記事を読み込み中です
消防設備工事業を営む中小企業にとって、新規顧客の獲得と並んで重要なのが既存顧客からの継続受注だ。しかし現場仕事が中心の事業者では、点検が終わると顧客とのつながりが薄れ、いつの間にか他社に切り替えられていたというケースも少なくない。
本記事では、点検後のフォローと顧客管理を中心に、継続受注を増やすための実践的な方法を解説する。
消防法では、建物に設置された消防用設備等の定期点検と、消防署への報告が義務付けられている。点検には、外観や簡易な操作で確認する機器点検(6か月ごと)と、実際に設備を作動させて機能を確かめる総合点検(1年ごと)がある。点検結果の報告は、飲食店・ホテル・病院などの特定防火対象物(不特定多数の人が出入りする建物など)が1年に1回、共同住宅・事務所・工場などの非特定防火対象物が3年に1回だ。
このように法定のサイクルがあるため、既存顧客は本来「定期的に戻ってくる」はずである。ところが点検後に何の連絡もなければ、顧客は次の時期が近づいたときに業者を探し直すことになる。そこへ積極的に営業してくる他社が現れれば、乗り換えは十分に起こりうる。
さらに、延べ面積1,000㎡未満の建物では、消火器など一部の設備について、建物の関係者が消防庁の点検アプリを使って自ら点検・報告できる。「点検をこなすだけの業者」では選ばれ続けない時代だからこそ、点検後の関わり方が差を生む。
※画像はイメージです
点検後のフォローは「直後のフォロー」と「次回点検までのフォロー」に分けると整理しやすい。
直後のフォロー(点検完了から1週間以内)
点検報告書を渡す際に、現場で口頭では伝えきれなかった設備の状態や気になる箇所をまとめた「所見メモ」を添えると効果的だ。「この部分は劣化が進んでいる」「次回までに確認しておきたいこと」などを、専門用語を避けて具体的に書く。写真を1〜2枚添えるだけでも、顧客の理解度は大きく変わる。
次回点検までのフォロー
機器点検は6か月ごとなので、次回の1〜2か月前に予告の連絡を入れるのが基本だ。メールやハガキ、電話など、顧客が普段使っている手段で「そろそろ次回点検の時期です」と伝えるだけで、自社を思い出してもらえる。あわせて、季節ごとの防火の注意点など、顧客にとって役立つ情報を短く届けるのも関係づくりに有効だ。
フォローを続けるうえで欠かせないのが、顧客情報の一元管理だ。担当者の記憶や個人のメモ帳に頼っていると、退職や異動とともに情報が失われてしまう。
手軽に始めるなら、Googleスプレッドシートなどのクラウド型表計算ツールで、顧客名・建物の用途・点検日・次回予定日・担当者・フォロー状況を一覧にする方法がある。スマートフォンからも確認・更新できるため、現場で情報を入力しやすい。
件数が増えてきたら、kintone(サイボウズ株式会社が提供する業務アプリ作成サービス)のようなツールで、顧客情報・点検予定・対応履歴をまとめて管理するのも選択肢だ。また、LINE公式アカウント(LINEヤフー株式会社が提供する企業向けアカウント)を使えば、点検のお礼や次回のお知らせを手間をかけずに届けられる。
どのツールでも、「次回予定日」と「最後に連絡した日」を必ず記録することが抜け漏れ防止の鍵になる。
継続受注を安定させるには、点検の枠を超えて顧客の設備課題を先読みする姿勢が重要だ。たとえば、古くなった感知器や消火器の交換時期を早めに知らせたり、テナントの入れ替えや用途変更で必要な設備が変わる可能性を伝えたりすることで、顧客は「この業者に任せておけば安心だ」と感じるようになる。
建物のオーナーや管理者の多くは、消防法令の細かな内容まで把握しているわけではない。点検のたびに「今回の結果で気をつけること」「今後必要になりそうなこと」をひと言添えるだけでも、単なる点検業者から「相談できる専門家」へと立ち位置が変わる。
こうした積み重ねが、価格だけでは比べられない自社の強みになる。
※画像はイメージです
消防設備工事業の継続受注は、点検後のフォローと顧客管理の質で大きく変わる。点検直後に所見を伝えて信頼を築き、次回点検までの連絡で関係を保ち、ツールで抜け漏れを防ぐ。この流れを仕組みとして回せれば、受注基盤は着実に安定していく。
「点検して終わり」から「点検後こそ関係づくり」へ。その意識の切り替えが、中小の消防設備工事業者が選ばれ続けるための第一歩だ。
継続受注を支える協力会社の確保や、増える現場に対応できる体制づくりに課題を感じているなら、無料の建設業向けマッチングサービス『建設円陣』への登録で、信頼できるパートナー探しを始めてみてください(緑のバナーをクリック)。
➡関連記事:🏠 新築が減っても売上は伸ばせる!リフォーム受注を増やすための営業戦略5選
➡関連記事:協力会社との関係が長続きする建設会社は何が違う?信頼を積み重ねる5つの共通点
➡関連記事:名刺が新たな販促ツールに変わる時代
お問い合わせフォームを読み込んでいます。お問い合わせページもご利用いただけます。
お問い合わせフォームを読み込み中です「建設円陣PLUS編集部」は、建設業界に特化したプラットフォーム「建設円陣」を運営する株式会社エンジョイワークスの編集チームです。中小建設業の経営・人材・現場課題を、国土交通省・厚生労働省、業界専門紙や公的機関の情報をもとに解説します。