️ 国土交通省が2026年3月12日に公表した「国家機関の建築物等の保全の現況」によると、築後30年以上の官庁施設の割合は上昇傾向が続いており、令和7年3月末時点で57.2%に達しています。全体の過半数が"築30年超え"ということです。
また、施設状況の評価では:
- 著しい支障が見られる庁舎等:3.9%
- 老朽化等の兆候が見られる庁舎等:51.2%
保全への取組状況が良好な施設の割合は99.6%と高水準を維持していますが、老朽化の進行そのものは止められない状況です。
これは何を意味するか——行政の建築ストックをそのままにはできないため、改修・修繕・建替えなどの需要は今後も継続的に発生し続けるということです。公共建築を扱う建設会社にとって、中長期的な受注機会が継続することは確かといえます。ただし、その受注単価の中身(資材費・労務費)もきちんと積算に反映させることが、会社を守る上での最重要課題です。🔑
今回の情報を整理すると、資材高騰+労務費上昇+積算基準の変化が同時進行しているフェーズにいることがわかります。 見積・入札に参加している中小建設会社がいま押さえておくべきポイントは次のとおりです。
まず、見積の根拠を最新の単価で組み直すこと。令和8年4月改定の積算基準が適用されており、改定前の単価や慣習的な数字をそのまま使っていると積算が実態と乖離します。諸経費率や一般管理費等率の変更は直接的に利益率に影響します。
次に、資材の調達ルートと代替案を確認しておくこと。中東情勢に関連したナフサ由来資材の供給リスクは、既契約の工事にも影響しています。代替調達が必要になる局面に備え、発注者との協議を早めに準備しておくことが重要です。
また、発注者との工期・設計変更協議を迅速に行なえる体制を整えることも大切です。制度上は設計変更対応の仕組みが整備されてきていますが、それを活用するには現場からの情報収集と交渉力が求められます。
工事費5割増という数字は、業界全体のコスト構造が変わったことの証です。従来の感覚で見積をしていると、利益が出ないどころか赤字になりかねません。制度変化をキャッチしながら、積算・交渉・調達の三位一体で対応することが、これからの時代を生き抜く鍵になるでしょう。💪
国土交通省が公式に示した「庁舎工事費2019年度比5割増」は、資材と労務の両面でコストが構造的に上昇していることを示す数字です。同時に、積算基準の改定・労務単価の引き上げ・資材リスクへの設計変更対応など、制度面でも変化が連続しています。
中小の建設会社こそ、こうした情報をいち早くキャッチして積算・交渉・調達の見直しに反映させましょう。
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出典: 令和9年度新営予算単価関係資料について(国土交通省)https://www.mlit.go.jp/gobuild/gobuild_tk2_000080.html をもとに作成。
あわせて、「令和8年4月から適用する建築保全業務労務単価について」(国土交通省)https://www.mlit.go.jp/report/press/eizen03_hh_000071.html、
「公共建築工事積算基準類の改定」(国土交通省)https://www.mlit.go.jp/report/press/eizen02_hh_000315.html、
「中東情勢の変化による建設資材への影響に係る直轄工事の対応について」(国土交通省)https://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_001337.html、
「保全への取組状況が良好な庁舎等の割合は高水準を維持」(国土交通省)https://www.mlit.go.jp/report/press/eizen03_hh_000073.htmlを参照。
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「建設円陣PLUS編集部」は、建設業界に特化したプラットフォーム「建設円陣」を運営する株式会社エンジョイワークスの編集チームです。中小建設業の経営・人材・現場課題を、国土交通省・厚生労働省、業界専門紙や公的機関の情報をもとに解説します。