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本州と九州を結ぶ関門海峡に、新たな道路ルートを通す計画が一歩前へ進みました。国土交通省の有識者委員会が、下関北九州道路の整備・運用に関する基本方針(案)を示したのです。
結論からいえば、この橋は「利用者負担を基本とした有料道路」として、民間資金の活用も視野に入れながら、少なくとも100年以上使い続けることを目指す方針です。建設業にとっては、発注方式や人材育成のあり方まで問われるプロジェクトになりそうです。
現在、関門海峡を渡る道路は、昭和33年開通の関門トンネル(国道2号)と、昭和48年開通の関門橋(関門自動車道)の2本です。基本方針(案)では、海峡部の高規格道路が関門自動車道の1ルートしかないことを「国土構造上のボトルネック」と位置づけています。
関門橋は築52年、関門トンネルは築68年と老朽化が進み、通行止めも頻発しています。関門海峡の断面が寸断された場合の経済損失は年間約14兆円と試算され、地域課題にとどまらない国家的な課題として認識すべきだとしています。
参考資料によると、関門橋と関門トンネルの合計交通量は約64,000台/日です。令和2年から令和6年までの5年間の通行止めは合計717回、頻度にして約2日に1回にのぼり、台風で最長約34時間止まったケースもありました。
重量制限は関門橋が原則44t、関門トンネルが35tです。本州・九州間では農林水産品の約9割、工業製品の約5割をトラックが運んでおり、物流の要である道路の脆弱さが浮き彫りになっています。
下関北九州道路は、山口県下関市彦島迫町から福岡県北九州市小倉北区西港町を結ぶ延長約8km、完成4車線の計画で、令和7年12月23日に都市計画決定(都市計画決定とは:道路などの位置や規模を都市計画として正式に定める手続き)されました。海峡部は長大吊橋となります。
概算事業費は令和2年度時点で約2,900〜3,500億円ですが、物価・資材高騰を踏まえ大幅に増える見込みとされています。整備費用は利用者負担が基本で、不足分は税金による負担や一定の地元負担も検討するとしています。
さらに、PPP/PFI(PPP/PFIとは:民間の資金やノウハウを活用して公共施設を整備・運営する手法)を前提に検討し、公共施設等運営事業(いわゆるコンセッション方式)を活用する場合に備え、速やかに制度改正を検討する方針も示されました。民間事業者からは事業費などが未提示で参画を検討しにくいとの声があり、地盤・断層・風況などの詳細調査に早急に着手すべきとしています。
注目したいのは発注方式です。民間の技術力を最大限に活用するデザインビルド(デザインビルドとは:設計と施工を一括で発注する方式)やECI方式(ECIとは:設計段階から施工者が参画し技術協力する方式)の導入を積極的に検討すべきとしています。
技術面では、橋梁用高性能鋼板SBHS(SBHSとは:強度や溶接性を高めた橋梁用の鋼材)や新たな防食技術を活用し、塗り替え周期の延長でライフサイクルコスト(ライフサイクルコストとは:建設から維持管理・更新までにかかる総費用)を約75%削減できるとしています。BIM/CIM(BIM/CIMとは:3次元モデルで設計から維持管理まで情報を一元管理する仕組み)やローカル5Gの活用にも期待が寄せられています。
また、ダブル連結トラックの通行区間約6,000kmを踏まえた重量物輸送への対応や、電力・通信・水道などインフラ併設の可能性も検討対象です。
※画像はイメージです
国内では最後の吊橋建設から約20年が経過しています。基本方針(案)では、支間500m超の海上吊橋の国内建設は豊島大橋以来であり、技術継承と若手育成の貴重な機会だと強調しています。大規模吊橋の技術者育成は国家的な課題として官民一体で取り組むべきとされ、若手が積極的に関与できる環境整備の重要性にも触れています。
中小の建設会社にとっても、大型プロジェクトに関わる技術者をどう育てるか、改めて考えるきっかけになるはずです。
下関北九州道路は、今後、詳細調査やPPP/PFI導入可能性調査を経て、事業手法・事業主体の確定、設計・施工へと進むことが想定されています。国が主体的に事業全体を牽引する体制づくりも求められており、関門エリアの建設市場は長期的に動いていきそうです。今のうちから最新技術や新しい発注方式の情報を集めておきましょう。
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出典:本州・九州間の道路ネットワークの整備・運用に関する基本方針(案)ほか 第7回本州・九州連携小委員会配布資料(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/road01_sg_000816.html)をもとに作成
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